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転生したら乙女ゲームの伯爵令嬢だったので ~ドラゴンと一緒に世界を救いたいと思います!~  作者: 柚子猫
星降る世界とお嬢様編

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57.お嬢様と物語の終焉

 かみたちゃんが魔法を放つたび。

 周囲の空はガラスのように砕け落ちていく。


 空を突き砕いていく、黒い魔法の光と。

 壊れた隙間から見える、白い空間のコントラスト。


 そして。


 砕けた空の破片が。

 星のようにキラキラ輝きながら地面に降り注いでいく。

 

 ……まるで。

 ……まるで。


 世界の終焉を見ているような。

 ぞっとするほど美しくて……恐ろしい風景。


「いそいで! キナコ!」

「わかってます!」


 私たちはキナコの背に乗って、この災いの中心。

 かみたちゃんのいる空に向かっている。


 その横を、サキさんとカレンさんが飛んでいる。

 二人とも正面に強力な結界を張りながら前に進んでいく。


「さすが魔人だよね……こんな突風のなかでも飛べるなんて……」


 ゲームでは、敵のユニットとして登場しただけで。

 専用のキャラ画面は用意されていなかった。


 魔物の上位版みたいな感じだったのに……全員転生者なんだよね。


「いっときますけど、今ものすごく必死で飛んでるからね! 余裕ないからね!」

「いいから黙って飛びなさい!」


 サキさんの言葉に、カレンさんが不満そうに頬を膨らます。


 地面に視線をうつすと。

 砦から国の内側へ続く大きな道には、王国の兵士と帝国の兵士が避難していく姿が見えた。

 みんなを先導しているのは、魔人たちと、お父様お母様、あと執事のクレイなんだって。

  

「すごかったのよ、アナタの執事さん。敵も味方も関係なく、すぐにみんなを束ねて……カッコ良かったわぁ」


 カレンさんは、両手を組みながら目を閉じる。

 よく見ると、頬が赤くなっている?


「お嬢様を頼むっていわれたからね! それはもう、全力でサポートするしかないでしょ!」

「……それ、カレンだけが言われたわけじゃないからね」

「ふふふっ! ここで星乙女ちゃんを利用して一気にお近づきになるって作戦なのよ!」

 

 確かにクレイって。

 実は優しくていいい人し。

 すごく優秀だし、黙ってればカッコいいけど。

 

 ……ええええ?! 


「無駄話はおしまいよ、カレン。見えてきたわ!」



 空に浮かぶ禍々しい光の中心に、かみたちゃんがいた。


 金色に輝く、かみさまみたいだった姿だった彼女は。

 今では真っ黒な光をまとって、まるで別人のよう。  


「おかえりなさーい」


 私たちが近づくと。

 その場に不似合いなくらい明るい笑顔で手をふってきた。


「わかってもらえたかな? 早く私を封印しないと大変なことになるよ?」



********** 


「かみたちゃん! なんで世界を……」

「そんなの……自分が一番わかってるよね?」


 かみたちゃんは、魔法を私たちに向けることはなくて。

 周囲の空をどんどん壊していく。


「星乙女ちゃん、説得してわかってもらえる相手じゃないわ!」

「だよね。私もそう思うよ!」


 サキさんとカレンさんは、大きくうなずきあうと。

 左右から強力な魔法をかみたちゃんに向けて放った。


 空一面が真っ赤な炎に包まれる。

 私たちを守っているキナコの結界にもヒビが入ってきて。

 爆風に飛ばされないように、あわててキナコにしがみついた。


「な、なによこれ……魔人ってこんなに強いの?」

「ちょっとこれは……ゲームと違うんじゃないかな?」


 一緒にキナコに乗っていたジェラちゃんとガトーくんが、驚きの声を上げる。

 私も……あまりにも非現実的な風景に、言葉を失っていた。


「続けていくわよ、カレン!」

「オッケー! 愛する執事さんの為に頑張るよ!!」


 二人は立て続けに、強力な魔法を放ち続ける。

 その一つ一つが、今までみた、どんな魔法よりもすさまじい威力で。

  

 周囲の空間が、きしむような音を立てる。

  

「……やめて! こんなことをしたら、かみたちゃんが!」

 

 かみたちゃんは……世界を壊そうとしてる。

 わかってるけど。

 

 ……でも!!



「うふふ、呼ばれたかな?」


 空間ごと赤く燃えているような炎の中から、かみたちゃんがひょこっと姿を現した。


「……ウソでしょ……あれだけの魔法で無傷なの!?」

「ちょっと!? こんなに強いとか聞いてないんですけど!?」


「世界中の魔物の力が集まってるんですよ? 倒そうなんて考えない方がいいと思うんですけど」


 彼女の雰囲気も姿も、まるでこの世を終わらせる魔王のようだけど。

 でも。

 その表情はやっぱり、中学の頃の自分だ。


「ねぇ! アナタは私なんでしょ! 私はこの世界が大好きだし守りたいのに、なんで?!」

「あはは、それはそうだよね。幸せな『クレナちゃん』はそう思って正解なの」

     

 かみたちゃんは私に向かって両手を広げて差し出してくる。


「……だからね。アナタは幸せなヒロインのまま、この物語を終わらせて?」


 なんで。

 なんでそんなに泣きそうな顔で……私を見つめるのよ!



「クレナー! 無事かー!」


 ――突然。


 シュトレ王子の声が聞こえた。


 だいふくもちの背に乗ったシュトレ王子がこちらに向かってくる。

 魔法で回復はしたけど。それでもひどいケガだったから。

 だいふくもちにお願いして残ってもらってたのに。


「ほら、愛しの王子さまも登場したわよ」


「シュトレ様、来ちゃダメ! 早く逃げて!」

「……そんなこと、出来るわけないだろ!」

 

 シュトレ様は、だいふくもちから飛び降りると。

 キナコの背中に着地した。


 私は、慌ててシュトレ王子に手を差し出す。

 彼に触れた指先から、あたたかいぬくもりが伝わってきた。


「……ひどいケガだったのに……バカ……」

「いや、それがさ。あのあと意識が戻ったら、なんともないんだよ」


 ウソ……。


 だって、あんなに血も流れてたのに。

 私を見つめるシュトレ王子の顔色は、すっかりもとに戻っている。

 よかった……。


「それはきっと星乙女の力だと思うな」


 私たちの会話を聞いていたかみたちゃんが、首を傾けて嬉しそうに微笑む。

 柔らかそうな黒い髪が、さらりと揺れた。 


「だからね。女神さまに見捨てられたこの世界を……星乙女のあなたが、守ってみせて!」   


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