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転生したら乙女ゲームの伯爵令嬢だったので ~ドラゴンと一緒に世界を救いたいと思います!~  作者: 柚子猫
星降る世界とお嬢様編

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8.お嬢様と隠密行動

 私たち偽の商団が露店を開いていた場所は。

 村の人が一番にぎわう大広場。

 

 ウィッグが完全にとれて、薄桃色の髪にふわりと風を感じた。

 周囲が少しずつざわめきだす。


 どうしよう。

 これ……まずいよね。


「おねえちゃん……すごくきれい……妖精さんみたい!」


 目の前にいた女の子が、大きな目を輝かせて話しかけてきた。

 星のペンダントがキラキラと光っている。

 可愛いな。本当に天使みたい。


 この笑顔を見たら、バレたとかどうでもいい気がしてくるよね。

 

 ……まぁ、絶対ダメなんだけどさぁ。


「お母さん、喜んでくれるといいね」


 私は、あらためて女の子の目線に合わせしゃがむと、にこっと微笑んだ。

 

「うん! ありがとう、妖精のおねえちゃん!」


 女の子は嬉しそうに顔を真っ赤して。

 何度もこっちを振り返りながら、大きく手を振って走っていった。



 ……さて、どうしようかな。


 周囲には私を取り囲むように、人だかりができている。

 

「やっぱり……」

「いや……でもまさか……」

「しかし……どうみても……」


 すると、一人の小さな男の子が目の前まで走ってきて。

 大きな声で話しかけてきた。


「あの、もしかしてクレナ様ですか?!」


 大きな瞳が、まっすぐ私を見つめている。

 あこがれの人にあったような、そんなワクワクした表情をみたら。


 こんな子に、ウソ……つきたくないな。


 私がどう答えようか悩んでいると。

 近衛……若い商人が二人、慌てて私の方に走ってきた。


「クレナ様、ここは我々に任せてください!」

「早く船の中へ!」


 ……。


 ………。


 かばうように、私の前に立ちふさがって守ってくれようとしてるんだけど。


 今、おもいっきり。

 私の名前言ってたからね!

 

 本人たちは慌てているから気づいてないみたいだけど。

 


 もう、仕方ないな。

 私は、近衛兵の間から、男の子に笑顔で話しかける。


「ねぇ、私の事を知ってるのかな?」

「……ホントに、クレナ様?」


「うん、本当だよ?」

「ホントにホント?」


「うん、ホントにホント!」


 男の子は真っ赤な顔をして、両手のこぶしを強く握りしめたあと。

 片手を差し伸べてきた。


「あの! 握手してください!」


 真っ赤な顔で目を閉じてうつむいている。

 なにこれ。

 すごく可愛い。

 

「ありがとう。ねぇ、お名前聞いてもいいかな?」

「……な、名前?」


「ほらだって。キミは私の名前を知ってるんだから。私も知りたいな?」


 私は、男の子の手をとると。

 両手で優しくつ包み込んだ。


「クレナ様! お下がりください。そのような子供相手にされずとも」

「ごめんね。ちょっとだけお願い」


 出来る限り笑顔で振り返ると。

 若い近衛兵は、真っ赤な顔で固まった。


 ……ごめんね、そんなに真っ赤にして怒ってるのに。

 我慢してくれてるんだよね。

 でも。もうちょっだけ。


「あの、オレ……ボ、ボクの名前は、ジョセフっていいます!」

「そっか、ありがとうジョセフくん」


 ジョセフくんの手をぎゅっと握りしめる。


 彼はビックリした表情で、耳まで真っ赤になったあと。

 大きな声で話しかけてきた。


「クレナ様!」

「はい、なんでしょう?」


 私は少しだけ首を傾けて、にっこり笑った。


 かわいいなぁ。

 弟がいたらこんな感じなのかなぁ。


「いつか大きくなったら、ボクのお嫁さんになってくれませんか!」


 え。


 ジョセフくんからの思わぬ言葉に驚いていると。

 後ろから突然、さわやかな声がした。


「ジョセフくん、残念だけど。クレナは、オレのお嫁さんなんだ!」


 びっくりして振り返ると。

 金色に輝く髪をなびかせたシュトレ王子が立っていた。

 

 ちょっと!

 さっきまで私と同じようにウィッグつけてたよね!

 もう隠す気ゼロですよね!

 

 私を庇うためかもしれないけど。

 逆に目立っちゃってるよぉ。



「シュトレ王子だよな……あれ……」

「じゃあ、やっぱりクレナ様……」

「竜姫様だ!」


 ふたたび、周囲がざわめきだす。


 それまで、私とジョセフくんとのやり取りを見守っていた人たちが。

 一斉に私たちの元に集まりだした。


「クレナ様、是非オレとも握手を!」

「竜姫様ー! 私も握手したいです!」

「シュトレ王子、素敵ー!」


 うわ、これまずいよ。

 ちょっと危ないかも。

 

 周囲の人が、一斉に押しかけ来る。

 近衛兵とシュトレ王子が、私の前にかばって立ちふさがってたけど。


 今にも押しつぶされてしまいそう。

  


「静まりなさい! 星乙女がこまってるでしょ!」


 広場に、聞き覚えのある凛とした声がして。

 周囲にいた人の動きがピタッととまった。


 この声は……。  

 

「心配で追いかけてみたら、なにやってるのよ、もう!」


 周囲を護衛兵に守られながら。

 可愛らしい赤いショートドレスを着た少女が近づいてくる。


 えええ?!

 なんでジェラちゃんがこの村に?


「ジェラ様だ……」

「可愛らしい」

「素敵だ……」


 ジェラちゃんは、周囲のざわめきを気に留めることなく私たちの前に立つと。

 大きなため息をついた。

 

「はぁ。どうせ、お兄様もアンタも、隠密行動は無理だと思ってたわよ」


「本当にゴメンね、ジェラちゃん」

「う、すまない」


 私とシュトレ王子は、おもわず頭を下げる。

 せっかく商人に偽装してたのに。

 もし法国や帝国のスパイに動きを気づかれたら……せっかくの計画が台無しだよね。


 ジェラちゃんは、落ち込んでる私の瞳をじーっと見つめると。

 少し頬を赤くしてゆっくりと抱きついてきた。


 身体が、お菓子のような甘い匂いに包まれる。


「心配しなくていいわよ。アンタたちはおとりだから。今頃、王国軍主力が二つの砦に到着してるわ」


 ジェラちゃんは耳元に顔を近づけると、そっとつぶやいた。



 おとり?

 私たちが?



 ええええええええええ!? 


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