2章2 Ivory tower
久しぶりになってしまい、かつ短いですが、2章の2話目をお届けします。
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十色盟・巧速徹道連合の8人は「五稜町」の水堀に架かっていた橋の残骸を調べたが、堀の向こう側に渡れそうな手がかりを見つけられないまま時間切れとなった。
他のチームも"森"には到達したが、外側を調べている間に時間切れとなるか、果敢に森の中へ突っ込んで迷ってしまい教師たちに救い出されるかで、確かな成果を上げたチームはなかった。
次の課題日、十色盟・巧速徹道連合は何事もなかったかのように復活していた"赤帯"のところから前回同様、"森"の外側に沿って西から南へ進路を変える。
"赤帯"や"青帯"を何度も魔法で切り開いたが、結果としてはいずれも外れを引いて時間切れ。
最初の課題で十色盟と組んだ"煌華菱嵐"は、"赤帯"を魔法なしで突っ切ったが、前回十色盟・巧速徹道連合が辿り着いた橋の残骸で時間を使い、やはり何も得られなかった。
3回目の課題日に、前回の続きから"森"の外側に沿って進んだ十色盟・巧速徹道連合。
「もしかして、これを上って一番上から飛び降りる…とかかな?」
葵が言う"これ"とは、五稜町の南西にあり、1階部分が半分"森"に侵蝕されている象牙色の塔。
「飛び降りなくても、塔の上から俯瞰すれば入り方がわかるかもしれないわね」
明の意見を採用し、象牙色の塔に入ってみることにした。
塔に入ると大きな昇降機があり、あっさりと最上階に到達。
「わたしが"もしかして"って言ったのが当たらずとも遠からずだなんて…」
最上階にある説明書きによると、箱状の機械で特殊な魔力を帯びてから大きな"滑り台"を滑って塔から射出されると、五稜町のど真ん中に行ける、とのこと。
下手すれば命にかかわるだけに、説明書きが信用に値するか否かで8人の意見が交わされた。
結局、他の手段はなさそうなのでやってみることになった。
1番手は水保が行き、希未、光、青葉の順で巧速徹道の4人が先行した。
「わたしたちも、行こうか」
「うん、わたくしが最初で」
十色盟はリーダーの明が1番手で、命、葵と続き、殿は茗露だった。




