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第168話 【獣人族の戦士達・4】


 その後、話し合いは進みある程度の事が決まった。

 そして話し合いを始めた時に約束した魔法剣を見せる為、場所を昨日戦った広場へと移動した。


「危ないから離れていろよ」


 グレンはそう言うと、剣を取り出して【魔法剣】を発動させた。

 昨日も戦闘の時に使っていたが、その時は普通の魔法だった。

 しかし、今回は〝最強の魔法剣〟を発動させた為、昨日の魔法剣に比べて剣から放出している魔力の質にレオナードも驚いた顔をして凝視した。


「これが悪魔の戦いの際に使っていた魔法剣だ。あの時より、魔力と制御力も上がってて、あの時よりも強くはなってる」


「おお! それがあの映像の魔法剣か! 凄いな、グレン!」


「すげ~、すげ~よグレン! そんな禍々しい魔力、俺初めて見たぜ!」


 レオナードとティオスは魔法剣を見て興奮したのか、鼻息を荒くしてそう叫んだ。

 そして誰よりも【魔法剣】を見たがっていたリオンは、グレンの魔法剣を見て「凄い……」と言葉を零した。


「グレンさんが凄いって父さんから聞いてたけど、こんなに凄いとは驚きました……」


 レオナード達みたいに鼻息は荒くはないが、レリオンもグレンの魔法剣を見て興奮した様子でそう言った。


「その魔法剣で悪魔をぶった切ったんだよな? ここでその魔法剣とやらの力は、見せる事は出来るか?」


「ああ、出来るぞ」


 レオナードからの言葉にグレンはそう答えると、レオナード達の誰かに魔法を撃てる奴は居るか? と聞いた。

 すると、リオンが「風の魔法だったら出来ます」と返事をしたので、グレンはリオンに魔法を自分に向かって放つように言った。


「ほ、本当にしますよ?」


「大丈夫だから、全力で放っていいぞ」


 心配気味に言うリオンに、グレンはそう言った。

 グレンの言葉に従うようにリオンは、自分の制御出来る最大の風の魔法をグレンへと放った。

 その魔法に対して、グレンは避ける動作を一切せず、魔法が自分の所に来るまで待った。

 そして直撃する瞬間、一瞬にして剣を魔法に対して振ると、リオンの魔法は一瞬にして掻き消えた。


「えっ、今何が起こったのですか!?」


「この魔法剣に付与してる魔法の効果で、リオンの魔法を消したんだ」


 能力を聞いたリオンは「そ、そんな魔法が存在するのですか?」と驚いた顔で質問した。


「賢者マーリンが作り出したんだよ。まあ、扱うのに色々と条件があるから、今の所この魔法を使えるのは俺と賢者マーリンだけだ」


 グレンの言葉を聞いたリオンは「賢者とは凄い方なのですね……」と、グレンの魔法剣を見つめた。


「昨日の戦いの時に使わなかったのは、その能力が強すぎるから使わなかったのか?」


「ああ、どんなに制御した所でこいつは強すぎるからな、だから魔物相手位じゃないと練習出来ないんだよな」


「成程な、確かに今の見た感じだと模擬戦で使うような技では無いな」


 レオナードは納得した顔で、そう頷きながら言った。

 その後、魔法剣のお披露目と顔合わせは終えたのでリオン達とはここで解散した。


「しかしまあ、あの時の子供がここまで凄い奴になるとは思いもしなかったな……」


「俺だってお前が獣王になったって話を聞いた時、マジかよって驚いたぞ? お前、自分が王になる為に修行しに来たとか一言も言わなかっただろ?」


「……それはすまん、あの時は身分を隠していたんだよ。当時から、俺は腕っぷしは強い方だったから他の王を狙ってる奴等より狙われてたんだよ。それこそ、親父や兄弟から刺客を送られた事だってあったんだ」


 レオナードは、当時の事を思いだしながらグレンにそう言った。


「この大陸じゃ満足に修行に集中出来ないと思った俺は、レリオンと妻を俺が信頼する友の所に隠して、俺は一人で他大陸に修行に行ったんだ」


「冒険者になる時に偽名を使ったのも、自分の居場所を隠す為だったのか?」


「そうだ。いくら他大陸だったとしても、修行を兼ねて冒険者をするならいずれ名が知れ渡るだろうと思ってな、あの時は色々グレンに世話になったな。本当に助かったぜ、ありがとな」


 レオナードはからお礼を言われたグレンは、「何度も礼の言葉いらないっての」と笑みを浮かべながら言った。



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