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第292話 【新婚旅行・2】


 それから数日後、グレンはフローラ達に新婚旅行に行くと伝え、ニアを連れて獣人国へと新婚旅行へと向かった。


「……別にもてなさなくても良いってのにな」


 事前に一応、獣人国には新婚旅行に行く事をグレンは伝えた。

 その際、別に旅行に行くだけだから迎えとかは要らないとグレンは言っていた。

 しかし、来てみると早速獣人国の王城に案内され、多くの人達に歓迎された。


「俺は止めたぞ? あいつらがどうしても、グレンをもてなしたいって言ったんだ」


 レオナードはそうグレンに言うと、申し訳なさそうな顔をして「折角の旅行なのに迷惑を掛けてすまないな」と言った。


「……別に良いよ。というか、お前がそんな顔するな」


「ハハッ、グレンはやっぱり優しくなったな!」


 レオナードはグレンが許すと言うと、笑みを浮かべてバンバンとグレンの背中を叩き。

 グレンはそんなレオナードに対して、「わかったから背中を叩くのを止めろ」と抗議して、叩くてを止めた。


「それにしてもグレンの為に、こんなに人が歓迎してくれるなんてグレンって獣人国で何かしたの?」


「んっ? 特にしてない。だから、俺もなんでここまで歓迎されてるのかさっぱり分からん。最初会った時なんて、ヒューマン族ってだけで襲われそうになったのに」


「獣人族は単純だからな、強い奴に惹かれる。グレンは世界を救った奴だから、あいつらもそんな人が旅行で来てくれた事が嬉しくて歓迎してるんだよ。それにまあ、最初の時の事は許してやってくれ」


「許してるよ。別に実害は無かったからな」


 その後、グレンは獣人族が用意した食べ物をレオナード達と一緒に食べ、旅行の初日はそのまま獣人国の王城に泊る事になった。


「旅行に来た筈なのに、騒がしい一日だったな」


「それだけグレンが人に好かれてるって事だし、私も楽しかったから良かったと思うよ。あんなに外国、それも大陸も違う人達に歓迎されるなんて多分グレンだけだと思うし」


 ニアがそう言うと、フレイナも「グレンより強い人が現れたら、その時はグレンと同じように歓迎されると思うわよ」と言った。


「それって、ほぼ不可能じゃないかな?」


「そうね。だから、これから先グレンが生きてる間はグレンより強い人は現れないと思うわね。神々に寵愛を受けた人でも、今のグレンには波の努力じゃ到底たどり着けない差があるものね」


「別に俺はそこまで人外級の強さじゃないと思うけどな……」


 ニア達の会話に対して、グレンがそう言うと「グレンの力は、人の域はとっくに超えてるよ」とニアは真顔で告げた。

 その後、グレン達は貸してもらった部屋のベッドで一緒に寝た。

 そして翌日、レオナードからある申し出を受けていたグレンは朝食を食べた後に王城から少し離れた空き地へとやって来た。


「レオナード、本当にいいのか?」


「ああ、世界一強い男の全力がどれ程なのか、見ておきたいからな! 遠慮せずに全力を出してくれ!」


 レオナードの申し出、それはグレンの全力の攻撃を受けたい。

 という申し出で、それを聞いたグレンは最初は拒否していた。

 しかし、頭を下げるレオナードに対して根負けしたグレンは結局、レオナードに全力を見せる事になった。


「……フレイナ。念のため、結界を頼めるか?」


「ええ、分かったわ」


 昨日の二人の会話がどこから漏れたのか、周りには獣人が沢山集まっている。

 その人達に被害が出ない様にと、グレンはフレイナに結界を頼み安全を確保した。


「それじゃ、レオナード。行くからな、全力で防御しろよ!」


「おう! かかってこい!」


 威勢よく吠えたレオナードに対し、グレンは久しぶりに武器を取り出して構えた。

 そして魔法を武器に纏わせたグレンは、纏わせる魔法の力をドンドン上げて行った。


「レオナード、無理そうだったら避けろよ。マジで死ぬかも知れないからな!」


 グレンはそう叫びながら、レオナードに対して〝最強の魔法剣〟を放った。

 魔法剣が放たれた瞬間、轟音が鳴り響き、フレイナの結界に亀裂が入った。

 観戦していた獣人達はグレンのその攻撃を見て、悲鳴を上げるのではなく歓声を上げた。


 

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