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第174話 【罪を犯した者・2】

 本来、教会は一人一部屋という分け方ではないのだが、エミリーと一緒の部屋は嫌だと全員から言われ、現在は一人で一部屋使わせてもらっている。

 部屋に入ったエミリーは、日中の疲れも溜まっている為か直ぐにベッドに横になった。

 そうして目を瞑る、直ぐにエミリーは眠った。


 そして翌日、エミリーは朝日が昇るのとほぼ同時刻に目を覚ました。

 他の者達と行動が被らないようにする為には、自分が早く起きないといけないと思ったエミリーはどんなに疲れていてもこの時間帯に起きるようにしている。


「今日も一日、いつも通りの生活が出来ますように」


 起きて直ぐにやる事は、部屋に置いてある神の像に対してのお祈り。

 一日の半分は、お祈りの時間に当てるように聖女から言われ、指示通りエミリーはちゃんと一日の半分は祈りの時間として使っている。

 お祈りが終わったら、顔を洗いに一度外に出て、訓練用の服を着てその上からコートを着用した。


「マリアさん、行ってきます」


「ええ、行ってらっしゃい」


 この時間でも唯一起きているマリアに見送られながら、エミリーは教会を出て城へと向かった。

 勿論道中、自分の顔が見られないようにフードを深く被って移動している。

 国の許可で外に出たエミリーだが、王都で悪事を働いていた過去がある為、顔を見られると騒動が起きてしまう。

 それを理解していたエミリーは、初日から外では顔を隠した生活をしている。

 今自分が外に出ている事をしっているのは、城で働く者と悪魔対策部隊の人達、そして教会の者達だけである。


「おはようございます」


「今日も早いな、訓練頑張れよ」


 門番をしている兵士と挨拶を交わしたエミリーは、そのまま敷地内へと入って行った。

 そうして城内に入ったエミリーは、その足で聖女の居る部屋へと向かった。


「失礼します。聖女様、おはようございます」


 部屋をノックし、中から「入っても良いですよ」と聖女の言葉を聞いたエミリーはそう言って部屋の中へと入った。


「おはようございます。エミリーさん、体調の方は大丈夫ですか?」


「はい、今日も何処も悪くないです」


 毎日魔力が底を付くほど訓練をしている為、朝挨拶をすると決まって聖女はエミリーの体調を見るようにしている。

 そして体調が万全である事を確認した後、少しだけ雑談をしてからお祈りの準備を始めた。


「そう言えば、エミリーさんにお渡しする物があったんです」


 準備を終え、お祈りを始めようとした所、聖女にそう言われたエミリーは「贈り物? 私に?」と困惑した。


「はい、こちら私の師匠でもある賢者マーリンからの贈り物です」


「えっと、コートですか?」


 聖女から渡された箱を開け、中身を確認するとコートらしき物が入っていた。


「エミリーさん、今使ってるコートは普通の物を使ってますよね? それだと、もしも顔がバレた際に騒動になるかもしれんと、師匠が【認識阻害】の効果があるコートを持ってきてくれたんです」


「えっ? 認識阻害付きのコートって、普通には手に入らない物ですよね?」


「そうですね。作れる者が少なく、出回ってる物は少ないですね。ただそのコートは、元々師匠が褒美として貰った物なんですが。師匠には必要のない物で、倉庫に放置してらしいんです。それで、どうせなら必要そうなエミリーに渡した方がコートも嬉しいだろうと、体のいい処分をしただけですから、気にせず受け取ってください」


 聖女の言葉にエミリーは「でも、流石にこんな高価な物は……」と断ろうとした。

 しかし、聖女から「もしも、顔が見られ騒動になるより良いですよ?」と言われ、結局断る事が出来ずそのコートを貰う事になった。

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