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第190話 【ウォルドレットVSグレン・3】


 ウォルドレットの得意とする魔法はグレンの持つ情報の中には無く、当時の事を思いだしても〝均等に色んな魔法を使っていた〟というイメージしかない。

 しかし、グレンのその知識は大方合っており、ウォルドレットは何かに特化してる訳ではなく色んな魔法を器用に使いこなすタイプの人間だった。


「よくもまあ、そんな色んな属性をポンポン出せるな」


「それはグレンもそうでしょ?」


 ウォルドレットはマーリンやグレンと同じ、全属性全ての属性魔法が使える。

 その為、先程からグレンとウォルドレットは、属性の相性を見て全ての属性を使い分け、互いの魔法を相殺する高度な戦いをしている。

 そうして徐々にヒートアップしていくと、今度は転移を使い死角から行き成り攻撃したり始めた。


「おいおい、あいつ等力は抑えてるが周りの被害考えろよ……」


 一番近くで試合を見ていた審判役のガリウスは、万が一の事を考えて持っていた盾で魔法を弾きながらそう言った。

 戦いに集中して来てると判断したガリウスは、周りで観戦していたメンバー達に距離をとる様に指示を出した。

 その後もグレン達は戦いを続け、ガリウス達が避難をしてから30分程してようやく周りが避難している事に気が付いた。


「んっ? ガリウス達、何で距離とってるんだ?」


「ん~、僕達の戦いの邪魔をしないように為じゃない? それか、僕達の戦いが予想してたより激しくなってるからとか?」


「あ~、その可能性があるな。どうするこの辺でやめとくか?」


 一応、二人共戦いに夢中ではあったが、元々力を見るだけという目的は忘れていなかった。

 その為、グレンは周りが避難意思た所も見て止めるかどうか提案した。


「う~ん……なんか物足りない感じはするけど、ここじゃこれ位が限界かな?」


「そうだな、外だとこれ以上は厳しいだろうな。まだ俺に何か見せたいなら、近い内に迷宮に一緒に行くか?」


「あ~、そっちの方がいいかもね」


 そう言ってグレン達は、模擬戦を終わりにして離れていたガリウス達に「終わったぞ」と伝えた。


「何だ。もう満足したのか?」


「満足は出来てないが、これ以上は被害が出るからな。やめておくかって、なったんだよ」


 グレンの言葉にガリウスは「熱くなり過ぎてなくて、良かったよ」と安心したようにそう言った。

 その後、グレン達は戦いでボコボコになった地面を直し、普通の訓練を始める事にした。

 そうして始まった訓練だが、久しぶりに来たという事もあり、メンバー達の魔法剣の出来栄えを確認する事にした。


「いや、まあ元々能力の高い者達を集めたのは理解してたけど、こうも早く魔法剣をここまで使えるようになるとはな……」


 メンバー達の発動した魔法剣の精度に、グレンは驚きそう口にした。


「グレンのアドバイスがあったのと、妖精達の力も借りられたことが大きいだろうな。魔力の動きとか、的確にアドバイスしてくれたしな」


 ガリウスがそう言うと、グレンの周りに飛んでいた妖精達は「私達、褒められた」と嬉しそうに飛び回った。

 そんな妖精達にグレンはお礼を言うと、ウォルドレットが「僕のも見てくれるかな?」と言ってグレンに自分の魔法剣を見せた。


「……さっきも見て思ったが。一人でここまで出来るって、本当にお前って才能の塊だよな」


「器用なだけだよ。従魔を従える能力以外は、特に強い力も無いからね」


 ウォルドレットは従魔使いとしての能力以外、器用さでカバーしていると自覚していた。


「俺から見たら、その器用さも凄いと思うけどな……」


 溜息を吐きながらグレンはそう言うと、ウォルドレットの魔法剣について意見を言った。

 ウォルドレットはそのグレンからの意見をメモして、自分だけでは見つけられなかった課題を見つける事が出来、嬉しそうにグレンに感謝した。

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