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第13話 もっと恋しなさい

 今日はなんと!


 学さんの事務所との契約の日だ。


 つまり今日から僕たちはプロミュージシャンになる。


 身が引き締まる思いだ。


 事務所と契約したからといって即メジャーデビューできるわけではない。


 事務所側に『いける』と思わせる必要がある。


 それは楽曲であったり地道なプロモーションであったり色んな要因がある。


 僕の提示したロードマップは事務所でも受け入れられた。


 それにプラスして事務所から仕掛けが提案されるかもしれないが、当面はその方向で活動することの了承をもらった。


 ミュージックビデオに鳥坂さんのクレジットを入れる了承もいただけた。


 そこが1番不安だったので、ひと安心だ。鳥坂さんにいい報告ができる。




 そして僕たちのプロデュースは……学さん自ら手がけてくれることとなった。


 2人の娘がいるバンドを手がけるなんて……世間には親の七光りに映ってしまうのではって不安があったけど学さんは100%それはないと言い切っていた。


「とりあえず、みんな契約おめでとう今日からは仲間だね」


『『ありがとうございます』』


「えっと、先も話したけど、基本戦略は鳴くんのロードマップ通りでいいんだけれど、それにプラスしていくつか僕から提案があるので聞いて欲しい」


『『はい』』


「まず、時枝ちゃんと穂奈美ちゃん」


「「はい」」


「2人にはレッスンに通ってもらうよ」


「「え」」


「不服かい?」


「「いえ、とんでもない」」


「さすがリズム隊、阿吽の呼吸だね」


「「ありがとうございます」」


 ここまで会話がユニゾンになるなんてある意味神業だ。2人は普段どんな風に過ごしているのだろう。


 そういえば、2人はクラスも違うから音楽以外の接点がほとんどない。今度聞いてみよう。


「2人のリズム感は素晴らしい、その若さでそのレベルに達していることには自信をもっていいと思う。でも、プロになるんだからもう一つ上を目指してもらうよ」


 固唾を飲んで頷く2人。


「ダイナミクスとタイム感。君達2人はここを鳴くんに任せすぎだよ。タイム感はもっと時枝ちゃんが意識してダイナミクスはもっと穂奈美ちゃんが作らないとね。もちろん2人がどっちも良くなるのが理想だけど、まずはリズム隊として成長することを考えよう」


「「はい」」


 僕がこんなことを言うのもおこがましいが、学さんのアドバイスは的確だ。


 ダイナミクス……簡単にいえば強弱で、タイム感はリズム感とはまた違ういい感じのリズムのことだ。


 確かに2人に物足りなさを感じるとすればそこだ。つか、そこが完成されれば2人は演奏だけで食べていけるんじゃないかと僕は思っている。


「鳴くんと詩織」


「「はい」」


「2人には『織りなす音』とは別に演奏の仕事もやってもらうよ」


「はいパパ」「え」


「2人に必要なのはプロとしての経験値だ。色んな現場でプロとしての対応力とお金をもらう演奏

を学びなさい」


「はーい」「……はい」


「もちろんギャラは支払うから楽しみにね」


 プ……プロの現場……いきなり、ハードルの高いミッションだ。プレッシャーだ……詩織さんはへっちゃらなのかな?


「で、最後に衣織」


「はい」


「衣織は歌詞と感情だね」


「歌詞と感情?」


「うん、端的に言ってしまうとまだチープなんだよ」


 衣織の歌詞がチープ……なかなか厳しい言葉だ。


「僕としては『織りなす音』に作詞家をつけるのはナンセンスだと思っている。だから衣織、君へのミッションは」


「はい」


「もっと鳴くんに恋しなさい」


「へ」


 ……えっ……どういうこと?


「まあ、本当ならもっと恋しなさいって言いたいところだけど、衣織には鳴くんという婚約者がいるからね」


「「婚約者!」」


 そういえば、時枝と穂奈美には話してないんだった。


「もっとたくさんデートして、もっと2人で共有する時間を……って」


 学さんが話の途中で何か考えはじめた。


「衣織、しばらく音無家でお世話になれば?」


『『え————っ!』』


 まさかのとんでも展開。


「そうしなよ、鳴くんのご両親にはパパから話しておくから」


 いくら衣織のご両親とうちの両親が友達とは言え……。


 衣織と同棲……。


 ぼ……僕はどうなってしまうのだろうか。


 期待と不安で胸がいっぱいになった。


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