第266話 【ヴァルティアの発展・4】
そうして思いもよかないサプライズプレゼントを貰ったグレンは、この忙しかった期間を乗り越えて良かったと感じた。
「今日は自分の思っていた以上の事が起きて楽しかったな、やっぱり家の中で引きこもるより街に出たら何かしら起こるな」
「そうね。ずっと書類と睨めっこしてたから、外に出る事が出来なかったものね。今日は一日、楽しめたわね」
フレイナもグレンと同じく、今日は楽しめたと言い。
満足できた一日をグレン達は贈る事が出来たと思いながら、その日はゆっくりと眠った。
翌日、グレンは耳にしたくないと思うとある人物の声が耳に入り、嫌な顔を浮かべて自室から出て来てリビングに向かった。
「……何で朝から居るんだよ」
そこには、ニアと楽しそうに喋ってるキャロルが居た。
「にゃ? 良いじゃないかにゃ、もう私はグレン君の領地の領民にゃ」
その言葉を聞いたグレンは、苦虫を噛み潰したような顔をして溜息を吐いた。
元々、キャロルは王都に席を置く、情報屋だったのだがこの期間に王都からグレンの領地へと移民手続きをして、立派な領民となっている。
グレンの心の中で許可したくなかったのだが、情報屋としての腕を手放すのは……と悩みに悩んで苦渋の決断で、その移民手続きを承認した。
「使える時は使えるのに、何で普段はこうもウザいだろうな……」
「本人を前にして、堂々と悪口言っちゃダメにゃよ?」
「この位は別に良いだろ……それで何をしに態々、朝から家に来たんだ?」
「遊びに来ただけにゃ」
そう言葉が返って来たグレンは、考える暇もなく「帰れ」と口にした。
だがしかし、そんな言葉で帰るキャロルではなく。
朝ご飯を食べてきてないとキャロルから聞いていたニアは、キャロルの分も食事を用意して、取り敢えず一緒に朝食を食べる事になった。
「それで本当の所、何をしに来たんだ? お前が態々、遊びに来るって用事だけで俺の所に来る事は無いだろ?」
食後、グレンは改めてキャロルにそう聞くと、キャロルは「まあ、話したい事があってきたにゃね」と言った。
「……やっぱり、いうの止めてもいいかにゃ?」
「何だ? そんな言い難しい内容なのか?」
「私的にはそんな事じゃないにゃ、ただこれを聞いたグレン君が頭を抱えそうにゃ」
「俺が聞いたら、頭を抱える内容?」
キャロルの言葉に益々、分からなくなったグレンは取り敢えず言ってくれて内容を言う様にキャロルに言った。
そしてキャロルは「後悔しないにゃね?」と確認して、言い淀んだ内容を話し始めた。
「王妃様、というより国々からグレン君の〝伴侶〟となる女性の調査が行われたにゃ」
「な、なんだそれ? 俺の伴侶となる女性の調査?」
「そうにゃ、グレン君の周りに女性の影が全く無い訳では無いにゃけど、その全員との関係性はある程度決まってるにゃ。その中にグレンが選ぶような相手が居ない事は誰が見ても分かるにゃ、それで王達はグレンの血が絶える事を危惧して、どうしたら〝伴侶〟となる女性と出会うのか話し合いをしてたにゃ」
グレンの血、世界を救った救世主グレン。
その血を絶やすのは、世界としては危惧する内容でグレンが自分で見つけないなら、どうにかして女性と一緒にならないか会議が行われた。
そうキャロルは、自分が手に入れた情報をグレンに伝えた。
「そんな馬鹿な内容の話し合いが行われてたのかよ……」
「……でも、グレンってそう言えば人間界に戻って来てから、女性と一緒になるみたいな事を聞いた事が無いわね。少なくとも親しい女性以外に、関係のある女性は一人も居ないわよね」
話を聞いていたフレイナがそう言うと、キャロルも「グレン君、女の影が無さ過ぎるにゃ」と追加で言った。
フレイナとキャロルからそう言われたグレンは、自分でも女性の影が無さ過ぎる事は気づいていたが、正直別に欲しいとは思って無いと口にした。
「だってほら、別に女性が居なくて寂しいとかそういう感情は無いからな……正直、フレイナや妖精達が居るお陰で彼女とか嫁とか欲しいと思った事は無いんだよな」
グレンによって妖精達とフレイナは、いわば自分の家族の様な感じ。
既に家族が居るような感じでいるグレンは、態々女性と付き合って家族を得ようとは思ってなかった。
そうしてグレンは自分の知らない所で、自分の伴侶探しが行われ始めている事を知り、改めて今後の事について決めないといけないなと思い始めた。
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