第226話 【黒雲下の戦い・2】
傲慢の悪魔とベルの戦い、それは人間の領域を超えた凄まじい攻防。
魔法主体の攻撃を両者しているが、時折懐に入っては身体能力任せの体術戦を行っている。
「ベルってあんな風に動けたんだね」
「それは丁度、俺も思っていた所だ」
上空で戦っているベルを見上げながら、ウォルドレットの言葉にグレンは同意した言葉を発した。
殆ど表には出てこず、出て来たとしてもやる気のないオーラを出しているベル。
そんな彼が、今は激しい戦いをしている事にグレン達は少し驚いていた。
「魔法だけの戦いかと思ってたけど、意外とベルって肉弾戦も得意なんだね」
ウォルドレットの言う通り、ベルは普段気怠そうに魔法だけで戦っていた。
それなのに今は、接近戦となると体を上手く使いグレンとの約束通り、大きな怪我をしない程度で立ち回っていた。
本物の武闘家に比べると、見劣りはするがそれでもあのベルがあんな風に動いてると言う事実にグレン達は驚いていた。
「もしかして、ベルって僕達には黙ってたけど色々と出来たりするのかな?」
「一応上位悪魔の一体だからな、何かしら特別な能力は持ってるだろうよ」
「そうだよね~、この戦いが終わったら一度ベルに戦ってもらおうかな~」
そうウォルドレットが呑気に言うと、上空でベルと傲慢の悪魔の放った魔法がぶつかり合い爆音が鳴り、爆風がグレン達を襲った。
すぐさまグレンは壁を張り、その爆風を防いだ。
ベルはグレン達が無事である事をチラリを見ると、目の前の戦っている傲慢の悪魔へと視線を戻した。
「ベル。手前、おちょくってんのか? 何で本気で来ねえ?」
「ん? ああ、悪いな久しぶりに戦ってるから準備運動をしていたんだよ。後は、お前達がどれだけ準備をしていたのかの確認だ」
「確認?」
「ああ、人間を舐めてるお前等がグレンという脅威に対して、どこまで本気で捉えているのか確認してたんだよ。オレ様もこの場で戦うまで、お前らがちゃんと準備したらヤバいと焦ってたが……俺の思い違いだったみたいだ」
ベルはそう言うと、魔力で剣の様な造り自信の身体能力を魔法によって更に上げて傲慢の悪魔へと接近した。
一瞬のそのベルの動きに傲慢の悪魔はギリギリで捉え、回避する事が出来た。
しかしその代償に、右腕を失った。
「……何だ。その動き、昔のお前はそんな事出来なかった筈だろ?」
「オレ様を昔のままだと思っていたのか? そんな訳あるかよ」
ベルは不敵な笑みを浮かべると、傲慢の悪魔へと強力な魔法を放った。
「ッ! 何だよ。その魔法の威力は!?」
「ハハッ、オレ様は強くなったんだよ。舐めてかかってくれてありがとな!」
嘲笑うかのように傲慢の悪魔に対しそう言ったベルは、魔法の威力に驚き傲慢の悪魔の背後に回り上半身に剣を突き刺した。
剣からはベルの魔力が流れ込み、少しの間傲慢の悪魔は身動きが出来ない状態となり地面へと落下した。
ベルは落下する悪魔を一瞥すると、自身に対して回復魔法を掛けてグレン達の元へと降りた。
「グレン、約束通り怪我もせず戻って来たぞ」
「そうだな、それにしても驚いたぞベル。お前、あんな強かったんだな」
「オレ様もただ寝てた訳じゃないからな、どうだこれでオレ様の強さは分かってくれたか?」
「十分だ。取り敢えず、この悪魔は消すがベル良いか?」
グレンは一応、同郷であるベルにそう確認を取った。
ベルは一瞬悪魔を見ると、グレンへと視線を戻した。
「良いぞ、こいつは悪魔界に居た時から煩かったからな、これで金輪際合わなくて済む」
「そうか、なら分かった」
グレンはベルの返事を聞いて、最強の魔法剣を発動させ悪魔へと切りかかった。
「ッ!?」
しかし後少しの所で、目の前に転がっていた筈の傲慢の悪魔は突如現れた黒い影の中へと消え去ってしまった。
そしてグレンは急に現れた強大な魔力のする方へと視線を向けると、そこには一人の男が立っていた。
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