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転生したら乙女ゲームの伯爵令嬢だったので ~ドラゴンと一緒に世界を救いたいと思います!~  作者: 柚子猫
星降る世界とお嬢様編

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53.お嬢様と未来のために

 たくさんの星に包まれて。

 私達は、空に浮かぶ黒い影の塊に向かっていく。


 目の前で黒く輝く、暗黒竜だったものは。

 周囲の魔物を吸収し続けていて。

 なにか別の形に変化してる。


 ……まるで。

 ……なにか生き物の繭みたい。


 身体中が警告を発してるような恐怖を感じる。

 でも。

 ここで怯えてる場合じゃない!



「ねぇ、キナコ、だいふくもち! あの影の中にいる由衣を助ける方法ないかな?」


 私は並走して飛んでいた二人に尋ねてみる。

 このまま攻撃したら……。

 由衣まで巻き込んでしまう。


「もう! ご主人様は昔から人使いが荒いですね」

「アカリちゃんの頼みだし、やってみるのだ!」


 キナコは大きく上空に飛び上がると、その体を光らせ始めた。

 だいふくもちも、ゆっくりうなずいて。

 白く輝きながら上空に飛び上がっていく。


「影にいる女の子に結界を張りますよ。いいですか、だいふくもち!」

「わかっているのだ、竜王!」


 大きなドラゴンは左右に分かれると。

 影の近くで眩しい光を放ち出した。


 黒い繭の中から、明るい光が漏れ出している。


「これで、女の子は結界の中で無事ですよ。さぁ、やっちゃってください!」

「任せろなのだ!」


 二人の言葉に、ほっと胸をなでおろす。


 ――由衣はきっと。

 ――あの光の中にいる。 

   

「ありがとう。キナコ、だいふくもち!」

「そんなに長く持ちませんから、さっさと倒して下さいね!」

「ぐぅぅ、影の力が強いけど頑張るのだ!」


 

 あとは。

 あの黒い影の塊を倒すだけだ!


 それにはきっと。

 周囲にきらめく星々が教えてくれてる、みんなのあたたかい想いを。

 星乙女の力として思い切りぶつけること!!



「いくよ、ジェラちゃん!」

「任せてよね!」


 ジェラちゃんの想いが身体中にあふれてくる。

 伝わってくるのは。

 友達以上の……切なさと愛おしさ。

 知ってたけど……でも。

 思わずジェラちゃんの瞳をみつめかえす。


「なによ。アンタが気にすることないわ。私の想いは私のものなんだから」

「ジェラちゃん……」


 見上げた顔に、ジェラちゃんの凛とした声が響く。


 私たちは二人でうなずきあうと。

 影に向かって魔力を込めた。 

 

「「いけー!」」


 巨大な桃色のクマが出現して、黒い塊に突進していく。

 黒い輝きを繭を両手で抱え込むと。

 地面に向かっておもきり叩きつけた。



「次は僕かな?」

「ありがとう、ガトーくん」

 

 強い憧れと愛おしい気持ちが伝わってくる。

 望んでいたのは。

 二人で澄んだ空を眺める未来。

 ……こんなにずっと想ってくれてたのに。


 うつむく私に。

 ガトーくんは優しく微笑かけてくる。


「あのね、クレナちゃん。僕はキミといれただけで……本当にそれだけで救われていたんだ」

「……ガトーくん」

「だから、恩返しさせてよ。ね?」

「……ごめん……ありがとう」


 大きな雷の柱が上空から何本も出現して。

 地面の黒い繭に突き刺さっていく。



「お姉ちゃん、私のすべてをお姉ちゃんに!」


 激しく燃えるような。

 強くまっすぐな想い。

 この恋心は……ゲームだと攻略対象に向けられていたのに。


 目の前にいる女の子の表情は。

 ゲームで見た画面より、可愛らしく、そして強い決意に満ちていた。


「ごめん。ナナミちゃん、でもね。あなたは私の大切な妹だから」

「それでも……かまいません!」


 目の前に、巨大なハートが大量に出現して。

 影に向かって攻撃をしかけていく。

 それは。

 彼女の強い想いそのものに見えた。



「うふふ、緊張しますわね」


 リリーちゃんが首を傾けて、そっと寄り添ってくる。

 それは優しくてあたたかくてい。

 溺れてしまいそうなくらいの愛おしさと……ずっと友達でいるための強い決意。


 リリーちゃん……。


「そんな顔しないでくさいませ。大親友なのでしょ?」

「うん……ありがとう……リリーちゃん」


 ずっとずっと。

 そばにいてくれて。

 仲良くしてくれて。

 

 ……大好きでいてくれて。

 ……ありがとう。


「いきますわよー!」

「うん!」


 巨大な金色の樹木が出現して、地面に落ちて崩れかかっていた影を包んでいく。

 影は、樹木の間から逃げ出そうと暴れはじめたけど。

 逆に樹木から伸びた枝葉から攻撃を受けて、さらに小さくなっていく。



「さぁ、あとはお任せしましたわ!」

「悔しいけど……認めてあげるわ。さっさと倒しなさいよね!」

「うん。クレナちゃん、兄上。あとはよろしく」

「金色毛虫……お姉ちゃんを泣かせたら許さないから!」


 リリーちゃん達はおおきく手を振ると。

 星の輪の中から外れていった。


 目の前にいるシュトレ王子は。

 乙女ゲーム『ファルシアの星乙女』のどのイベントスチルより。

 ううん。

 今まで見てきた中で一番真剣なまなざしで、私を見つめていた。

  

 私たちの周囲できらめいていた星の映像が、すべて私とシュトレ様の思い出に切り替わる。


 過去の大切な思い出たち。

 そして。

 パルフェちゃんとシュトレ様そっくりな男の子が映る、幸せそうな未来の私たち。


「この幸せな未来を現実に変えよう! オレたちは絶対に負けない!」

「シュトレ様……! はい!」


 そっと背中に腕が伸びてくる。

 彼の胸に頬をよせると、心臓の大きな音が聞こえてきた。

 

「ねぇ、クレナ。もう様はいらないよ……直接名前を呼んでよ」

「え?……だって、それは……」

「星乙女の力は、恋する力なんだよね? きっと、もっと強くなれるから」


 真剣な瞳に。

 私は彼の耳元に顔を近づけて、そっとささやいた。

 

「シュトレ……」

「クレナ……」


 シュトレ様は、耳も顔も真っ赤にして。

 でも今にも溶けそうな笑顔になった。


 きっと私も……。

 沸騰しそうなくらい……顔中真っ赤だよね。


「これまでの戦いの、すべてを終わらせよう……いくぞ!」

「うん!」


 周囲の星の光が強くなる。


 私たちは、星をきらめかせながら、黒い繭に向かっていった。

 星々が次々と影の本体を溶かしていく。


 逃げるように上空に飛び上がろうとした影は、黄金の樹木に阻まれて行き場を失っている。

 私たちは、最後の力を振りしぼって影に突撃した。

 

「「いけー!」」

「バカな……バカな……こんなことが……」


 暗黒竜だったものは。

 繭のような形ですら保てなくなってきたのか。

 大きな声で悲鳴を上げながら、急速に消滅していっている。


「やったわね! これでハッピーエンドよね!」

「よし! やったね!」

「おみごとですわ!」

「やったぁ、お姉ちゃん!」


 仲間たちが、満面の笑みで私たちに駆け寄ってくる。



 これで……本当に終わったの?

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