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転生したら乙女ゲームの伯爵令嬢だったので ~ドラゴンと一緒に世界を救いたいと思います!~  作者: 柚子猫
星降る世界とお嬢様編

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36.公爵令嬢の見る夢

<<リリアナ目線>>


 ぷかぷか浮かぶお空の雲のようなところ。

 空にはたくさんのお星さま。


 色鮮やかな七色の鳥たちが、嬉しそうに飛び回っている。


 とってもキレイで美しい場所。


「ねぇ、リリーちゃん。一緒に遊ぼうよ」


 雲の上のお花畑の中に、妖精のような女の子がいる。


 柔らかそうな桃色の髪。

 大きな赤紫のうるうるとした瞳。

 そして白く透き通るような肌。


 髪色に合わせた、ふんわりとした白とピンクのロングドレスを着ていて。

 小さなティアラをつけている。


 息が止まりそうなくらい……可愛らしい。


 この子は誰だろう。

 なんでわたくしを見て、嬉しそうに微笑むんだろう。

 

「見て、花の冠だよ。リリーちゃんにあげるね」


 まるで大好きな絵本の中にいるような

 夢のような世界。

 

「ほら、こっち!」


 女の子は私の手を取ると。

 嬉しそうに走っていく。



**********


 次の瞬間。

 景色が変わって。


 豪華な部屋の中にいた。

 天井のシャンデリアがキラキラと宝石のように輝いている。

 

「踊ろう、リリーちゃん」


 何処からか流れてくる、楽団の演奏にあわせて。

 わたくしたちは踊りだす。


 くるくるくるくる。


 まるで背中に羽があるみたいに、リズムに合わせて軽やかに踊る女の子。

 桃色の髪がふわっと揺れるたびに。

 とても甘い香りに包まれる。


 この妖精のような女の子は。

 なんて。

 可愛らしく笑うんだろう。

 見ていると。なんだか、どんどん幸せな気持ちになってくる。


 まるで。

 まるで。

 

 ――お日様みたい。


 彼女とのダンスに、夢見心地でぼーっとしていると。

 いつのまにか、周囲が暗くなっていく。



***********


「リリーちゃん、逃げて!」


 彼女の言葉にはっとする。


 いつの間にか。

 舞踏会の豪華は部屋は消えていて。

 代わりに、目の前に大きな黒い影が現れていた。


 首が三つあって。

 大きな羽根あって。

 大きな叫び声をあげている。


 絵本で見た悪い魔物にそっくり。

  

 女の子は、赤い槍のようなものを構えると。

 影に向かって進んでいく。


「待って。わたくしもお手伝いしますわ!」


 思わず口にすると、女の子の手をつかんだ。

 彼女のぬくもりが伝わってくる。


「それじゃあ、一緒に倒そう!」

「うん!」


 私たちは、二人でいっしょに大きな槍を持ち上げてると。

 目で合図をする。


「いくよ! せーの」

「せーの!」


「「えいっ!」」」   


 おもいきり、影にむかって投げつけた。


 影はまるでガラスのようにヒビがはいって。

 少しずつ砕けていく。


「もう一回!」

「うん!」


 彼女の言葉にうなずくと、再び出現した大きな槍を一緒に構える。


「「せーの!」」」


 槍の赤い光は、一直線に影に向かって飛び出して。

 

 黒い影は……ばらばらに砕けていった。


 次の瞬間。

 真っ暗だった空が明るくなって。


 色とりどりの花びらが舞い降りてきた。


 やがて。地面に積もった花びらが。

 教会の建物みたいな形になる。


「行こう! リリーちゃん!」


 いつの間にか成長した桃色の少女が、手を差し出してきた。


 彼女の無邪気な笑顔に吸い込まれそうになる。

 

 同性ですのに……この感情は一体……。


 心臓が破裂しそうなくらいドキドキしている。

 顔が蒸発しそうなくらい熱い。


 握りしめた指先から、幸せな感情があふれ出す。

 

 幸せな気持ちを抱きしめながら。

 ぎゅっと目を閉じた。



**********


 教会の大きな鐘が鳴り響く。


「おめでとうー!」

「おめでとうございますー!」


 周囲から祝福されて。

 ゆっくりと祭壇までの通路を歩いていく。


 隣にいるのは、桃色の髪をした美しい女性。

 

 思い出しましたわ。

 この人と……結ばれるのが……わたくしの夢。

 私と視線が合うと、頬を赤く染めて、とろけそうな笑顔を見せてくる。 


 小さい頃からの大親友。

 そして私の大切な大切な人。


 ああ、なんて幸せな気分なのかしら。



「ねぇ、それ全部私によこしなさい!」


 突然、大きな声が響いて。

 銀色の髪をした女の子が、天井から降りてきた。


 胸元から黒い影がのびてくる。


「このまま、幸せな夢の中にいたいでしょ? だったら、それをもらってもいいよね?」


 いつのまにか、隣にいた少女は消えていて。

 私は両手いっぱいの花束を抱えていた。

 薄桃色のキレイな花が、キラキラと輝いている。


「……ダメ。これはわたくしの宝物なの!」


 一本一本が、わたくしの大切な思い出。

 すごく特別で愛おしい……。

 絶対、手放したくない!


「いいから、よこしなさいよ! 代わりにこの花を上げるから!」


 黒い影が、銀色に光る豪華な花束を差し出してくる。


「イヤ! これは私の大切な……」


 私は銀髪の少女から逃げ出すと、慌てて扉を閉める。


「あはは。無駄よ、こんな扉くらい……」


 影が扉をすり抜けて、わたくしに迫ってくる。


 ダメ!

 これは、絶対にダメ。

 手放したくない!!


 あわてて近くにあった宝箱に、すべての花束をしまうと、がちゃりと鍵をかけた。

 庇うように、宝箱を抱きしめる。


 わたくしはどうなってもいいから。

 この美しい花束は……誰にも渡したりしませんわ……。



**********


 唇に柔らかくて幸せな感触が広がる。


 とてもあたたかくて……気持ちいい。

 まるで、春の日差しに包まれているみたい。



 ゆっくりと目を開けると。


 涙で目が零れ落ちそうなクレナちゃんが、目の前にいた。


「……クレナちゃん?」 

 

 桃色の少女は、涙を流しながらゆっくりと微笑む。


「リリーちゃん……私の事わかる?」

「ええ。わたくしの大好きなクレナちゃんですわ……」


 クレナちゃんが嗚咽をもらしながら。

 私を抱きしめてきた。


「ク、クレナちゃん? なにかありましたの?」

「ううん……。もう大丈夫だから……」


 彼女は首を横に振ると。

 優しい声でささやいた。


「おかえりなさい、リリーちゃん」


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