第64話 【クラン活動・1】
ガリウスとの話で、クランメンバーと依頼を受けることになったグレン。
部屋を出て直ぐ、クランハウスに居るメンバー達に声を掛ける事にした。
「リーダー! それって僕達も参加出来ますか!」
初心者冒険者の一人、リックが団員達に声を掛けていたガリウスにそう聞いて来た。
「ああ、今から受ける依頼クランとして受ける予定だからお前らも戦闘に参加しないなら、依頼についてこれるぞ」
そうガリウスが言うと、リックや他の初心者冒険者達は参加表明をした。
それから他の冒険者達もグレンと一緒に依頼を受けられるという事で、クランハウスに居た中級クラスの冒険者6名と初心者冒険者4名の計10名が集まった。
「……こんな人数で依頼受けるって、報酬とか大丈夫なのか?」
「まあ、そこは主に活躍した奴が貰うって感じだ」
「そうなのか? それじゃ、こいつ等のメリットって何かあるのか?」
グレンはそう言いながら、初心者冒険者達の事を指してガリウスに聞いた。
「戦い方の見学だったり、その依頼について行く中で先輩冒険者との交流をして技術を教えて貰ったりするのがこいつらのメリットだな。まあ、それで食って行けるかって言われたらそいつ等次第だから、一応俺のクランでは依頼について来た奴には少し金を渡してるよ」
「……成程な。確かに技術を教えて貰うってのは、冒険者にとって一番大きな事だな」
グレンの場合、教会生まれで誰にも師事される事無く独学で覚えて来たが、普通の冒険者は大体が先輩冒険者と交流をしたり、そういった学び舎で学んだりしている。
一年前までならグレンはこの良さを分からなかったが、この一年フレイナに魔法等の技術を学ばせてもらって、学びの大切さを実感していた。
「それじゃ、今回の依頼は俺がこいつらに何か教えたりした方が良いのか?」
そうグレンが言うと、初心者冒険者達は「えっ!?」と驚いた声を上げた。
実際はその驚いた声の中に、初心者冒険達以外のランクの高い冒険者も交じったりしていたが、グレンは気付く事は無かった。
「グレンが良いなら教えてやってくれ、特にリックはグレンの事を憧れの対象にしてるみたいだしな」
「ッ! ガリウスさん、それ言わないって言ったじゃないですか!?」
ガリウスの突然の告白に驚くグレンだが、それ以上に内緒話を告げられたリックは驚いた声を上げた。
「何だ。リック、俺に憧れてるのか?」
「うっ! そ、その前に見せて貰った戦い方とか、グレンさんの活躍をルドガーさん達に聞いて、凄い人だなって……それで、その……」
緊張した様子でリックは、グレンからの質問にそう答えた。
「そうなのか……俺を憧れの対象と見てくれてありがとな。まあ、俺が教えられる事があれば教えてやるから、何か聞きたい事があったら聞いてくれていいぞ」
「ッ! は、はい! ありがとうございます!」
グレンの言葉に、リックは満面の笑みでそう返事をした。
その後、集まった冒険者達と一緒にクランハウスを出て、冒険者ギルドへと移動した。
大所帯での移動の為、ギルド内にはガリウスとグレンだけが入り、どの依頼を受けるか話し合った。
「それで、どうする? 初心者冒険者が4人もいるんなら、高ランクの依頼は避けた方が良いよな?」
「まあ、そうだな。基本的に、彼奴らが居る場合だと高くてもBランクの依頼を受ける事にしてるが、グレンはそれでもいいか?」
「別に構わないぞ、入った当初に比べて金は持ってるからな、今は金よりクランとしての活動経験を優先して良いぞ」
そう言ったグレンに、ガリウスは心の中で少し感動しつつ、今のメンバーに見合った依頼を探す事にした。
そうして選び始めて10分、良い感じの依頼を見つけたガリウス達は、ルドガーの受付へと移動した。
受付に居たルドガーはグレンが現れた事に少し驚き、ちゃんと王都に戻ってきた事に安心して依頼の受理作業を行った。
依頼の受理を終えたグレン達は、メンバー達と共に王都の外へと出て依頼の場所へと向かった。
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