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転生したら乙女ゲームの伯爵令嬢だったので ~ドラゴンと一緒に世界を救いたいと思います!~  作者: 柚子猫
星降る世界とお嬢様編

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46.お嬢様と星乙女の奇跡

 ファルシア王国、東の砦『ルーランド砦』。

 ずっとずっと昔から。

 アイゼンラット帝国と魔物から人々を守ってきた守護の要。


 今、多数の魔物と帝国兵に包囲されたこの場所に。

 召喚された『暗黒竜』の雄たけびが鳴り響く。


「なんだあれ……」

「王子と姫をお守りしろ!」


 王国の騎士たちが一斉に広場に集まってくる。

 

「あはは。ゲームキャラがいくら集まったって無駄だってば!」


 由衣が大きく手を振り上げると。

 暗黒竜の巨大な三本の首が騎士たちに襲い掛かる。


 騎士達は前面に盾を作りながら防御陣形をとった。


「この程度の攻撃など!」

「無駄よ……」


 黒い炎が騎士達を包むと。

 身体から影のようなものが上空に立ち上がる。


「な……なんだこの炎は……」

「体の力が……抜けていく……」


 黒い霧に包まれて、次々と騎士達が倒れていった。

 

 暗黒竜は、大きな口をあけると、霧を吸い込むと。

 影の体が大きく膨れ上がっていく。

 

 なにこれ……。

 まるで……。

 まるで……。


 あのネックレスを付けた人と同じ……。


「言ったじゃない。ゲームキャラなんてこの子の美味しい養分だわ!」


 次の瞬間。

 大量の魔法弾が、暗黒竜に降り注ぐ。


 ……上空に待機していたセントワーグ家の飛空船だ!

 いつのまにか、帝国の旗を降ろしている。


「こちらですわ!」

「確実に狙え! 公女様と星乙女様を救うのだ!」


 近くにいたリリーちゃんが、上空にむけて合図のような魔法をうち続けてる。

 

 ……すごい。 

 ここまで考えてたんだ。

 これなら!


「無駄よ、この子を舐めないでよね!」


 由衣が再び両腕を大きく広げると。

 暗黒竜は上空に向けて黒い炎を吹き付けた。


 飛空船から黒い霧が立ち上って。

 次々と高度を落としていく。


「ご主人様! ストップを!」

「わかってる!」


 私は胸のペンダントに願いを込める。

 魔力がキラキラ輝いて、目の前に集まっていく。


「え? まさか時間を止める魔法?」

「……うそ、使えないはずじゃん!」


 慌てて、魔人のサキさんとカレンさんが駆け寄ってくる。


「させない!」


 私と二人の間に、金色の髪が飛び込んでくる。

 シュトレ王子だ!


「ありがとう! シュトレ様!」


 私は目を閉じると。

 目の前で輝く魔力の塊に強く願いを込めた。


「時間よ。止まって!!」

 

 それまで響いていた、飛空船や魔法大きな戦闘音が突然鳴りやんで。

 砦が静寂に包まれた。


  

**********


「やってくれたわね。一体どうやって魔力を回復させたのかしら……」


 サキさんが悔しそうに髪をかき上げる。

 

「サキさん、これヤバいよ。動けてるの私たちくらい……」


 カレンさんが、周囲を見渡して後ずさりした。


 サキさんとカレンさん以外の魔人は、魔法に抵抗できなかったみたいで。

 石像みたいにその場で固まっている。


 ――由衣も。

 ――暗黒竜も。

 

 その場で身動き一つしていない。


「さすが……主人公側よね。ホント……どれだけ不公平なのよ……」


 サキさんは顔を歪めると。

 一瞬だけ由衣の方向を振り返った後、手に大きな剣を出現させた。


「サキさん、もうやめようよ。今は一緒にあの暗黒竜を……」

「優しいわね。……もう勝った気なのかしら?」

 

 サキさんは、大きな翼を羽ばたかせると、私に向かって大剣を振り下ろしてくる。

  

 でもやっぱり。

 ストップの魔法が効いてるみたいで、動きがすごく遅い。


「どきなさい、クレナ!」


 大剣を横に転がって避けると。

 氷の魔法がサキさんに襲いかかる。

 冷気が大剣と魔法防御を抜けて、周囲を氷の壁で覆っていく。


「サキさん!」

「おっと。行かせないよ!」

「そこで大人しくしててくださいませ!」


 ガトーくんの雷とリリーちゃんの攻撃で、カレンさんの足が止まる。

 その隙をついて、ナナミちゃんの剣が相手を捉えた。


「降参してください! 私たちは帝国を滅ぼしたりしません! 今は、一緒にあの暗黒竜を……」


 サキさんは、再び剣を構えると。

 目の前の氷の壁を打ち砕いた。


「あの竜は、私たち帝国の……違うわね、あの子の希望なのよ……だから」


 氷の粒を巻き上げながら、大きく空に向けて飛び上がると。

 一直線に私に目がけて落ちてくる。


「例え相手が星乙女でも、倒されるわけにはいかないのよ!」

 

 その執念のようなものに。

 おもわず飲み込まれそうになる。


「困るな、大事な婚約者に手を出さないでもらえるかな?」


 シュトレ王子は、私を庇うように片手で引き寄せると。

 真上から振り下ろされた攻撃を、剣で受け止める。

  

 剣のぶつかり合う大きな音がなって。

 サキさんが大きく後ろに弾き飛ばされた。


「さすが、星乙女と攻略対象ね。ほんと……妬けちゃうわ」


 よく見ると。

 王子の剣も体も。

 まるで星を散りばめたようにキラキラと光輝いている。


 ……これって多分。

 ……星乙女の魔法だ。

 

「さぁ、行きましょうか、お姫様」


 まるで、舞踏会でダンスを踊るときのように。

 優しく手を差し伸べてくる。


 その最強の笑顔に、胸が飛び上がりそうにドキドキしている。

 

 ゆっくりと手を握ると。

 彼の想いが心に流れ込んでくる。


 ――これってきっと、シュトレ王子には私の想いが。


 思わずお互いの瞳を見つめあう。

 

 素直な喜びと安心感に。

 頬も身体も熱くなっていく。



「どれだけチートなのよ……。でも、やらせないよわ!」


 いつのまにか。

 私とシュトレ王子は、周囲を小さな星に囲まれている。


 再び飛び掛かってきたユキさんは、星に邪魔されて大きくはじかれた。

 光はどんどん強くなっていく。


「行こう、シュトレ様。あの暗黒竜を倒しに!」

「ああ」


 私たちは手を握り合ったまま、大きく飛び上がると。

 まるで流れ星になったみたいに。


 一直線に暗黒竜に向かっていった。


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