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第217話 【決戦前夜・2】


 それから作業を一度、きりの良い所で止めて夕食を食べる事にした。

 従魔達の腹の虫が鳴り響き、その音を聞いたメンバー達も腹が減り作業に集中できなくなっていた。


「ん~……ニアちゃんの料理が恋しいな」


「それは俺も思うが、口にするなよ……」


 夕食の準備が出来、食べ始めるとウォルドレットは用意された食事を一口食べてそう愚痴を零した。

 別に今食べている食事が美味しくない訳ではないが、ニアの作る料理が美味しすぎる為、格差が完全に出ていた。

 現にこれはウォルドレット以外の者も感じており、他のメンバーも何処か足りなそうな顔をしている。


「ウォルドレット君の気持ちは分かるな~、あの子の料理はお抱え料理人より遥かに美味しかったからね」


「そうだよね~、グレン。ニアちゃんみたいな料理が上手い子一体どこで見つけたの?」


「ニアと出会ったとは、今から行く帝都だよ。ニアは元々帝国民だからな」


 そうグレンが言うと、その事を知らないウォルドレットとウィルドは「そうなの?」と少し驚いた顔をした。


「ウィルドは良いとして、ウォルドレットには多分話した事あると思うぞ?」


「……多分、その時は聞き流してたんだと思う」


「お前な……」


 言い難そうに言ったウォルドレットに対し、グレンは呆れた顔をして溜息を吐いた。


「ニアちゃん、元帝国民って事は家族とかはどうしてるの?」


「聞いた話だと、いないって言ってたな。そん時は深く考えなかったが、もしかしたら悪魔の実験で亡くなったっていう可能性もあるかもな」


「その可能性は否定できないね。悪魔を人間に憑かせる実験で人は死んでるし、最初の頃は平民を攫ってやってたからね」


 グラムがそう言うと、ウィルドは顔を俯かせた。


「ウィルド、別にお前が責任感じなくてもいいんだぞ? お前だって、被害者の一人なんだから」


「そうだけどさ……」


 ニアの話を聞いたウィルドは、落ち込んだ顔でスープをズズッと飲んだ。

 その後、ニアの話を続けるとウィルドの心に傷を増やす事になるだろうとなり、別の話題へと変える事にした。


「そういやさっき、金策の話をしてたんだけど、帝国ってその辺大丈夫なのか?」


「大丈夫って?」


「いや、ここ数年間悪魔に乗っ取られてるんなら、国の金とかボロボロになってるんじゃないかなと」


 そうグレンが聞くと、ウィルドは「そこは逆に良くなってるんだよね」と言った。


「そうなのか?」


「うん、本来の帝国は戦大好き他国に攻撃しまくってる国で毎年予算がギリギリだったんだよ。それが悪魔に乗っ取られた事によって、悪魔達は自分達の大事な戦いの為に準備に時間を掛け、今までやってた戦を全て止めた。その結果、余計な出費が減って他の所にお金が行くようになったんだ」


「成程、本来無駄に使われていた戦争費用が浮いて、その分備蓄されていったのか」


「そうそう。それに悪魔も働かない訳ではないから、無駄に強い力で国を発展させて僕が出て行く時点で、元々の帝国以上のお金を溜めていたよ」


 ウィルドがそう言うと、グレンは「悪魔に乗っ取られて発展した国か……」と呟くと、それを聞いたウィルドは悲しそうな表情をした。

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