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第106話 【悪魔憑き・2】

 その後、愚痴を続けるグレンだったが、帝国にある風呂付きの宿を既に手配しているとキャロルが言うと手のひらを返し、キャロルを褒めたたえた。

 グレンの機嫌が治った所で、キャロルは帝国でのどう動くのかグレンに尋ねた。


「まあ、入国理由から迷宮探索と言ってるし、最初は帝都にそのまま行くんじゃなくて帝国の迷宮を少し探索するつもりだ。一応、それも目的の一つだからな」


「にゃるほどにゃ~」


 キャロルはグレンの提案を聞くと、そう返事をした。

 それから特に問題も無く帝国への旅は順調に進み、約三日間の馬車での旅は無事に終わった。

 到着した街は、帝都から近い場所でグレンの目的である迷宮から一番近い街だ。

 事前にキャロルが予約していた宿に入ったグレン達は、部屋の鍵を貰い早速街の散策へと出かけた。


「……意外と普通に人が居るにゃね」


「そうだな、実際に見てみないと分からないもんだな。まあでも、この街は比較的冒険者の方が多い街だからってのもあるかもだな」


 意外にも普通の生活感がある街な事に、キャロルは少し驚いていた。

 その後も街の散策を続けたグレン達は、夕暮れ時に宿に戻って来た。

 夕食を食べ風呂を済ませた後、グレンの部屋に集まり話し合いを始めた。


「今日見た感じだと、生活苦で苦しんでる風には見えなかったな……」


「そうにゃね。でも、あの資料には生活が苦しい書いてあったにゃ? どういう事にゃ?」


「分からないな、あの資料が間違ってるとも言えないし、ティアさんの信頼してる人が嘘を書くってのもな……取り敢えず、なるべく色々と情報を集めるのが良さそうだな」


「にゃ。でも、目だっちゃ駄目にゃよ?」


 グレンの言葉に対して、キャロルはそう注意を言って初日の話し合いは終わった。

 それから数日間、グレン達は迷宮に探索に行ったり、街での情報収集を行った。

 目立つ行為が出来ない為、普通に生活してる中での情報収集で重要な情報を集める事は出来なかった。

 しかし、資料で得ていた情報との食い違いはいくつかあり、それらをグレン達は聖女達に報告を行った。


「資料との食い違いですか……あの方が嘘の情報を流すとは考えられませんから、この短い期間の間に変わったのでしょうか……」


「ティアよ。お主のその相手は、そこまで信頼できる奴なのか?」


「はい」


 情報を渡した相手の事を信用する聖女にマーリンは、そこまで信頼できる奴なのか問うと聖女はそう即答した。

 そこまで聖女が言うのであれば、信頼できる者だろうとマーリンは受け止めた。

 その後も報告会は続き、要注意しながら情報を集めるとなって終わった。


「そう言えばグレン君、迷宮の攻略はもうよいのかにゃ?」


 話し合いが終わると、キャロルはグレンにそう尋ねた。


「ああ、色々と分かったしもう良い、次は帝都の調査に行こうと思ってる」


「分かったにゃ。あたしもそろそろ、帝都の調査をしたいと思っていた所にゃ」


 グレンの言葉にキャロルは、そう意気込んで言った。

 そんなキャロルの様子は反対に、グレンは少し難しい表情をしていた。


「……グレン君、どうしたのかにゃ?」


「いや、ただな悪魔は何処に潜んでるのかと思っただけだ。帝都からこんなに近い街なのに、悪魔の魔力すら感じなかったんだ」


「確かにグレン君から一度も、悪魔の魔力を感じたって聞いてにゃいにゃ」


「実際に感じなかったからな、だから少しおかしいなって感じてるんだよ。もし、帝都に悪魔が集まっていた場合、俺達は敵の中に突っ込む形になるだろ?」


「その可能性もあるにゃね……でも、調べない事には分からにゃいのが現状にゃ」


「そうだな、取り敢えず帝都では俺から極力離れるなよ。何かあったら、直ぐに転移で逃げるから」


「分かったにゃ」


 グレンのその言葉にキャロルは返事をして、部屋から出て行った。

 そして翌日、グレン達は宿の契約を切り帝都へと向かう馬車に乗り、帝国最大の都市へと向かった。


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[一言] キャロルは帝国でのどう動くのかグレンに尋ねた。 →キャロルは帝国で、どう動くか尋ねた。
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