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第109話 【ブラッド家・2】


「今の話からにゃと、帝国には多くの子供が悪魔に体を乗っ取られてるのかにゃ?」


 話を聞いていたキャロルはそうグラムに聞くと、グラムは頷いた。


「そうですね。その実験が成功を重ね。今では、大人にも同じような事をしています。なので、悪魔憑きの人間の数はかなりいますね」


 そこで話を終えたグラムは、頭を抱えて悩んでいるグレンへと声を掛けた。


「グレン君、今は多くの事を聞いて悩んでると思います。ですが、これだけは言わせてください……生きてて本当に良かった」


 グラムはそう言うと、これまで我慢していたのか大粒の涙を流した。

 その後、一先ず落ち着く為に用意していた飯を食べる事にした。


「そう言えば、グラム兄さんはその実験には参加させられなかったのか?」


 色々と悩んだ結果、グレンはグラムの事を兄と認識する所から始める為に〝グラム兄さん〟と呼ぶことにした。


「そう言えば、言ってませんでしたね。その実験にですが、僕も参加させられましたよ。それで、僕も悪魔憑きの人間です」


「はっ?」


「にゃっ?」


 グラムの言葉に、グレンとキャロルは口に入れようとしていた料理をテーブルに落とした。


「ああ、安心してください。僕の憑いてる悪魔は、色々と面倒くさがりな悪魔で体を乗っ取られるという事にはなってないんですよ」


「いやいや、そう言う問題じゃなくて! さっき、話してた内容だと悪魔憑きは上の命令に逆らえないって!」


「そこも安心してください。僕の悪魔は、そこらの悪魔よりも強い悪魔ですから、僕に命令出来る人はこの世界に居ませんよ。だから、僕は聖女のスパイとして活動したり、こんな風に一人で動いてるんです。まあ、こんな事が出来るのも血のおかげなんですけどね」


 笑みを浮かべて話をしていたグラムは、意味深な言葉を最後に言うとグレンへと視線をやった。


「血のおかげ? それってなんにゃ?」


「ブラッド家が元々秘密主義の家系なのは、流れてる血が特別な力を持ってるからそれを隠す為に必要以上に喋ったりしないようにしてるんだよ。グレンはこれまでの人生の中で、特別に感じた事とか無かったかな?」


「……強いて言えば身体能力の高さとか?」


「まあ、それもあるね。他にもブラッド家の血には、学習能力の高さだったり後は人外から好かれる能力もあるね。僕もそれのおかげで、僕に憑いた悪魔と和解して、今は力を貸して貰えてる状態だよ」


 ブラッド家の血について、そう説明を受けたグレンは思い当たる所がいくつかあった。


「フレイナもそうだけど、やたら俺が妖精に好かれてるのは血の力ってのもあるの?」


「多分そうだね。人外から好かれる能力と言っても、個々で違うからね。父さんは動物に好かれていて、僕の対象は悪魔だったんだ」


「成程、それで俺は妖精に対してか……フレイナは今の話を聞いてどう思う?」


「……そうね。グレンと初めて会った時から、興味があったのは前にも話した通りだけど、その話を聞くと確かにグレンがやたら私達に好かれてる事も分かるわね。黙ってはいたけど、こんな沢山の妖精が一人の子に契約する何てグレンが初めてよ」


 フレイナはグラムの話を聞いて、これまで自分を含め多くの妖精に好かれているグレンの謎だった部分の説明が良き、何処かスッキリとした表情でそう言った。


「と言うか、俺の妖精から好かれるって能力は珍しいけど、グラム兄さんの〝悪魔に好かれる〟って更に珍しい能力じゃない?」


「……多分だけど、この能力って〝自分が興味ある種族〟に対して効果があるんだと、この能力を聞いた時にそう思ったんだ。父は、幼い頃に動物ともっと触れ合いたいと思ったら、動物に好かれるようになったって言ってて、僕はそれこそ実験を受けて保身というのもあって、悪魔と仲良くなりたいって子供ながら思ったら、僕の憑いてる悪魔が気に入ってくれたみたいで一緒に暮らす代わりに力を与えてくれたんだ」


 グラムのその仮説に対して、グレンはフレイナとの出会った時の事を思いだしながら話し出した。


「言われてみれば、俺って小さい時にフレイナと会って、その時に妖精と仲良くなりたいってその当時思っていたな……」


「僕の仮説だと、そこで能力が〝妖精に好かれる〟に決まったんだと思うよ」


 グレンの話にグラムはそう言葉を返し、グレンは何故自分が沢山の妖精に好かれるのか一つの謎が解けた感じがした。



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[一言] こんな沢山の妖精が一人の子に契約する何てグレンが初めてよ →こんな沢山の妖精が、一人の子と契約する何て、グレンが初めてよ
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