第115話 【帰国・2】
そして翌日、早めに帰国するように言われた俺は眼の力を使いニアの居場所を探してその場所に向かっていた。
「あれ、グレン? 三日連続で偶然出会う何て凄いね!」
「今日に関してはちょっと違うけどな、お前その荷物どうしたんだ?」
眼で見た時からニアは、大荷物を抱えて移動していたのが見えていた。
俺はそれが疑問に感じていたため、ニアに聞く事にした。
「えっ? ほら、昨日王都に行った方が良いって言ったでしょ? だから、準備してもう行こうかなって」
「いや、行動力早いなっ」
大体予想してたけどよ! 昨日の今日で、もう行くってどういう行動力してるんだ!?
「だって、私親も仲間もいないから少ない知り合いに挨拶して、泊ってた宿解約したら動けるもん」
「少ないって言葉はいらないだろ……まあ、でも手間は省けたな。ニア、お前さん良ければ俺と一緒に王国に行かないか?」
「えっ? グレンも王国に帰る事になったの?」
「ああ、用事はもう終わったからな、早いうちに国に帰る予定だったんだよ。それでお前と予定が合えば一緒にって思って、今日お前を探していたんだ」
昨日の話し合いの時、俺はニアの事をグラム兄さんに伝えていた。
グラム兄さんは帝都での俺の行動を知っていたみたいで、ニアの事も調べ上げており悪魔事件に関与していない事も分かっているので連れて行っても良いと許可もおりている。
「えっ、一緒に行きたい! 一人で王国に向かうの、ちょっと寂しいって思ってたし」
「そうか、もうニアの方の準備は終わってるのか?」
「うん、後は馬車に乗るだけだったから、大丈夫だよ」
ニアからそう言われた俺は、ニアを連れて宿に戻って来た。
キャロルには妖精を介して、ニアと一緒に帰る事を伝えていたので解約の手続きを進めていて、戻って来た時には宿の前にキャロルが待っていた。
「初めましてにゃ、ニアちゃん。あたしはグレンの仲間のキャロルにゃ」
俺の仲間だと挨拶をしたキャロルに俺は、無言で頭を叩いた。
「痛いにゃ!」
「仲間を自称するからだろ、ニアこいつはただの付き添いだから気にするな」
「え、えっと……ニアです。よろしく?」
「よろしくにゃ!」
俺とキャロルを交互に見て、困惑しながらキャロルにニアは挨拶をした。
そんなニアの挨拶にキャロルは笑みを浮かべて返し、俺達は宿の前から歩き出した。
「あれ、グレン? 馬車には乗らないの」
「ああ、別の移動手段があるからな、取り敢えず帝都から出て人が居ない所に行く予定だ」
俺はそう言って帝都の外に出て、ある程度人が居ない所まで移動した所でキャロルとニアの肩に手を置いて転移眼を使用した。
「えっ、今のって転移?」
「そうだ。俺は転移を使えるからな、さっきまでと景色が違うだろ?」
初めて転移したニアは驚き俺に聞いて来たので、周りを見るように言った。
先程まで近くに帝都を守る壁が見えていたが、今は王都近くの森の中だ。
「ほ、本当だ……凄いねグレン。流石、Sランク冒険者だ」
ニアは俺に対し、尊敬する眼差しを向けてそう言った。
その後、ニアを連れて王都に入った俺達は、そのままギルドに寄って帰国した事を伝えた。
そうしてギルドを出た後、キャロルは王妃様の所に行くと言って別れ、俺はニアと共にクランハウスへと向かった。
「……それでその子をクランに入れてくれと?」
クランハウスに着いた俺は、その足でガリウスの部屋に向かった。
そして部屋に入り、ガリウスにニアをクランに入団させてくれと頼んだ。
「ああ、こいつ今までソロで活動していたみたいで仲間を見つけるのが下手みたいだからな、クランに入れば仲間集めはしなくてもいいだろ?」
「まあ、そうだが……ニアと言ったか? お前はクランに自分から入りたいと言ったのか?」
「は、はい。私、今まで仲間と一緒に冒険とかした事が無いし、どうやって仲間を見つければ良いのか分からなくて、それでグレンに聞いたらクランに入ったらどうだ? って言われて……」
ニアは緊張した様子で、ガリウスからの質問そう答えた。
そんなニアの様子を、黙って見ていたガリウスは「分かった」と言ってニアの入団を許可した。
「良いのか?」
「ああ、グレンが入れてやってくれって言われた時点で入団を拒否するとは考えてなかったしな、ただこの子が本当に自分から入りたいのかだけ聞きたかったんだよ」
ガリウスはそう笑みを浮かべて言うと、横に座っているニアが「き、緊張した……」と力が抜けたようにそう言った。
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