第202話 【部隊編成・2】
少し怒り気味に言ったウォルドレットに、グレンは「すまんすまん」と笑みを浮かべながら謝罪をした。
その後も雑談を続けていると、呼び鈴が鳴りニアが誰が来たのか見に行くと、直ぐに戻って来て「グレン来て~」とグレンを呼んだ。
「どうした?」
ニアから呼ばれてグレンは、リビングから玄関に行くと、そこにはニアとガリウスが居た。
「珍しいな、お前が俺の家に来るなんて」
「まあな、ちょっと今日の事で少し話したいと思ってよ。今、大丈夫か?」
「大丈夫だぞ、ウォルドレット達とも話してた所だから丁度良かったな」
そう言ってグレンは、ガリウスを家の中に招き入れた。
「あっ、ガリウス。どうしたの~?」
「ようウォルドレット、さっきぶりだな。いや、さっき部隊の編制を発表されただろ? それについて少し話したいと思ってな」
「そっか~、ガリウスはグレンの魔法剣部隊の隊員だから、僕とも一緒に戦うんだよね? よろしくね~」
新しくガリウスが加わり、部隊について色々と話していると、ふとガリウスは「そう言えば」と言って袋を取りだした。
「なにそれ? 何かいい香りするけど?」
ガリウスの取り出した物に興味を示したウォルドレットは、その袋の中身をガリウスに聞いた。
「いや俺も中身は、知らないんだ。こっちに来る途中でメリアと会って、グレンの所に行くならこれを渡して欲しいって頼まれたんだよ。グレン、何かメリアに頼んでたのか?」
「んっ? ああ、もう出来たのか」
メリアからの届け物と聞いたグレンは、笑みを浮かべながら袋を受け取った。
「本当は温泉に行きたい所なんだが、もし王都から離れた瞬間に何かあったら直ぐに気づけないだろ? だから、メリアに頼んで温泉気分を味わえつつ疲労回復の効果がある入浴剤を作ってくれって頼んだんだ」
「そんな物頼んでたのか……メリアもよく、そんな物を作る気になったな」
ガリウスは大事な時期に、そんな物を作らせていたグレンに呆れた顔でそう言った。
「そんな物って、風呂は大事だぞ? ガリウスだって、風呂の良さは分かるだろ?」
「まあ、確かに風呂が良いのは分かるけどよ……」
風呂を大切に思ってるグレンは、入浴剤を軽く見たガリウスに対し真顔でそう詰めながら言った。
グレンの変貌にガリウス、若干迷惑そうな顔をして周りに居るグラム達に視線を向けた。
しかし、こうなったグレンを止められるのは居ないと分かってるグラム達は、ウォルドレットも含めガリウスの助けには入らなかった。
結局グレンが落ち着いたのは、風呂の良さを語り始めて一時間が経過した頃だった。
「あれ、そういや俺何してたんだっけ? ガリウス、何でそんな疲れた顔してるんだ?」
一時間語り続けたグレンは、何があったのか忘れて目の前で疲れた顔をしているガリウスを不思議そうな顔で見ながらそう言った。
それに対しガリウス、疲れ切った顔でチラリとグレンに視線を向け、何も言わず遠い目をして天井を見上げた。
グレンはそんなガリウスの様子をグラム達に「何があったんだ?」と聞くが、グラム達も特に何も言わずグレンは何があったの分からず首を傾げた。
その後、体力が戻ったガリウスは来た目的でもある編成についての話をする事にした。
「グレン、一つ聞くが俺達は何したらいい? グレンとウォルドレットは、前線で上位悪魔と戦うのは前から聞いてるが、俺達の戦力で下位の悪魔とは戦えそうなのか?」
「そうだな……魔法剣部隊の力は大分上がってるし、個々で相手せずに一体につき複数で戦えば割と下位の悪魔とも戦えるとは思うな。グラム兄さんもそう思うだろ?」
「うん、そうだね。下位の悪魔なら戦えると思うよ。それに僕は、グレン達の方じゃなくて魔法剣部隊の補助に回ってるから、危なくなったら僕が助けるから安心して戦ってくれていいよ。ベルの力も存分に使う予定だしね」
そうグラムが言うと、ガリウスは「上位悪魔の力を貸してくれるのは、有難いな」と少し安心した様子でそう言った。
「でもベルは良いのか? 相手に自分が人間の味方してるって、示してるようなものじゃないのか?」
そうグレンが聞くと、グラムは「ちょっと待ってて」と言うと、雰囲気が一瞬にして変わった。
「オレ様としては別に良いぞ、あいつ等の悔しがる姿を近くで見れるからな」
「そうか、まあベルの力があれば下位の悪魔と戦ってるガリウス達の心配はしなくても大丈夫そうだな」
「おう。部隊の方は任せてな、その代わりあいつ等を思う存分痛めつけてやってくれよ」
ベルはそれだけ言うと、再び雰囲気が変わりグラムが戻って来た。
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