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第212話 【帝都へ・1】


 帝国に入ってから数日後、グレン達は先に入国して情報収集していたキャロル達と合流した。


「にゃ? そっちの人は、もしかして帝国の皇子かにゃ?」


 合流して直ぐにキャロルは、ウィルドを見てそう言った。


「あれ、君は僕の事知ってるの?」


「情報屋にゃから、帝国の事も割と知ってるにゃ。でも、あたしの情報だと帝都の悪魔逃亡騒動の時に居なくなったって聞いてたにゃけど……」


 キャロルはそう言うと、グレンの方を見て「どういう事にゃ?」と尋ねた。

 そう聞いて来たキャロルにグレンは、ウィルドとの出会いの所から説明をした。

 そしてグレン達もキャロル達から、帝国の情報を聞いて互いに情報交換を行った。

 それから、キャロルをグレン達の乗る馬車のメンバーに加え移動を再開した。


「それにしても、帝国の皇子がまさかグレン君達と一緒にいるとは思いもしなかったにゃ」


「俺達も出会ったのは偶然だからな、あと一歩俺達が王都を出るタイミングが遅れてたらウィルドとは会えてなかったと思う」


「確かにそうだね。僕も自分がギリギリだった事は分かってたから、もし一日でもズレていたら死んでた可能性はあるね」


 キャロルが居る為か、ウィルドは落ち着いた雰囲気でそう言った。


「そんな大変な状況だったのかにゃ?」


「まあ、魔物に襲われて傷だらけのまま、衰弱した状態で地面に倒れていたからな……」


「一国の皇子がそんな状況に陥ってたにゃ!?」


 グレンの言葉にキャロルはそう驚くと、ウィルドは苦笑いを浮かべた。


「その国も今じゃ、悪魔に乗ってられてるんだけどね。今更、僕は自分が偉い立場の人間だとは思って無いんだけど、グラムがそれを許してくれないからね」


「皇子は皇子ですからね」


 ウィルドは今回の悪魔騒動で、自分はもう偉い立場の人間ではないと思っていた。

 しかし、そんなウィルドにグラムは「皇子は皇子です」と頑なに譲らなかった。


「悪魔討伐後は、帝国を元よりもより良い国にする為に頑張らないといけませんからね。その時、上に立つ人間が居ないといけませんから」


「……それなら、ブラッド家が帝国のトップになればいいと思うんだけどね。家柄も悪く無いし、グレンに至っては悪魔討伐の立役者になりそうだし」


「俺は国のトップなんかに興味無いし、そもそも生まれ育った場所でも無い所に行き成り王として立つのは嫌だな」


「僕も皇子が居るのに、自分が上に立つなんて嫌ですよ?」


 ブラッド家兄弟にそう言われたウィルドは、溜息を吐いて「大変だろうな……」と言った。


「元トップだった皇帝は悪魔に乗っ取られたままだし、悪魔を片付けた後は暫くの間は相当大変だろうな……」


「そんな他人事みたいに言わないでよグレン……」


「現に他人事だからな、悪魔騒動が終わったら帝国と関わる事は殆ど無いだろうし、唯一関わるとしても実家としか関わらないつもりだからな」


 悪魔騒動が終われば、自分は温泉巡りをするつもりだとグレンは言った。

 その事を聞いたウィルドは、羨ましそうに見つめた。

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