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第49話 【悪者達・3】


 話し合いを開始して直ぐに、グレンはある一つの情報をリシアナと共有する事にした。


「リシアナ様、今回の事件には王族は誰も関与はしていませんでした」


 グレンとして王族が事件に関与していないというのは言い切れないと感じ、妖精達に頼み情報を集めた。 

 その結果、リシアナを含めた王族は誰も事件の関係者とは繋がっていない事が確定した。


「そうなのね。私もそこは少し疑っていた部分もあったから、グレン君が動いてくれて助かったわ。自分の口から、自分の家族を疑うような事は言いたくなかったもの」


「そんな感じもしたので、独断でやらせてもらいました」


「グレン君やるにゃ~、この事件が終わった後も一緒に組まないかにゃ?」


 そうキャロルが自分の仲間になって欲しいとグレンに言うと、グレンは嫌な顔を浮かべた。


「お前と組むなんて、本当は今回も有り得ない事なんだよ」


「……ねぇ、話は変わるんだけどグレン君は何でそんなにキャロルちゃんを嫌ってるの?」


 グレンとキャロルの関係性に疑問を抱いていたリシアナは、二人が言い合ってるのを見てそう二人に尋ねた。


「あたしも何で、こんなに嫌われてるか知らないにゃ。何か原因があるのかにゃ?」


「……何でだと? お前覚えてないのか?」


 信じられん、と言わんばかりにグレンはキャロルにそう言った。

 するとキャロルは、コテンッと首を傾げて「分からないにゃ」と言った。


「俺がお前を嫌ってる理由、それはなお前が俺の噂を流しまくったからだよ!」


 グレンの噂には、アレインが作った〝嘘の噂〟の中に紛れ込む様にして〝真実の噂〟も流れていた。

 アレインが流した噂は、犯罪的な物が殆どでグレンを評価する噂は一つもない。

 それなのにグレンの噂には、実力を評価する噂や戦闘技術等の噂も流れていた。


「お前のせいで、面倒な奴等に目を付けられた事もあるんだよ! それにな一番は、俺が娼館に通ってる事だよ! あれ、お前が流しただろ!」


 嘘の噂だったら別に気にする事も無かった当時のグレンだったが、流石に娼館通いの噂が流れた時は少し焦りを感じた。

 何せ自分が通ってる店で、大体の性癖がバレてしまう。

 まだ若いグレンにとって、それは嫌だと感じそれを流した犯人を突き止めようと必死に動いた。


「フローラに高い金払って調べて貰ったよ。そしたら、猫人族の女が俺の噂を流してるって教えて貰ったんだよ」


「面白い噂ばっかり流れてる冒険者が居るって聞いて、本当に噂通りか調べてたんだにゃ。そしたら、噂の内容とは全く違って面白いから真実の噂を流したんだにゃ」


 当時の事を思いだしたキャロルは、当時の事を語った。

 そんなキャロルの言葉に、リシアナは「それはキャロルちゃんが悪いわね」と言った。


「ええ、ですから俺は極力こいつとは関わりたくないんですよ。いつ自分の情報が抜かれてるか分かりませんからね……」


「成程ね。グレン君の事情は分かったわ、それなのに今回は私の為に協力してもらって感謝するわ」


 改めてリシアナがそうお礼を言い、本題の方へと話も戻した。

 王族の関与が無い事が改めて分かり、多数の貴族が今の王族を消そうと動いている事が分かった。


「どうしますか、国王にもこちら側に付いてもらいますか?」


「それはしたいけど、今はあの人と会う事も禁じられてるから事件が解決しない限りは接触は難しいわ。出来るなら、私達で片付けたいと思ってるけど、出来そうかしら?」


「……厳しいですけど、やろうと思えばですね。ですが、やるなら一網打尽にしないと逃げられる可能性もありますね」


 特に公爵辺りになると、失敗した時の為の計画も用意しているだろうとグレンは考えている。

 それはリシアナも同じで、出来るなら一網打尽か位の高い貴族だけでも捕えたいと考えていた。


「……一つだけグレン君、王妃に頼らず国王と会う事が出来る手があるにゃ」


「……聞きたくはないが、一応聞こう。それは何だ?」


「Sランクに昇格するにゃ。Sランク冒険者になった時、その国の王と謁見する事が出来た筈にゃ」


 キャロルの言う通り、冒険者の最高ランク〝Sランク〟になると国のトップと会う事が可能になる。

 Sランク冒険者は、その存在だけでも国の価値を上げる。

 デュレイン国ではSランクの冒険者が誕生した際、昇格の祝いに国王から昇格祝いのパーティーに招待されている。

 キャロルはそれをする為に、グレンにSランクになれと言った。


「まあ、それが一番手っ取り早いし簡単だな、姿を消して国王と会う事も考えたが信用してもらえるか分からないからな……」


「そうだにゃ。グレン君の力だったら、Sランクも簡単だにゃ。それにSランクになったら、色々ギルドの施設も使えて便利って聞いたにゃ。グレン君にとっても良い提案だと思うにゃ」


 そうキャロルに勧められる形で、グレンはSランク冒険者になると決めた。

 そんな風に簡単になると言ってるグレン達に、話を聞いていたリシアナは不思議な顔をしていた。


「ねえ、Sランクの冒険者ってかなり数が少ないって聞くし、なるのも大変だって聞いたわよ? そんな簡単になれるのかしら?」


「リシアナ様、それは大丈夫にゃ。グレン君は強いから数日もあれば、Sランクになれるにゃ」


「まあ、実際に数日で成れるかは分かりませんけど、そんなに時間は掛からないと思います」


 その後、グレンはSランクになる為に冒険者活動に専念する事にした。

 ランクを上げる期間がどれくらいかかるか分からない為、その間はキャロルはリシアナの護衛兼王城で無理をしない程度の情報収集をする事になった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] いつも楽しく読ませてもらっています。 今後の展開も楽しみです! [気になる点] 「成程ね。グレン君の事情は分かったわ、それなのに今回は私の為に極力してもらって感謝するわ」 協力が極力にな…
[一言] キャロルもヒロインというよりは相棒枠で考えられ た方が良いかもと右京さんらしき人も言っておら れたような気が。(≧▽≦) マァ、ヒドイン退場→ヒロイン登場で帳尻はあう と思いますよと…
[一言] ヒドイン↓からヒロイン↑で、ハーレム路線まっしぐらな感じはいかが(わしい?)でしょうか? (〃▽〃)
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