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イン・ディヴァインマスター 銀河の救世主  作者: 夢野楽人
第二次マゲイア大戦

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救護と強さ

 新型無人機――機犀ナースホルン


 機体のモデルはさい。武器は頭部にある大小のつの、装甲が厚く防御力に特化している。

 頑丈さは折り紙つき、合同軍事演習では一体も壊れなかった。

 機体は大きく運動性は劣るが、突進力はある。星騎士の盾となるべく作られた無人機。

 五機の機犀がウララを守るように寄り添い、ベスパは近づくことさえ出来なくなる。

 そのままエスコートしながら、ゆっくりと後退していく。

 レムリアの陣が近づくと、ウララの目に部下達の姿が映った。全員無事で手を振っている。

「みんな良かった――うぐっ!」

 ウララがホッとした瞬間、背中にベスパの針が突き刺さる。

 ベスパはわずかな隙を突き、長針を発射して命中させたのだ。


「隊長――――!」

 部下の悲痛な叫び声が響き渡る中、ウララは意識を失い落下を始める。

 機犀の一機がすぐに後を追いかけ、背中のハッチを開けた。

 そのままウララを収容し、ハッチを閉じて全速力で陣へと向かう。

 機犀は救急搬送車としての役割もあった。

 残った四機は反転し、寄ってきた敵を蹴散らし始める。

 殿しんがりの捨て駒として、機犀は暴れ回るように命令された。

 レムリア陣内は騒然となった。誰もがウララの安否を気づかう。


「衛生兵! 軍医! 急いで!」

 ウララはハッチから出されると、中の寝台ごと手術室へと運ばれる。

 手術室もSCと同じく空中に浮かんでおり、どこにでも移動が可能。

 すでに機犀の中で応急処置はとられ、スキャニングにより負傷箇所は特定されている。

 迅速かつ正確な手術により、ウララは一命を取り留めた。

「ほっ!」

 星騎士達は胸をなで下ろすと同時に、戦の恐ろしさを感じた。

 訓練を重ねて万全の準備をしていたとしても、一瞬の隙が命取りとなる事を知る。

 初の負傷者が出たことにより、星騎士達のはやる心は静まり、軍規は引き締まる。

 ある意味、ウララの独断専行は役に立ったと言える。

 

 後日談。

 ウララは軍規違反で処罰されることになるが、全星騎士から減刑嘆願書が出されて、罷免はされなかった。

 イザベルは一か月の謹慎処分を言い渡し、その間ウララは入院とリハビリで過ごす。

 ただ、エリスが見舞いに訪れて取り乱してしまい、怪我が少し悪化した。


   ◇


「あの星騎士さん、無事だといいな」

「処置は早かったし、大丈夫だろう」

「それにしても、糞! 陣形に隙ができたのも、針で撃たれたのも僕のせいだ! まだまだ作戦が甘い!」

「光太郎、それは違うだろ、無人機の故障までお前のせいか? 全てに責任を感じるのは傲慢だ。それに緊急救護は上手くいったじゃないか? これで満足できないのは贅沢だ!」

「ごめん。負傷者が出て、つい熱くなった。ああすれば良かった、こうすれば良かったと、思ってしまってね」

「人には限界がある。反省して次に生かせば良い」

「そうだね、ありがとう小玉」


(完璧主義か――これは光太郎の欠点だな、理想を追いすぎる。その姿には惹かれるが、抑えてやらないと現実に潰されるだろう。これは私の役目だな。他の女どもには、まかせられん! うんうん……しかし、目の前でひたむきな姿を見せられたら、たまらんわ! この、女たらしめ!)

 小玉とて乙女だ。胸がキュンとなる。

 気持ちに気づかない、光太郎を恨めしそうな目で見る。

「どうかした?」

「何でもない」

 小玉はそっぽを向いて、顔を隠す。


「それで思ったんだけど、マゲイアの無人機、弱くない?」

「私も感じた。そこで戦闘データを検証してみたら、機体性能が十五年前と変わっていない」

「えっ! それって……」

「マゲイア無人機は、旧世代型の兵器のままだ」

「マゲイアは舐めてんの? アホなの? 死ぬの? こっちの無人機の性能は二倍は上がっているのに……メタル・ディヴァインは三倍以上だ!」

 前大戦からあるエルコンドルやルドルフも、改修強化されている。

 光太郎は本気でムカつき、「真面目に戦争しろ!」と怒鳴りつけたいとこだった。


「戦争だから権謀術数はあって当然。けど、命懸けの戦いに真剣に向き合わない者はクズだ!」

 光太郎は吐き捨てる。自分に厳しい者は、相手に対しても厳しい。

 これまでの幼稚な戦術も、光太郎を怒らせるには十分過ぎた。

 指揮や無人機に関しては、マゲイアの内部事情が絡んでいたが、光太郎は知るよしもなかった。

「どのみち慌てる必要はない。計画通りに進めるだけだ」

「そうだね、作戦も次の段階に入る」


 暴れ回っていた機犀は、敵数百機を破壊して陣に戻る。

 推進剤がなくなるまで、戦い続けたのだ。

 敵の攻撃を受けて装甲は傷だらけではあったが、本体に損傷はなくまだまだ戦える。

 これには敵味方ともに衝撃を受け、気づいてしまった。

「マゲイア機は弱い……」

「アヴァロン機は強い」


 それを戦う前から分かっていた者は、海中にいた。

 潜航艇の中で、ミウと偵察部隊はモニターで戦況を見ている。

「だから、言ったのに……」

「准尉の献策は握り潰されたようですね。ハサンの馬鹿目が!」

「功を焦りやがって!」

「みんな、気持ちだけに留めておいて。ハサンに聞かれたら何をされるか分からない。それに……もう遅すぎる」

「やはり……負けますか?」

 禁句を、隊員の一人が口にした。

「戦端が開かれた時点で、勝負は決まってました。やれる事はないかもしれない。それでも我らは出来る限り、味方を助けましょう」

「はい」

「それにしても、撤退しないとまずい。でないと味方は全滅――これは!」


 新たな軍勢がモニターに映る。突如、メガラニカ軍がムー王国に現れた。

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