表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代剣聖物語 モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 外伝  作者: よっしゃあっ!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/98

10.先輩



 その後、なんとかモンスターの気配を避け、私は人が集まってそうな近所の小学校に辿り着いた。

 途中何度か、モンスターとの戦闘になりかけたが、ハルさんの誘導や遠回りをすることでなんとか戦闘は回避できた。

 

「凄い人……」


 時刻は既に夜の九時。

 にも拘らず、小学校はたくさんの人で溢れていた。

 

「落ち着いてー! 誘導の指示に従って行動して下さーい!」

「こっちです! 怪我人が居るんです!」「ねえ、息子と逸れたの! 探すのを手伝って!」「何なんだよ、町中に居たあの化け物どもは!」「ね、ねえ私さっき頭の中に変なアナウンスが流れたんだけど……」「スマホ使えねーんだけど、ニュースとかどうなってんだよ?」「ラジオも駄目だ、使えねぇなぁ」「おい、人が死んでるんだぞ!何を呑気な事を言ってるんだ!」「うるせぇ!知らねぇヤツの事まで気にしてられるかっつーの!」「誰かあああああ」


 混乱、混乱、大混乱だ。

 人は多いが、統率がまるでなっていなかった。

 それもそうか。

 こんな異常事態、警察や消防だって、どう対処していいか分からないのだろう。

 町中に巨大な樹やモンスターがあふれた時の対処法なんて、誰も想定していない。

 どこもかしこも似たような状況。連絡も取りあえないし、こうなる事は必然だ。

 それでも避難誘導をしている消防隊員さんは立派だと思う。


(誰か知ってる人は居ないかな……)


 こういう状況で見知った人を探してしまうのは人の性だよね。

 暗くて良く見えない。

 いつの間にか街灯も殆ど消えてるし、スマホや懐中電灯の僅かな光源が頼りだ。


「あ、あやめちゃん……?」

「はい?」


 名前を呼ばれ振り返ると、そこには一人の女性がいた。


「……八島先輩、無事だったんですね」

「そっちこそ。良かったぁ……」


 八島さんは私の手を取るとぽろぽろと泣きだした。

 彼女の名前は八島七未ヤシマ シチミ

 私の先輩で、新卒で入った私の教育係になった人だ。

 三つ年上なんだけど、背が小さくて子供っぽい外見の為、私の方が先輩っぽいと皆によくからかわれていた。

 先輩は私の手を離すと、ぎゅっと抱きついてきた。


「あぁーあやめちゃんだぁー。温かぁーい……。すんごい安心するぅ……」

「……先輩、離れて下さい。ハルさんが苦しそうなので」

「……みゃぁ?」


 先輩のスキンシップはちょっと過剰だ。

 ハルさんを理由になんとか引き剥がすと、残念そうな表情を浮かべた。


「てか、この暗がりでよく私の事、分かりましたね?」

「分かるよぉー。だってあやめちゃんだもん。わ、私はあやめちゃんの教育係なんですから、どこに居たってちゃんと分かるんですっ」


 どういう理屈ですか、それは?


「と、ところであやめちゃんは、その……見た? あの怖いモンスターみたいな生き物」

「え? ああ、見ましたよ。私が見たのは骸骨の化け物でしたね」


 もう一種類、黒い恐竜みたいなのも居たけど、そっちは説明が面倒なので省略。


「わ、私も見たの! なんか緑色したちっちゃい鬼みたいな奴とか、てのひらくらいの大きな蠅みたいなのも居たの! もう怖くて、怖くて……」

「……先輩、怖いからって抱き着こうとしないで下さい」

「うぅー……」


 緑色の小さな鬼みたいなのと、蠅のモンスター。

 私が見たモンスターとは別物だ。

 やっぱり色んなモンスターが町にあふれていると考えるべきか……。


「……私達、これからどうなっちゃうのかしら?」

「少なくともここには陸自の分屯地がありますし、すぐに助けが来て安全な場所に行けますよ」


 先輩を不安がらせないよう、私は精一杯の虚勢を張る。

 自分よりも混乱してる人がいると、逆に冷静になれるものね。


(でも正直、自衛隊もどうなんだろ……?)


 先輩に言った通り、この大分には陸上自衛隊の分屯地があったはずだが、果たしてまともに機能しているのだろうか?


「……校舎や体育館には入れないんですか?」

「かなり混んでるけど入れるよ。行こっか」

 

 八島先輩は私の手を取ると、てくてくと歩き出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
本編及び外伝よろしくお願いします
本編及び外伝どちらもよろしくお願いします

― 新着の感想 ―
[気になる点] そう言えば、木のことって、認識できないんじゃないっけ? どうだったっけ?
[気になる点] 自衛隊の駐屯地があってでかい木が生えて居るってヤヴァイところな気がする。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ