第148話 【カグラ・4】
その後、入浴を済ませたグレンは夕食を食べる為、リビングへと移動した。
するとそこには、数日前からグレンの家に居候状態のクリスが既に座って待っていた。
「クリス、お前いつまで俺の家に居るんだ?」
「えっ? ちゃんと、宿探してるよ?」
グレンの言葉にギクッと体を動かしながら、クリスはそう言った。
そんなクリスの言葉に、グレンは大きく溜息を吐いた。
「……ニアの飯が食べられなくなるから、宿探し積極的にしてないだろ?」
「ッ! そ、そんな事は」
慌ててそう弁明しようとしたクリスだったが、やり取りの途中で入ってきたニアが持ってる料理に視線が行き、言葉が止まった。
「今のみて、信じろって言われてもな」
そう言ったグレンは腹が空いてる為、それ以上は言わずに席に座って夕食を食べ始めた。
初日にグレンの家に泊りに来たクリスは、それから宿探しを積極的にせずにそのままグレンの家に住み着いている。
「そう言えばグレン聞いたぞ、今日あのカグラと試合したんだって」
「クリス達の所にも話が入ってるのか? 早くないか?」
昼間の出来事が既に、回っている事にグレンは驚いた。
しかし、次のクリスの言葉で、そんなに早く話が回ってるのかを理解した。
「今日の終わり頃にキャロルから聞いたんだよ。グレンとカグラが戦ったって」
「……あいつ、この大事な時期にもそんな事してるのかよ」
呆れた様子でグレンはそう言うと、隣に座っているニアが「カグラって誰?」と聞いた。
「あ~、今俺が受け持ってる部隊のメンバーの奴だ。ヴォルグさんは知ってるだろ? あの人の姪の子だよ」
そうカグラの情報をニアに教えたグレンは、対面に座っているクリスの方へと視線を戻した。
「それでどんな風に話が回ってるんだ?」
「そんな変な感じには回ってなかったぞ、グレンとカグラが戦ってグレンが勝利したって、流石のキャロルもネタの中にヴォルグさんの姪にあたるカグラが居たから自重したんじゃないか?」
「その可能性はあるな、これが俺と他の奴だったら面白おかしく回してただろうな……」
「それで戦いの事、詳しく知らないがどんな風だったんだ?」
ズイッとクリスは興味津々といった様子で、そうグレンに尋ねた。
別に隠す必要も無いし、見ていた者は多かったと思ったグレンは自分視点でのカグラとの試合の話をした。
終始クリスは興味津々といった感じで聞き、ニアもまたグレンの話を聞いて「凄い」と感想を零した。
食後、今日は疲労が溜まっていたグレンは、ニア達に寝ると伝えて自室へと向かい。
ベッドに横になると、直ぐに眠りについた。
「グレンさん、今日もよろしくお願いします」
「……今日は勘弁してくれ」
翌日、昨日に引き続き模擬戦をカグラから打診をされた。
昨日の今日ではキツイと感じたグレンはカグラからの打診を断り、数日置いてくれと逆にお願いをした。
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