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第50話 【Sランク・1】


 話し合いの翌日、グレンはクランハウスへと訪れ、ガリウスと二人で話をしていた。


「成程な、それでここ最近俺達の所に顔を出していなかったのか……」


 誰もいない事を確認して防音の魔道具を設置した部屋でグレンは、ガリウスに〝王族暗殺計画〟を伝えた。

 リシアナに勿論許可を貰っていて、ガリウスには話しても良いと許可を貰っている。


「情報収集する為には、そっちに集中したかったからな」


「それでその事件を解決する為に、お前はSランクになるつもりでいると」


 そのガリウスの言葉に対し、グレンは「そう言う事だ」と返事をした。

 その返事を聞いたガリウスは、目を閉じて一度深呼吸をした。

 そして目を開くと、パァッと笑みを浮かべた。


「そうかそうか! グレンも遂にSランクになるのか! いや~、いつお前がSランクに上がるか楽しみにしてたんだよ!」


 ニコニコと笑顔を浮かべ、急に上機嫌となったガリウス。

 そんなガリウスの態度に、グレンは少し迷惑そうな顔を浮かべた。


「ガリウス、先に言っておくが俺がSランクを目指す事は周りには黙っていろよ? お前だから、さっきの話もしたんだからな?」


「分かってるけど、今のお前は注目が集まってるから俺が言わなくても気付かれると思うぞ?」


「……極力バレない様に動く、ガリウスも協力してくれ」


 今の段階で目立つと厄介な奴等に、目を付けられる可能性もある。

 そう考えたグレンは、ガリウスに頭を下げてそうお願いをした。


「協力って、俺はお前が所属するクランのリーダーだぞ? するに決まってるだろ」


「そうか、頼りにしてるぜリーダー」


 その後、グレン達は丁度良い時間になった為、二人でクランハウスを出て冒険者ギルドへと向かった。


「話してたから、もう掲示板には冒険者が群がってるな……」


「そうみたいだな……まあでも、こういう時の為に受付と契約してるからな、受付の方に行くか」


 グレンはそう言って、ガリウスと共にルドガーの受付へと移動した。


「ルドガー、良い依頼無いか?」


「三日振りに来て、挨拶も無しにそれかよ……ほらよ。お前向けの依頼、どうせもうそろそろ来るだろうと思って取っておいたぞ」


 ルドガーはそう言いながら、受付の下から用意していた依頼書を取り出してグレン達に見せた。

 グレンはその依頼書を全て見て、一日で終わりそうな内容だと判断して「全て受ける」とルドガーに伝えた。


「おいおい、グレン。いくらランクを上げる為とは言え、初日から無理はしない方が良いぞ?」


「無理はしてないぞ? この位の依頼なら、一日、いや半日もあれば十分だろ?」


 十枚近くの依頼書を見ながら、グレンはそう言った。

 その言葉に驚くガリウスだが、受付をしているルドガーは平然とした様子でいた。

 ルドガーの態度にガリウスが疑問に思い「もしかして、こいつはこれが普通なのか?」と尋ねた。


「そうだぞ、最初の頃は普通に一つずつ受けてたがいつのまにか一回に受ける依頼の数が増えててな、気付いたら一回に二桁受けるのが普通になってたな」


「そ、そうだったのか……」


 その後、依頼の受付が終わったグレン達は、その足で王都の外に出て行った。


「そういやグレン、その装備の着心地はどうだ?」


「んっ? オーダーメイドだからか、体にピッタリ合ってて動きやすいな。職人の腕がいいのもあるんだろうが、素材も良いの使ってるし、本当に良い装備だよ」


 三日振りにクランハウスを訪れた際、グレンはガリウスと会う前に装備の受け取りをしていた。

 グレンの新装備は既存の品では無く、職人達が一から作った〝グレン専用〟の装備でグレンのイメージもピッタリな〝赤〟を基調とした色合いとなっている。

 素材は主に竜種の素材を使っていて、鉄製以上の防御力がある。


「でも良かったのか、お前のクランのイメージは〝鉄装備〟じゃないのか?」


「イメージはそれで合ってるが、別に無理に押し付ける事はしてないぞ? そいつに合ってる防具が一番いいからな、ただまあ一つ言えるのはリーダーの俺よりも上の装備ってのが気に食わないな」


 職人達はグレンの力を見た際、創作意欲が溢れ予算を完全にオーバーさせてグレンの装備を作ったと、ガリウスは言った。

 それを聞いたグレンは、自分から頼んだ訳では無いが迷惑を掛けた事には変わりない。


「まあ、そうだな。事件が解決したら、クラン活動を頑張るよ」


「おう。楽しみにしてるぜ、グレン!」


 グレンからその言葉を聞けたガリウスは、多少出費が大きくて悲しかった気持ちが吹き飛んだ。



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