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転生したら乙女ゲームの伯爵令嬢だったので ~ドラゴンと一緒に世界を救いたいと思います!~  作者: 柚子猫
星降る世界とお嬢様編

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66.小さなお嬢様と星降る夜の願い

「つまんないよー!」

「ごめんね、すぐに終わらせて帰ってくるから」

「いい子にしてるんだよ」


 今日はお空に流れ星がいっぱい流れる日。

 夜空の星たちも街の景色もキラキラ光って、すごく綺麗なの!


 ……なのに。

 ……なのに。


 お父さまもお母さまもお出かけなんて。

 すごく楽しみにしてたのに。


「もう。夜までにはちゃんと帰ってくるから、ね?」

「お父さんとお母さんが、約束やぶったことあるかな?」


 お父さまが、私の目線に合わせしゃがむとニッコリと笑う。

 青くて宝石みたいな瞳に、私が映っている。

 その笑顔は反則よ。

 すごく……カッコいいんだから。


「じゃあ……待ってる……」

「よし、えらいぞ!」

「良い子ね、やっぱりカワイイ!」

 

 お母さまは、まるで絵本の妖精みたいな笑顔で微笑むと、私を抱きしめた。

 あたたかくて気持ちいい。


 ……気持ちいいけど。


 もう子供じゃないんだから。

 もうすぐ、お誕生日会だって開くんだから。


「もう、お母さまはなしてー!」

「なんで? まさか……もう反抗期なのかしら?」

「まさか、照れてるだけだと思うよ」

「そうかなぁ……」


 お父さまは、お母さまを見つめる時にだけ、いつもとろけそうな笑顔をみせる。

 お母さま……気づいてるのかなぁ?


 ほんとに、朝からラブラブなんだから。


 もう。

 目の前に娘がいるのわかってるのかしら。


「それじゃあ行ってくるわね。パルフェ」

「夜にはみんなで夜空をみような」

「いってらっしゃい、お父さま、お母さま!」



**********     

 

 この時期になると。

 お父さまとお母さまは東のルーランド砦に二人で出かける。

 大事なお仕事があるんだって。 


 なにも今日じゃなくてもいいのに。


「うふふ、寂しいんですか?」


 突然、部屋の扉が開いて金髪のキレイな女性が入ってきた。


「リリアナお母さま!」

「ホントにパルフェちゃんは、クレナお母さんのこと大好きなんだから」

「……そんなこと……ないもん……」


「もう……。素直に甘えられないところは、お父さん譲りね」


 口もとに手を当てて可愛らしく微笑む。

 お母さまは、リリアナお母さまを『天使』っていつも言ってるけど。

 ホントに……天使みたい。


「私……リリアナお母さまみたいに生まれたかったなぁ」

「あら、ありがとう。でも、パルフェちゃんはクレナちゃんそっくり。妖精みたいで可愛いらしいですわ!」 

「そうかなぁ」


 部屋の鏡に映っているのは。

 薄い桃色のふんわりした髪に、赤紫の大きな瞳。


 私……リリアナお母さまや弟のティラみたいに、さらさらの金髪の方がよかったなぁ。


「今日はね、シュトレ様とクレナちゃん。大事な用事があるから我慢しましょうね」

「……わかってわ。影の封印でしょ?」

「ええ。毎年、魔物が復活しないように力を注いでるの。いずれパルフェちゃんが継ぐことになるわ」

「わかってるけど。今日じゃなくても……」


「んー。最近忙しかったみたいで。今日しか時間がなかったのですわ」

「そうだけどー」


「さぁ、パルフェちゃんは、お誕生日会の準備を続けましょうね」

「えー。またお勉強?」

「うふふ。もしかしたらパルフェちゃんにも素敵な出会いがあるかもしれませんわ?」


 お父さまとお母さまって。

 お誕生日会で出会ったんだって。


 ――運命の出会い。


 なんだか、二人のお母さまが大好きな恋愛小説みたいで憧れるけど。

 ……そんなことあるのかなぁ。



**********

 

「今日は、パ、パルフェだけかよ。まだ二人とも戻ってないんだな……」

「パルフェおねえちゃんでしょ!」


 その日の夕食。

 お父さまとお母さま、まだ帰ってきてない。


 はやくしないと、お星さまがたくさん流れちゃうのに。


 テーブルにいるのは、異母兄弟のティラ王子。


 最近すごく生意気なのよね。

 なんか、やたらとカッコつけてくるし。


「ま、まぁ、あれだよ。久しぶりに二人きりっていうのも……嬉しいよな!」


 リリアナお母さまは、みんなで星を見る準備してるからいないんだけど。

 全然二人きりじゃないからね。

 周囲にたくさん使用人の人がいるじゃない。


 それになんだか。

 お父さまそっくりの瞳が、熱い視線をおくってくるんだけど。

 頬も微妙に赤いし。


 この子……大丈夫かなぁ。

 弟の将来がすごく心配。


「大丈夫です、お二人ともすぐに帰ってきますよ」


 私の表情をみていたのか、近くにいた執事のクレイさんがそっと声をかけてくれた。

 今心配してたのは、ちがうんだけどなぁ。


 ちらっと、クレイさんを見ると。

 部屋の壁に戻って嬉しそうにこっそり手を振っている。

 お父さまとタイプは違うけど、この人もすごくカッコいいんだよね。


 クレイさんのすぐ隣ですこし頬を膨らませているのは、私のお付き兼護衛のカレンさん。

 この二人って結婚してるんだよね。

 お母さまたちは、カレンさんが何度フラれてもめげなかったいってたけど。


 今ではすごく仲良しだよね。

 なんだか、カレンさんがクレイさんの足を踏んだ気もするんだけど。

 気のせい……だよね?



「ただいまー! ごめんね、パルフェちゃん、ティラちゃん。遅くなっちゃった!」

「いい子にしてたかい、パルフェ、ティラ」


 夕食が終わって、食後の紅茶を飲んでいるときに。

 お父さまとお母さまが帰ってきた。


「もう、遅いよ、お母さま! もう星が流れはじめてるよ!」


 私はお母さまの手をとると、空中庭園までひっぱっていく。

 

 お空の星はキラキラ光っていて。

 たくさん光の帯を作り出している。


 庭園には、たくさんの人影がみえた。

 リリアナお母さまと、お城の使用人の人たちと、護衛の騎士さん。


 それから……。


「あら、大きくなったわね、パルフェちゃん! 私の事おぼえてる?」


 紫髪のすごく美人な魔人のお姉さん。

 えーと。

 サキおねえちゃん!


「サキお姉ちゃんおひさしぶりです!」


 サキさんは、嬉しそうにほほ笑むと、私の頭をなでてくれた。


「パルフェちゃん、ティラちゃん、こっちこっち」


 庭園にあたたかそうなソファーがいくつも設置されていて。

 黒髪の可愛らしいお姉さんと、お母さまにそっくりな赤髪のお姉さんが手招きしている。

 

「ナナミお姉ちゃん、キナコお姉ちゃん!」


 ティラは嬉しそうに、二人に駆け寄っていった。

 もう……あの子、美人なお姉ちゃんに弱いんだから!


「ふーん、なんだか小さい頃のクレナに似てきたわね?」

「お久しぶりです、ジェラさま」

「いいわよ、さまなんて。身内じゃない?」


 ナナミお姉ちゃんも。

 キナコお姉ちゃんも。

 ジェラさまも。


 みんなお父さまと同じような瞳で、お母さまを見てるんだよね。


 お母さまって……罪深い……。


「あら、小さなお姉ちゃんがいるわ。パルフェちゃんね?」

「出会ったころのクレナちゃんそっくりだね。初めまして、パルフェちゃん」


 えーと。

 この人たちは、誰だろう?


「ねぇ、お姉ちゃん。パルフェちゃんとウチの息子結婚させようよ? この子可愛すぎ!」

「えー。それはパルフェの自由にさせるつもりだから」

「ちょっと落ち着いて、アリア!」

「だって……こんなに可愛いんだよ! 是非私の娘に!」


 ラベンダーのような長い紫色の髪をした女性が、茶髪のイケメンさんにおさえられている。


「お母さま、この人たちは?」

「ごめん、紹介するね。アイゼンラット帝国の皇帝ガトーくんと、皇妃アリアちゃんです!」


 皇帝さまと皇妃さま?

 アイゼンラット帝国の? 

 

「ちょっと思いついて、サキさんのゲートでみんなつれてきちゃった」


 お母さまは嬉しそうに笑って、私を抱きかかえた。

 


**********


 美しい星空から、お星さまが流れていく。

 それは。

 絵本でみた景色より、ずっとずっとキレイで。

 静かにお空をながめている。



「ねぇ、お母さま」

「どうしたの?」


 私は、お母さまの横から顔を見上げた。


「世界を救った後に、女神さまにこの世界に残るって言ったの、本当?」

「そんなこと、誰から聞いたの?」

「お父さまが、嬉しそうに話してくれたの!」

「……もう。シュトレ様ったら。娘になに話してるのよ……」


 ちょっと怒った口調だけど。

 お母さまの表情は少し嬉しそうにみえるんだけどな。


「……お母さま?」

「んー。確かに、そんなこともあったわね」


「元の世界に戻りたいって……おもわなかったの?」

「そうねぇ」


 お母さまは、いたずらっぽく微笑むと。

 私の頭をくしゃくしゃとなでた。


「こんなに可愛い娘が生まれるってわかってたんだから、帰るわけないでしょ!」


「えー? なんでわかってたの? 星乙女の力?」

「んー。ないしょ」


 お母さまは、私の唇に人差し指をあててくる。

 

「それにね。……いつかパルフェにもわかる日が来ると思うな」


 お母さまは、星を見上げていたお父さまに優しく微笑む。

 星の光に照らされたお母さまは……。

 今までで見たどんな絵本のお姫様より……美しくて。


 よく見たら。

 お父さまとお母さま、ずっと仲良く手を繋いでいるのに気付いた。


 ――私も、お父さまとお母さまのように。


 

 たくさんの流れ星を眺めながら。

 そっとお祈りした。


 いつか。

 いつか。


 この美しい星降る世界で。

 大切な人と、流れ星を一緒に眺められる。

 

 そんな日がきますように。


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