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転生したら乙女ゲームの伯爵令嬢だったので ~ドラゴンと一緒に世界を救いたいと思います!~  作者: 柚子猫
魔法学校高等部編

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21.お嬢様と懐かしい風景

「もうすぐ到着だよー!」


 飛空船の操縦席から、キナコの元気な声がする。


 ハルセルト家のおかかえ操縦士、ベンじいから操縦を習ったキナコは。

 今ではすっかり、飛空船の操縦士だ。

 ドラゴンの姿になれば、自分で飛べるのに。……変なの。

 

 私たちは、魔法学校の夏休みを利用して、ハルセルト領に向かっている。

 

 中等部の頃から毎年戻ってるから。

 今ではすっかり、我が家の恒例。


 ……ホントは。

 シュトレ王子と夏休みを一緒に楽しみたかったんだけどな。

 

 二人でデートしてるシーンを思い浮かべて。

 首を左右にふる。 


 これでも伯爵の娘だから。

 こういう時くらい、ちゃんと仕事しないとね。


 それに。

 ガマンしているのは、私だけじゃないから。


 私の横には、楽しそうに船の外の見ているナナミちゃんがいる。

 景色が変わるたびに、表情がくるくる変化して。

 もう……ホントに可愛い!


「ゴメンね、ナナミちゃんだけでも王都に残れないかって、お父様に相談してみたんだけど」

「え? なんでですか? 私はお姉ちゃんと一緒に入れて嬉しいですけど」


 一瞬びっくりした顔をしたあと、ニコニコした表情で頬を寄せてくる。

 もう、無理しちゃって。

 

「あ、でもね。ガトーくんたち、遊びに来るっていってたよ?」


 ふふん。

 こう見えても、お姉ちゃんはちゃんと考えてるんだよ?

 

 夏休みにウチに遊びにきてもらえるように、お願いしてあるんだから!

 ナナミちゃんが変に意識しないように、ジェラちゃんも誘ってあるし。

 

「……ねぇ、お姉ちゃん。やっぱり勘違いしてますよね?」


 ナナミちゃんが大きなため息をつく。


 大丈夫、わかってるから。

 自分で頑張りたいんだよね。


 あとは余計なことはしないで、見守ってるから。


 ふと見ると。

 操縦していたキナコの表情が固まっていた。


「……もうこれ、わざとですよね? わざと気づいてないふりしてるんですよね?」


 キナコが呪文のようにブツブツつぶやいている。


 キナコさん?


 それ怖いから!

 あと、ちゃんと普通に操縦して欲しいんですけど!



********* 


 飛空船は、ゆっくりゆっくり高度を下げて。

 懐かしい我が家の飛行場に到着した。


「安心して乗ってられたよ、もうキナコに任せても安心だな」

「うふふ、キナコちゃん上手だったわよ」


 お父様とお母様が、操縦室からでてきたキナコを抱きしめる。

 

 彼女の表情を見ると。

 うわぁ、すごく得意げな感じ。


 私とキナコは、同じくらいの歳からベンじいに操縦を習ったんだけど。

 ……私は全然上達しなくて。


 ……。


 …………。


 もう。

 すごく悔しいんですけど!!



 飛空船を上手に飛ばすのって。

 空に流れている魔力をつかんで。

 その流れに乗せていく感じなんだって。


 でもそれって。

 目で見えるわけじゃないし。

 

 魔法を使う時だったら、なとなくわかるのになぁ……。  

 ムズカシイ。


「あら? クレナちゃん。顔が少し赤いわよ?」

「おや、大丈夫か、クレナ」


 え。

 そんなに悔しいのが表情にでたのかな。

 ……恥ずかしい。


「大丈夫です、お母様!」


 私は、慌てて飛空船のデッキから、地面に飛び降りる。


 あれ?


 なんだか。


 ……景色がゆがんで見えるんですけど?

 


 飛空船から降りてすぐだから、地面酔いかな?


 でも。


 ……地面がぐにゃぐにゃしてるみたいで立ってられない。

 

「お姉ちゃん!?」

「クレナ!」


 お父様が慌てて、私を抱きかかえてくれた。


 あれ?

 私……どうしたんだろう……。



**********


(アカリ、これ以上君が戦う必要はないんだ)


 泣きそうな……金髪の青年が私を抱きしめる。


 だめだよ。


 だってまだ、世界は平和じゃないんだから。


(僕も王家をすてるよ。一緒に遠くで……暮らさないか)


 ううん。


 貴方がいるこの世界が好きだから。


 守りたいから。


 私は戦えるの。


 だから。


 見ててね。


 必ず、平和にしてみせるから。




「……ご主人様、大丈夫ですか?」


 気がつくと。

 目の前に、心配そうな表情のキナコがいた。


 え?


 ……ぼんやりと周囲を見渡すと。

 白とピンクで統一されてた家具が並んでいる。

 

 ……知ってる。

 ここは、ハルセルト領の私の部屋だ。


 私は……自分の部屋のベッドで寝てたみたい。


「あのね、キナコ。なんだか悲しい夢を見てたみたいなんだけど……」

  

「そうですか……。どんな夢だったんですか?」


 キナコが優しい表情でみつめてくる。


「大好きな人の為に、どうしても世界を救いたかったの……でも……そのせいでね……大切な友達が……」


 夢の話なのに。

 ……涙があふれ出す。


 なんだろう、これ。


「大丈夫ですよ。大切な友達も、その子のことが大好きだったんですよ」


「そっか。そうかなぁ。ならちょっとだけ……嬉しいかな……」


 安心したら。

 また意識が遠くなってきた。


「私ね……このおとぎ話みたいな世界を、どうしても守りたかったの……」


「知ってますよ……ずっと……」


 そこで意識がなくなって。

 私はまた、夢の世界に入っていった。



**********


「あら、今日も寝てるのね。もう……せっかくお見舞いにきてあげてるのに!」

「くそ……。悔しいけど僕らじゃなにもできない……」

「そんなの、ガトーに言われなくてもわかってるわよ……!」


「クレナちゃん……。早く元気になってくださいませ……」


 なんだか、不思議なあたたかい気持ちに包まれていく。

 私の大切な大切な人たち。


 ――目が覚めると。


 のぞき込むように顔を近づけたジェラちゃんと。

 近くで心配そうに立っているガトーくん。

 泣きそうな顔で手をぎゅっと握っているリリーちゃんがいた。


「クレナちゃん!」


 リリーちゃんが優しく抱きしめてくる。


「な、な、なによ。アンタ大丈夫なの?」

「クレナちゃん、無理はしなくていいよ。今、セーラさんたちを呼んでくるから」


 ガトーくんは優しい目で私を見つめると、慌てて部屋を出ていった。


「えーと、私?」


 混乱している私に、ジェラちゃんも抱きついてきた。

 よく見ると……二人とも目が真っ赤だ。


「クレナちゃん……クレナちゃんは、二週間ずっと眠ってたんですよ」

「ホントに、どうなるかと思ったじゃない!」


 え。


 ……ホントに?


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