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第107話 【悪魔憑き・3】


「ここが帝都か……」


 迷宮のある街から三時間程で帝都へと到着した。

 馬車から降りたグレンは、帝都の中へと入るとポツリとそう呟いた。


「グレン君、先に宿をとるかにゃ?」


「ああ、それが良いだろうな。聖女様の協力者に会うのは夜だし、それまでは大人しくしておこう」


 元々帝国の調査は聖女の協力者に頼む予定だったが、グレンが帝国に行くと言い出して急遽その協力者に聖女が連絡をしてグレン達に手を貸して欲しいと頼んだ。

 その結果、その協力者は聖女の頼みを聞き入れ、グレン達が帝国に着いた際に会って話をする事になった。


「どうせ、グレン君の事だから風呂がある所が良いにゃよね?」


「ああ、綺麗な風呂さえあれば飯はどうにかなるからな」


「分かったにゃ。それじゃ、あたしが調べた宿に行くにゃ」


 キャロルにそう言われたグレンは、一緒に帝都の街中を歩いて宿へと向かった。

 特に行事も無い為、宿をとるのは直ぐに出来た。


「さて、これから夜まで暇だな……何かするか?」


「……やめたおいた方が良いにゃ。ここはもう敵の巣みたいな所にゃから、下手に動くのは止めた方がよいにゃ」


「……そうか。キャロルがそういうって事は、お前のそのよく当たる勘に動いたら駄目とでも言われたか?」


「そうにゃ、だから話し合いの時間まで部屋で待機が一番いいにゃ」


 グレンの言葉に、キャロルは真面目な顔をしてそう答えた。

 キャロルの勘が良く当たる事は、長い付き合いのグレンは知っていた。

 その勘が嫌な予感がしてるというのであれば、グレンはそれを無視して動こうとは思わなかった。


「分かった。取り敢えず、夜までは待機だな」


 そうグレンが言った後、グレン達は話し合いの時間まで宿の部屋で時間を潰す事にした。

 それから数時間後、陽が完全に落ちて夜になった頃、グレン達は動き出した。

 話し合いに指定された場所は、帝都のある個室が用意されているちょっと良い所の食堂だった。


「ここか?」


「名前も場所もあってるにゃから、ここだと思うにゃ」


 建物の前に着いたグレン達は初めての場所の為、確認しながら店の中に入った。

 店の中に入ると店員が奥から出て来て、予約者の名前を聞いて来た。

 その問いに対してグレン達は、名前を名乗ると店員は奥の部屋へと案内をした。


「こちらになります。既にもう一人の予約の方は付いておりますので」


 部屋の前で店員からそう言われたグレン達は、案内してくれた礼を言って部屋の中に入った。

 部屋の中には既に料理が並べられており、奥の席に一人の男性が座っていた。

 その男性は赤髪に赤い瞳で、何となくグレンに似た風貌をしていた。

 それは本人でさえ思う事でグレンはその男性を見て、あれ自分と似てないか? と思い入口で立ち止まったままだった。


「君が驚いている事は僕も驚いている事だから、取り敢えず入りなさい」


「ッ、す、すみません」


 グレンは男性の指摘に慌てて部屋の中に入り、扉を閉めて男性と向かい合うように席に座った。 

 グレンの横には先に入っていたキャロルが座っていて、グレンとその男性を交互に見て「似てるにゃ……」と呟いた。


「まず最初にお互いに自己紹介と行こうか。僕の名前は、グラム・ブラッド。帝国貴族ブラッド家の当主をしてる者だよ」


 男性のその言葉に、グレンとキャロルは順番に自己紹介を行った。


「成程……君が帝国でも噂になってるグレン君か……」


「えっ、俺って帝国でも噂になってるんですか?」


「ああ、新しくS級に上がった冒険者が居るって、帝国の冒険者の間じゃちょっと噂になってるよ」


 グラムは帝国でのグレンの噂をそう伝えると、グレンは「だから、街中で少し見られてたのか……」と自分が注目されていた事に合点が行き、そう呟いた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] まさかの父親!?
[一言] 聖女だの敵だの口に出しすぎだろ ダメなことわかってるのに 聞かれているかもとか思わないって頭の悪い会話 何でもかんでも言葉にすればいいってわけじゃないだろうに
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