226:来訪した三者
すでに決別に近い宣言を行っていたにもかかわらず、その部屋はあっさりと女を中へと受け入れた。
誰に咎められることなく扉をくぐり、その中に広がる光景を見て女はわずかに嘆息する。
そこにいるのは、およそ人とは言えない赤い核に黒い煙でかろうじて人型を形成している数多の人影。
敵、影人、怪物、黒子、黒煙、試練獣、あるいは試練獣モドキなどと、今この塔の内部にいる様々な人間たちが好き勝手に名前を付けて呼んでいる人間モドキの存在達が、女たちに不足しているマンパワーを補うべく、与えられた職務を淡々とこなして動き回っていた。
「……ふん、アタシがこの場に踏み込んでも一切の反応なしとは、ずいぶんと手を抜いて作ったじゃないさ……。もとより重要視していないのは知ってはいたが、この分だとあの小娘はあたしが思っていた以上にこの施設の重要性を理解していなかったと見える」
あるいは、理解しつつもそれを頑なに認めまいとしているのか。
選定の対象である人間に対して多大な関心を持ちながら、その人間達の存在を徹底して無視する方針をとっている男のことを思い出し、女は壁面に並ぶ数多のモニターを眺めて歩きながらわずかに苦笑する。
そうして歩いた先で手に取るのは、頭部がプリンターになっているという、あまりにも雑なデザインの擬人が、その顔面から吐き出し作り上げた紙束だ。
念のため、閲覧用に置いてあるタブレット端末も手に取って、その電源を入れながら先に手にした紙束の方へと目を通す。
(――チッ、やれやれ、この部署の扱いが雑なものなのはそれなりに知っていたが、いくらなんでもこりゃあんまりだね……。こんなデータを送られたところで、プレイヤー諸君にしてみればほとんど役になんか立たないだろうに……)
書類に記された情報、そのあまりの歯抜け具合に、流石の女もどこか頭痛でも感じたかのように顔をしかめる。
現在女がいるこの場所は、塔の各所に仕掛けられた監視カメラ、その映像が集積されて、大量に配置されたこの場の擬人たちによって閲覧されているモニタールームだ。
同時に、この場所は塔内部で暗躍する【決戦二十七士】の姿を捉えて、その正体と手の内を暴く情報分析室という側面も持っている。
が、そんな役割を与えられていながら、この部屋で集積された情報はあまりにも少なく、室内をうろつきまわる擬人たちの仕事ははっきり言ってずさんの一言だった。
そもそもの話、敵の正体や手の内を暴くとは言ってもその手法と範囲は非常に限定的だ。
手法に関しては、カメラがとらえた対象の外見情報や使用した術技などから、塔内のアーカイブを参照してそれと一致するものを探し出す方法が取られており、これによって特定できたものが、人物・手の内問わず情報としてまとめられて現在女が手にする資料となっている。
当然、人物・術技共に、ある程度名前が知れている対象であればこの方法で特定できるが、逆に情報があまり出回っていなかったもの、あるいは塔のアーカイブデータが確立した段階で存在していなかった場合などは当然特定できず、そうした場合は本人たちの会話などを拾った音声データを分析することで、かろうじて情報をまとめているというのが実情だった。
しかも、まとめた情報を閲覧する者についても、最初からアーカイブにアクセスできる存在しか想定していないため、記載されているのは人物や各種手の内の名前のみと言うありさまである。
当然、そんな情報だけを投げ渡されても相手について碌にわかるはずもなく、案の定情報の提供を受けているプレイヤー達も、そのほとんどが相手の戦闘能力になす術もなく壊滅している様子だった。
一部で注目されているグループなどとは違い、【決戦二十七士】と遭遇することになったプレイヤー達の生存率が低いのはそれなりに伝え聞いていたが、どうやらその原因の一端はシステム側であるこの部屋にもあったらしい。
(なんというか……、雑な命令の内容を忠実に守っているだけって感じさね……。こいつらにこれではいけないと思えるだけの自我が芽生えていればまた違ったんだろうが……。まあ、今さらアタシの立場で言うようなことでもないんだろうが……)
女の知るあの者達が、つくづく人間たちに対して無関心を貫こうと努めていることを考えればこの結果は無理からぬことなのかもしれないが、それでもここまで来るとさすがにその状況のひどさに驚かされる。
せめてもの救いがあるとすれば、そうして集めた情報の中から最低限警戒するべき対象を特定して、それらが報告されることであの者達がその排除に動いていることか。
確かに自分たちの性質を考えれば、脅威になりうる相手のパターンは決まっていて、それ以外は極論警戒に値しない訳であるから、その判断自体あながち間違っているとも言えないのだが。
(まあいいさね……。もとよりそこまで期待していた訳でもあるまいし、とりあえずわかる顔ぶれだけでも最低限確認できれば――)
と、そう思いながら、今度は立ち上がったタブレット端末を手に取って、決して慣れているとは言えない覚束ない手つきで、どうにか呼び出したカメラに映る人間の画像を片っ端から確認し始めて――。
「――んん……?」
ふと、その中で。
同一の人物の画像が集められたそのファイルの中に、酷く見覚えのある顔がいるのに気が付いた。
「おいおい、こいつぁ――」
知っている人間、という訳ではない。
と言うよりも、恐らく本人ではないだろう。
だがもろもろの条件、そしてここまで似ているとなれば恐らく間違いないはずだ。
慌ててその人物について調べ直す。
とは言え、その人物についての情報はあまりにも少ない。
恐らく、この人物について塔内のアーカイブを探ってもほとんどヒットしなかったのだろう。
実際、女がその人物について気付くことができた理由とて、女自身が長き時を生きる中で、その人物によく似た数世代前の先祖の顔を知っていたからに他ならない。
(見逃していたのは手落ちなんかじゃない……。実際コイツ自身が、あいつらの脅威になりうる連中の条件に、あてはまっているわけじゃない……)
この部屋の中を見ればわかる。
こんな事態が起こったのは、ただ単にあの者達の方針の問題だ。
彼らの用心と決断の結果、網羅しきれずに漏れてしまったその部分が、今こうして目の前の状況として露わになったに他ならない。
(けど、それで見逃しちまうには――)
ただし逆に言えば、それは彼らがここまで極端な方針など取らずに、例えば敵対する者たち一人一人の身元に至るまで調べる手を打っていれば、こんな事態は防げたはずなのだ。
(――それで、野放しにしとくには――)
そんな思いを胸に、資料を基に並ぶモニターの中からその姿を探しながら、同時に女は驚きや呆れを通り越したその感情に口元を歪ませる。
(――こいつの名前はいくらなんでも、ビッグネーム過ぎるだろう……)
そうして、女はようやく並ぶモニターの中から、先ほど見つけたその人物の姿を探し当てる。
奇しくもそれは、女が着目する者達と、その人物を含めた三人組とが同じ階層に現れたのと同じタイミング。
その者達の、現在判明しているその名前は――。
アマンダ・リド。
オルド・ボールギス。
そしてセインズ。
それこそが、送られてきた画像に写っていた三人の人物、その下に表示されていたそれぞれの名前だった。
とは言え、これまでの例にもれず、否、これまでの者達と比べても一種異様な雰囲気の三人組である。
そして同時に、竜昇達にとっては初めての、事前知識の存在している【決戦二十七士】でもあった。
まずアマンダ・リド。
黒いローブを身に纏い、その両手を鎖でつながれたもっとも異様な状態で歩くその老婆は、竜昇があの夢に見た、アパゴの記憶の中に出て来たあの『魔女』その人だった。
相も変わらず囚われの身で、ビル内を攻略のために探索しているというよりもほとんど連行されているような状態にあるにもかかわらず、その口元にはニヤニヤと不敵な笑みを浮かべて自分の置かれた状況にまるで堪えていないかのように見える。
そしてそれに続く二人目がオルド・ボールギス。
こちらは、魔女と呼ばれた老婆の背後を監視するように歩く、どこか聖職者を思わせる法衣を纏った禿頭の男だ。
こちらもアパゴの記憶の中に『ボールギス司祭』と言う呼び名で登場した名前であり、同時に名前しか出てこなかったが故にもう一人の人物とどちらがどちらの名前なのか迷う部分もあったが、恐らくこちらの男で間違いあるまい。
男の纏う法衣と司祭であると言う立場が一定の一致を見ているし、なにより、問題の『ボールギス司祭』が継承しているというその物品らしきものを、この男は確かに持っていた。
それこそが【裁きの炎】。アパゴの記憶の中で『ボールギス司祭』が継承していると話題に上り、そして今回送られてきたクエストメッセージによって【神造物】であることが明かされた、恐らくはこの男の戦力を構成するモノの中でも最も警戒するべき要素の一つ。
杖のようにも見える、恐らくは打撃武器なのだろう巨大なメイス。
だがその最大の特徴はその先端に炎が松明か何かのように灯っているという点で、そんな特徴も相まって先端が丸く膨らんだ杖のようなその形状は、メイスや松明と同時に巨大なマッチ棒のような印象をも竜昇達に与えていた。
そして三人目。他の二人の名前が判明したことで、消去法的に『セインズ』なる名前であることが判明した最後の人物。
服装だけを見れば、最後の彼の装いは比較的普通のそれだ。
共通装備のマントの下に、軍服染みた印象を受ける長袖長ズボンと言う服装。
そうした服の上から急所や手足を守る最低限の防具を追加して、腰に一本の剣を差したその姿は、一見すると他の二人に比べて際立った特徴などないようにも思える。
ただし、そんな中で彼がある意味一番異様だったのは、そんな格好を平然と着こなして、他の二人を先導するように歩くその人物が、明らかに年端もいかない少年だったということだ。
それも年齢的には明らかに竜昇達よりも年下。
十代前半、おおよその予想ではだいたい十二、三歳と言ったところではないだろうか。
そんな少年が、手練れの戦士の集団である【決戦二十七士】の一人として名を連ね、あまつさえ彼らに比肩する様子で共に歩いている。
他の二人と比べれば、明らかに年少で頼りなく見えてしかるべき年齢のはずなのに、実際には写真として見ても明らかに見劣りする様子がないというその異常。
「――あの、竜昇君」
――と、竜昇がスマートフォンの写真から、少しでも情報を読み取ろうと思考と観察に没頭していたそんな時、すぐ横から不安げな声が竜昇の思考を現実の現場へと引き戻す。
我に返って顔をあげ、そうして至近距離で見つめ合う形になるのは、現在ともに行動し、隠れ潜んでいる詩織の瞳。
「――ああ、すいません詩織さん。少し、考え事してました」
「それはいいんだけど……。けど、本当によかったの? この場に来るのが私と竜昇君だけで……、その、静さんと一緒じゃなくて……」
慌てて謝る竜昇に対して、詩織はこれを聞いておくいい機会と考えたのか、若干の迷いの後にそう問いかけてくる。
現在竜昇達が隠れ潜んでいるのは、病院の受付ロビーの真上、二階にあるナースセンターの受付カウンターの裏側だ。
問題の三人が例の下の階へと続く扉の場所を目指した時に、必ず通り過ぎる受付ロビーの真上の位置に、現在竜昇達は問題の三人を待ち伏せる形で隠れ潜んでいた。
とは言え、である。
「今回の目的は、戦いを挑むことじゃなくてあくまで隠密行動による偵察ですからね。人数を最小限に絞る意味でも、この二人で挑むのがベストでしょう」
今回の竜昇達の目的、それは言ってしまえば敵の通り道の近くに隠れ潜んでの、【決戦二十七士】である三人の会話の盗み聞きだ。
そう、実のところ今回竜昇達は、敵に奇襲を仕掛ける為ではなく、敵の通過を隠れてやり過ごしながら情報だけを得るために、こんな隠密行動を選択したのである。
(危険に飛び込むと宣言した割には、どうにも消極的な作戦にも思えるけど……)
そんな考えが頭をもたげるものの、しかし実のところ竜昇達にとって、【決戦二十七士】と無理にでも戦わなければならない理由は一つもない。
これまでの【決戦二十七士】との戦いは、衝突の要因を幾つも設定された状態で両者が出会ってしまったことによる偶発的なものであり、実のところ竜昇達の側に【決戦二十七士】とことを構えなければならない理由があったわけではない。
そしてそうであるならば、わざわざ戦いなど挑まなくても、危険な相手ならやり過ごしてしまって構わない。
無論、先にも話していたように彼らから情報を得なければならないことは確かだが、それは別に戦わずとも、彼らとの対話ができればそれで済む。
あるいは対話とまではいかなくとも、必要な情報を何らかの形で聞き出すことができるなら、それはそれで別に構わないのだ。
そうした条件を踏まえたうえでの、危険な戦いに挑むわけでもなければ、単純に逃げ隠れしてやり過ごすだけでもない、敵の進路上に隠れ潜みながら盗聴で情報だけを奪取しようという第三の選択肢。
ただしこの選択にしたところで、別に一〇〇パーセント危険がないという訳でもない。
「――確かに。大勢で動くと、その分見つかる可能性も高くなっちゃうのか……」
「ええ……。詩織さんには、危険なことに付き合わせてしまって申し訳ないですけど――」
いくら竜昇達の側に仕掛ける理由がないとはいっても、相手側にしてみれば竜昇達の存在は自分たちの進路上で息をひそめている不審な手合いだ。
もしも発見されれば奇襲目的の敵とみなされて攻撃される可能性は嫌になるほど高いし、よしんばそうなる展開を回避して話し合いに持ち込めたとしても、相手のことをろくに知らない今の状態で交渉が成立するかどうかは正直わからない。
だからこそ、竜昇達は静達といったん別行動をとって、人数を詩織との二人だけに絞ることで、発見される危険性と、いざという時の全滅の可能性を減らす備えをしていた。
ともに行動せざるを得ない、危険に巻き込む形になる詩織には申し訳なさを感じながら。
「――ううん、それは――。危険については、大丈夫。
もちろん、怖くない訳じゃないけど、それでも、ちゃんと覚悟はできてるつもりだから……。
けど、そんなに都合よく、今来てる三人が私たちの欲しい情報を話しててくれるかな……?」
とは言え、どうやら当の彼女が問題視していたのはそこではなかったらしい。
そして実際、この件については竜昇自身、多少なりとも憂慮していた問題でもあった。
「それについてなんですが、望み通りの情報が聞けるかと言う点については、正直望み薄だろうと思ってます……。もちろん、ここで聞き出せればベストですけど、いくらなんでもそう都合よく、こっちが聞きたい情報を話しあったりはしていてくれないでしょう」
詩織の疑問に、竜昇は息をひそめて隠れながら、小声でそうハッキリと断言する。
そう、いくらなんでも竜昇とて、今来ている敵が盗み聞きしているその間に、竜昇達の知りたい情報ばかりをしゃべってくれるとは思っていない。
無論、そうなる可能性もゼロとまではいわないが、流石にそこまでの都合のいい展開が起こるなら、むしろそうなった何らかの要因があったのではと、そう疑ってかかるべきだろう。
だから竜昇が期待しているのは、必要な情報を得るための、その前段階。
「――けど、一番求めている情報とまではいかずとも、彼らについての何らかの情報が得られる可能性はあります。
ビルの正体を探るためには、どうあっても彼らとの交渉は避けられない訳ですけど、それには俺たちの方が、あの人たちについてあまりにも何も知らなすぎますから」
仮に戦いに発展せずに交渉できる機会があったとしても、その際に竜昇達が相手のことについて何も知らないのでは話にならない。
【決戦二十七士】のメンバーたちが見せる、竜昇達道の勢力に対する対応の仕方を考えても、彼らがそうしたものを探るための相互理解のために手間や時間を割いてくれるとは思えないし、そもそも話し合いに持ち込むうえでも相手の興味を引く、交渉に臨んでもいいと思わせるだけの何かが必要だ。
「だから何でもいいんです。彼らの目的、必要としているもの、要求してきそうな条件、その性格や人となりまで、何でもいいからここで耳を澄まして、この先交渉に持ち込むための、その糸口を探ります」
そう言う意味では、一番困るのはこの三人が終始無言で行動しているというパターンだ。
そしてこれに関して言えば、流石に竜昇達も運を天に任せて祈るより他に無い。
「――そっか……。うん、だったら、私の方でもこの人たちの会話を、一言一句聞き逃さないようにしないとね」
「あんまり気負わなくても大丈夫ですよ。詩織さんはまだ言語習得がそれほど進んでいないでしょうし、そのために俺も来てるわけですから」
同じことを考えたのか、どこか自身を鼓舞するようにそう言う詩織と互いにそう言葉を交わして、その後二人の間にしばし緊張に満ちた時間が訪れる。
それは多少の緊張を和らげた後、再び気を引き締めるためのわずかな時間。
そんな時間は、やがて聴覚を強化し周辺の様子を探っていた詩織の声によって、ひとまずは予想通りの形で終わりを告げることと成った。
「――来た。竜昇君、三人が、会話の察知できる範囲に入ったよ」
「いよいよですか……。相手の様子は? こちらに気付いた様子などはありませんか?」
「今のところは大丈夫みたい。でも、くれぐれも音には気を付けて。誰もいない建物の中って、それでなくとも音が響くから」
「了解です。じゃあ、ここからは予定通りお願いします」
小声でそう告げると、詩織が意を決した様子でその両手を伸ばし、竜昇の耳に触れてそっと自身で使用しているのと同じ、聴覚強化の魔力を注ぎ込む。
詩織が習得する【音剣スキル】、その中でも音を聞きとることで周辺の様子を探る【音響探査】の、その一端。
自身と竜昇、二人の聴覚を詩織が同時に強化して、その微弱な魔力の感覚が万が一にも漏れないように竜昇が【領域スキル】を駆使して二人の気配をそっと包んで押し殺す。
同時に、竜昇の耳に周囲の音がだんだんと大きくなるような感覚が襲ってきて、なれないその感覚に若干苦労しながら、魔本の補助をうけて流れ込んでくる音の情報を処理していく。
やがて、竜昇が意識を向けるその先で、人の足音や装備の音などが次第にはっきりと聞こえるようになってきて、同時に聞こえる音の中に、はっきりと人間の話し声が入り混じって――。
この時、実のところ竜昇達が有力な情報を得られるかどうかは、理屈の上ではほとんど賭けに近かった。
なにしろ相手は曲がりなりにも戦士の集団である。
恐らくは彼らにとっても敵地であろうこのビルの中で、相手が呑気におしゃべりしながら歩いてきてくれるとはさすがに思えないし、仮に何かを話していてくれたとしても、それはとるに足らない軽口かもしれないのだ。
そう言う意味では、今回のこの作戦は、危険の割にどれほどの成果が見込めるかわからない、非常に不確定要素の大きいものであったわけだが、しかし理性の部分でそう考える一方で、竜昇の中にはそんな理屈には満たないながらも奇妙な確信があった。
あるいはそれは、身の内に取り込んだ【決戦二十七士】の記憶がどこかで影響してのものだったのか。
一行のうちにいるアマンダ・リド。件の魔女がいるのであれば、それが例え盗み聞きであってもなにかしら有益な情報が得られるのではないかと。




