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転生したら乙女ゲームの伯爵令嬢だったので ~ドラゴンと一緒に世界を救いたいと思います!~  作者: 柚子猫
星降る世界とお嬢様編

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41.お嬢様ともう一人の私

 私たちは、真っ白な空間で、『星乙女の力』を自由に使えるように特訓している。


「ハイ、いつでも愛おしい人を想って戦えるようにがんばってくださいねー!」


 ジェラちゃんとナナミちゃんの攻撃を避けながら。

 かみたちゃんが嬉しそうに笑いかける。


「い、愛おしい人って……」


 ジェラちゃんがちらっち私を見た後、顔を真っ赤にする。

 次の瞬間。

 彼女の杖が強く光り輝いた。


「うふふ、本当にクレナちゃんが大好きなんですねー」

「……う、うるさいわね! いい加減あたりなさいよ!」


 ジェラちゃんは、杖を振るいながら氷の魔法を繰り出している。

 

「いいですよー、どんどん好きな気持ちを魔法の乗せていきましょうー」 

「星乙女の力ってある意味最低だわ……これじゃ目の前でどれだけ好きか告白してるようなものじゃない……」


 ジェラちゃんは、目に涙を浮かべてうつむきながらつぶやいた。


 そっか。

 乙女ゲーム『ファルシアの星乙女』の戦闘シーン。

 恋愛を力にして戦うのって。

 現実だとこんな感じになるんだ。


 なんだか……すごくシュールな気がする。


「チャンスですわ!」

「私も!」


 かみたちゃんが氷の魔法で囲まれたのを見て。

 リリーちゃんの魔法の枝と、ナナミちゃんが勢いよく飛び込んだ。


 魔法の枝は、金色に光りながらぐるぐると彼女の身体を縛っていく。

 動きの止まったかみたちゃんに、ナナミちゃんが切りかった。


「覚悟してください!」

「うーん、まだ力が足りませんよー」


 かみたちゃんが、金色に強く光ると。

 ナナミちゃんごと、枝と氷を吹き飛ばした。


「ナナミちゃん!」


 慌てて、かみたちゃんへの攻撃をやめると。

 吹き飛ばされたナナミちゃんを受け止めた。


「えへへ。お姉ちゃん嬉しいです」


 ナナミちゃんは嬉しそうに首に抱きついてくる。



 あれ?

 よく考えたら。


 ジェラちゃんは……告白されたし……。

 最近すごくわかりやすいから……うん。な、納得も出来ちゃうんだけど。


 リリーちゃんって。

 なんで星乙女の力が使えるんだろう?


 それと、ナナミちゃん。

 星乙女の力が使えるってことは……。


 雲のようなもので出来た巨大な人形と戦っている男性陣に視線を移す。

 やっぱり……ガトーくんも力を使えている。


 予想通りだけど、ナナミちゃんの相手って、ガトーくんなんだね。

 うふふ、大丈夫。

 お姉ちゃん、ちゃんとわかってたんだから!


「ほら、ガトーくんも頑張ってるよ。良かったね」


 私は彼女の耳元でそっとささやいた。

 ナナミちゃんはそれまでの幸せそうな顔が突然固まって。

 

「…………お姉ちゃんの、バカー!」


 ものすごく怒った表情で、かみたちゃんへ突撃していった。



**********  


「今日は、時間制限もありませんし、ゆっくりとお話しできますよー」


 隣に座っているかみたちゃんが、にっこりと微笑む。


 真っ白だった空間はいつ間にか真っ暗になって。

 星空のような景色が広がっている。


 私たちは、みんなが寝たのを確認してから。

 かみたちゃんが作った雲の家のような建物からこっそりと出てきていた。


「それで、クレナちゃんはどこまで思い出しましたか?」

「私、この世界に一度来てるよね?」

「そうですねー」


 かみたちゃんはゆっくりと頷く。


「最初に女神さまに会って、この世界を救ってほしいって頼まれて」

「そうでしたねー」

「それじゃあさ、今女神様はどこにいるの?」


「んー。それは後で。あと思い出したことは?」


 かみたちゃんの口調と表情が変わる。

 金色の光が消えて。

 黒髪の女の子がはっきり見えてくる。


 やっぱり、中学の頃の……私だ。


「気が付いたら、ファルシア王国の王宮にいて。世界を救ってほしいって頼まれて」

「うんうん」


「王子と仲間たちと一緒に、帝国と操られた魔物を退治する旅に出かけて」

「なんだか、昨日の事みたい。懐かしいなぁ」


 静かに答えるかみたちゃんは。

 思い出に浸るように目を細めている。


 まるで、中学の頃の自分と話してるみたい。

 すごく不思議な感じ。  


「ボクとの出会いも忘れちゃダメですよ!」

「だめなのだー!」


 ひょこっと、赤いツインテールと白いが視界に飛び込んできた。


「キナコ! それにだいふくもちも! 来てたんだ!」

「もちろん、覚えてるよね?」

「うん、それも思い出した」


 キナコとだいふくもちは。

 女神さまがお供につけてくれたドラゴンだった。


 最初は小さなドラゴンだったのに、あっという間に成長しちゃって。

 異世界の私の大切な友達だった。


「それじゃあ、あの人の事はどれくらい覚えてる?」


 かみたちゃんが、頬を染めて、首を傾けながら私に問いかけてくる。

 うわぁ。

 すごく可愛い。


 恋する乙女って感じだね。


「それって、王子様の事だよね?」

「うん……」


「一緒に戦って。星空を守ろうって約束したかな?」

「……それだけ?」

「それだけって?」


 この世界に来た私は、どんどん王子に魅かれていって。

 帝国の暗黒竜を倒した後も、彼との約束を守りたくて。

 一緒に平和になった世界を眺めたくて。


 頑張って。

 頑張って。


 きっとお互い好きだったのに。 


 結果的に……二人は結ばれることはなかった。


「あのね、かみたちゃん。思い出してはいるんだけど」

「うん?」

「あの人のことは、思い出っていうか……映画とか物語を見ているような感覚なの」

「……そっか。クレナちゃんが好きなのは、この二人だもんね」


 かみたちゃんが、手を広げると。

 シュトレ王子とリリーちゃんの寝ている姿が映し出される。


「ちょ、ちょっと、かみたちゃん!」

「ほら、大好きな人の寝姿だよ!」

「う、嬉しい気もするけど……こういうのはダメ!」

「照れちゃって、可愛い!」


 かみたちゃんは私を眩しそうに見つめた後。

 まるで自分を納得させるように、ゆっくりとうなずいた。


「でもそっか、あの人のことは……もう。だから私がここにいるんだし」


 かみたちゃんが、ここにいる理由?

 どういうことだろう。

 

「……ねぇ。かみたちゃんって……誰?」

「……え?」


 それは。

 彼女に出会ってからずっと思っていたこと。

 かみさまのような力を持っている。

 私の過去の姿をした不思議な少女。


 ――やっと聞くことが出来た。


「だって、私がここにいるのに。かみたちゃんも私って……」


 かみたちゃんは。

 私の問いかけに寂しそうに微笑むと。

 ゆっくりと両手を伸ばしてきた。


「私はね、あの人への想い。果たすことのできなかった感情の残り」


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