表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら乙女ゲームの伯爵令嬢だったので ~ドラゴンと一緒に世界を救いたいと思います!~  作者: 柚子猫
魔法学校高等部編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/201

25.お嬢様と竜の上

 私たちをのせたキナコは。

 大きく空へはばたくと、そのまま上昇して雲の中に飛び込んだ。


 すぐそばで、雲の中の魔力がキラキラと舞い上がる。


 やがて、雲を突き抜けると。

 どこまでも続く光る雲の絨毯と、澄み渡るような青空が、目の前に広がった。


 まるで。


 おとぎ話の海をみてるみたいで。

 ……すごく……キレイ。


「素敵な景色ですわね……」


 隣にいたリリーちゃんが、横にピタリとくっついて頬を寄せてきた。

 素敵な景色に興奮してるみたいで、頬が赤く染まっている。

 金色の髪が、優しく風に揺れて……。


 うわぁ、もう!

 最高にカワイイんですけど。


 なんでゲームの中でヒロインじゃなかったんだろ、リリーちゃん。

 もし、私が攻略対象だったら迷わずリリーちゃんを選ぶんですけど!


「リリアナ、アンタ少し距離感おかしいわよ! クレナから離れなさい!」

「あら、ジェラ様? うらやましいんですか?」


「そそそそそ、そんなこと誰もいってないよわ!」


 ジェラちゃんが真っ赤な顔で大声をあげた。

 何でそんなに慌ててるんだろう?


「お、お姉ちゃん。すごく綺麗な景色だけど……もしここから落ちたら」


 後ろを振り返ると。

 ナナミちゃんが、しゃがみ込んでキナコの身体にしがみついている。


「大丈夫よ、キナコが飛空船と同じ結界をはってくれてるの。もし宙返りしたとしても絶対に落ちないわ」

「そうなんですか? よかったぁ」


 ナナミちゃんは安心したみたいで。

 くにゃーっとその場に倒れた。


 そっか。最初から説明しとけばよかった。


 ……って。あれ?

 私なんで知ってるんだっけ?

 

 ……キナコから聞いたの、かな?



**********


 しばらく。

 みんなで空の景色を楽しんでいると。


「お姉ちゃん。あの雲の向こうでなにか飛んでます!」


 すっかり元気になったナナミちゃんが、楽しそうにすぐ近くの雲を指さした。

 

 雲の隙間からあわられたのは、ハルセルト家の大きな飛行船。

 飛行甲板から誰か手を振ってるみたい。


 えーと。


 ……。


 ……あれって。


 お父様とお母様?!

 

 それに、セーラとメイド隊のみんなまで。


「あれよ。アンタその恰好じゃ視察こまるんじゃない?」

 

 ジェラちゃんが、いたずらっぽい表情で笑う。


 ……そうだった。

    

 訓練場から直接飛行場に行ったから。

 おもいっきり普段着なんですけど!


「現地に着いたら、すぐに着替えなんですって。五人お揃いのドレスを準備したそうですわ」


 お揃いのドレスとか。

 ……絶対お母様の趣味だ。


 私と、リリーちゃんと、ジェラちゃんと、ナナミちゃんと、キナコ?


 それって。

 絶対目立つじゃん!


「もう! クレナちゃんとお揃いのドレスなんて。すごく楽しみですわ!」

「私は別にお揃いじゃなくてもよかったんだけど! ……楽しみよね」


「ふふん、私はいつも、お姉ちゃんとお揃いドレスですから!」


 胸を張るナナミちゃんに、ジェラちゃんが後ろから抱きつく。

 

「アンタはおとなしく、攻略対象でも落としてなさいよ! ヒロインなんだから!」

「そんなの私の自由じゃないですか! あの人たちに興味ないですし!」


 うわぁ。

 何処から見ても、ゲームのヒロインの姿をしたナナミちゃんがそれを言うなんて。


 なんだかすごい違和感。


 まぁでも。

 ガトーくんへの照れ隠しだもんね。

 大丈夫、お姉ちゃんはちゃんとわかってるから。


「……もう、絶対お姉ちゃん勘違いしてるから!」


 なんだか。

 これからお仕事で視察にいくなんて全然思えない。

 

 ……すごく楽しい。



 あれ?


 こんな風景を……。


 私は知ってる気がした。


 どこだろう。


 確か……。


 急に頭の中が切り替わるような感覚がして。


 ――気が付くと。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


  

「……アカリ、大丈夫?」


 いつの間にか、金髪の青年が心配そうに顔をのぞき込んでくる。

 整った顔立ちに、水色の澄んだ瞳。

 絵本から飛び出してきたような王子様の顔が、すぐ目の前にあって……。


 うわぁ。

 頬に血があつまるのを感じた私は、あわてて両手で押し返す。


「……うん、全然平気よ。それよりみんなは大丈夫?」


 後ろを振り返ると。

 大切な仲間たちが……。


 ピクニックに行くみたいに、シートをひろげていた。

 ちょっと。

 ここ! ドラゴンの背中の上だからね!


「いや、腹が減っては戦はできんじゃろ?」

「これ美味しいですね。さすがアカリさん」


「それ! 終わってからみんなで食べようと思ってたんだけど!」


 私が用意したバスケットに入ったサンドイッチを、美味しそうに食べているのは。

 戦士のお兄さんと、魔術師の男の子。


「うふふ、私たちらしいじゃない。ね、アカリ!」

 

 背後から、魔法使いのお姉さんが抱きついてきた。

   

「だって、これから戦いに行くのにさぁ」


「そうね、だから、こういうときくらいはリラックスしましょうよ!」


 お姉さんは、少し考える仕草をした後。

 ニヤリと笑って私の頬にキスをした。


「ええええ?!」

「なにしてるんですか! アカリから離れてください!」


 金髪の王子様が、あわてて私と魔法使いのお姉さんに近づいた時。

 

「アカリちゃん。もうすぐ国境につきますよ」


 竜王ちゃんが大きな声で叫んだ。



 ……なにこれ。


 国境付近に近づくと。

 空が大地が……赤く……燃えてる。


「さぁ、魔物退治と行きますか」


 ――みんなの空気が変わる。


 顔を合わせて、うなずきあうと。


 私たちは。

 竜王ちゃんの上から、魔物で埋め尽くされた大地へと飛び出していった。


     

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「……クレナちゃん?!」


 気が付くと。

 目の前に、心配そうなみんなの顔があった。


「……え? あれ?」


「ボーっとしてましたけど、大丈夫ですか?」

「アンタたまにぼーっとしてるわよねぇ」

「……お姉ちゃん?」


 ……今の。


 なんだったんだろう。

 

 これから、危険な戦場に行くのに。

 みんな明るくて。

 笑いあってて。


 前世のゲームとか小説とかラノベ?

 でも……。


 そんな記憶……ないんだけどな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ