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イン・ディヴァインマスター 銀河の救世主  作者: 夢野楽人
女帝戦 Ⅱ

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66/432

女帝戦初日、午後

「じゃーまずは……」

 光太郎はケイロン達にスクラムを組ませた。まるでラグビーだ。

 一塊ひとかたまりとなった集団を、前陣中央にぶつけた。中央はヒナが指揮している。

 スラスターは全開、威力のある突進力に押されて陣形が崩れる。

「うわ! うわ――――!」

 もろにタックルを喰らった星騎士達は、押し退けられケイロン部隊は中央突破を図る。

『みんな密集隊形をとるの! 突破されちゃダメ――――!』

 ヒナは指示するものの、部隊間が広がっていたせいで、集結が上手くいかない。

 陣形の隙をついた不意打ちだ。

 ましてや真正面からくるとは、誰も思ってもみない。

 右翼と左翼にいるエリスとルカは、ヒナを援護すべく挟み撃ちを狙いにかかる。


『いきなり、やってくれるわね』

『だから、光太郎は怖いのよ。まあ、そこがいいんだけどね』

 ヒナは押し込まれたものの、突破されず何とか態勢を保つ。

 その間に、エリスとルカは部隊移動を終えていた。凹形陣ができあがる。

 形勢逆転、包囲下におかれるが、光太郎は慌てて後退しようとはしなかった。

 次の準備が完了していたからだ。

『いけ――!』

 エリスとルカの部隊が左右から迫る。光太郎は少し待ってから動いた。

「いまだ!」

 ケンタウルは上下に分かれて逃げだす。

 包囲された時点でスラスターを上か下に向けており、これで素早く逃げるのに成功する。

 ただ後退する敵なら追いかければいいが、上下に逃げられてしまっては、戸惑うしかない。


「えっ? どっち? どっち?」

「上? 下?」

 迷っている間に、目の前には味方が接近していた。

 勢いをつけすぎたせいで、右翼と左翼は鉢合わせしてしまい、同士討ちになりかける。

「きゃ!」

けて――!」

「こっちこないでー!」

 ぶつかり、逃げ回り、両翼部隊は大混乱状態に陥る。

 中央のヒナは何も出来ず、見ているしかない。

 光太郎は無人機部隊を再集結させ、エリスの部隊を後方から襲う。

 体当たりだけだが、実戦だったらとっくに部隊は壊滅していただろう。

 もはや、軍としては瓦解がかいしている。


「そこまで!」

 輝夜が模擬戦を止めた。部隊統制を失った以上、続けても意味はない。

 光太郎は立方体陣に戻して無人機を退いた。

 エリスとルカは、後退再編にもかなり手間取る。指揮能力はまだまだ足りない。

「流石は光太郎さん!」

 有香は中陣から見ており、背筋を震わせながら興奮していた。

 身体的強さなら、女王や星騎士が遥かに上だ。

 ゆえに並の男にはなびくこともない。

 しかし、光太郎は知力で上回り、女達を惹きつけてやまない。

「凄い!」

 本陣で見ていた星騎士達もざわめく。

 改めて光太郎を畏怖すると同時に、味方で良かったと安堵している。


 イザベルとアンジェラは感想をもらす。

「立体戦場ならではの動きでしたね。両翼展開からの包囲殲滅は基本ですが、練度不足では連携もとれずに失敗しました。光太郎さんにいいように、遊ばれましたね」

「この分ではアヴァロン全軍でも、光太郎殿お一人に勝てそうにありませんね」

「いやいや、まだ経験が足りないだけだと思います。場数をこなせば、みんな強くなりますよ」

「光様は謙虚ですねー、それに比べて……」

 

『ルカが突っ込みすぎなのよ!』

『いーや、エリスの部隊がバラバラだったせいよ!』

『もう、喧嘩しないの! 二人とも部隊を早く動かしすぎなのー』

『『やかましいわ! あんたのとこは遅いのよ!』』

 三人は無線で口喧嘩を始め、丁丁発止とやりあう。

 責任のなすりあいだ。敗因を自分のせいにはしたくなく、反省はない。


「はあー……まあ、こうなるとは思ってましたが」

 輝夜は盛大にため息をついた。光太郎は意見を述べる。

「やはり万を超える軍勢では、部隊指揮は難しいと思います。中核となる千騎長と百騎長に、自己判断である程度動いてもらった方がいいかもしれません。女王からの指示が遅れてしまう場合もありますから」

「はい、臨機応変に動いてもらうには、部隊長の裁量に任せた方がよさそうですね。私は総大将と言っても、前線指揮官にまかせるしかないのですから」

「実戦ともなれば、もっと部隊はバラバラになるかもしれません。そうなると、マゲイアに付け込まれてしまう」

「それで前大戦は乱戦に持ち込まれ、多大な犠牲者を出しました。けれども今回は、光様が立てた作戦案があるので、勝てると思います」

「上手くいけば良いですけどね……」

(だけど、勝っても勝ち続けても、戦争が永遠と続くんじゃ意味がない。完全に終結させないと、悲劇が終わらない。輝夜さんに戦略はあるのかな? だけどマゲイアがなー……)


 輝夜は光太郎を見て察したが、ハッキリとはこたえなかった。

「まずは優位に立ちたいと存じます」

 輝夜に考えはあるが、か細い蜘蛛の糸をたぐるような困難を極める戦略だった。

 女帝になる前から、秘密裏に手は打っている。

 ……最終的には自分の命を投げ出す覚悟だった。


 演習三巡目。

 昼食を終えて後方にいた部隊と入れ替わり、今度は有香と輝夜とそしてイザベルが指揮をする。

 イザベルは将軍に任ぜられ、全兵団を統括する。副将軍はアンジェラだ。

 実力もさることながら、前大戦で生き残った勇士は尊敬の的でもあった。

 任命に反対する者は誰もいない。


 立ちはだかるのは、またもや光太郎。

 今度は、中央の輝夜と右翼の有香の間に、無人機を強引に割り込ませた。

 挟み撃ちに動こうとするが、二巡目の同士討ちを見てるので、星騎士達は消極的になってしまっていた。

 おっかなびっくりしながら部隊が動く。はっきり言って動きが遅い。

 光太郎は挟撃されるのを、待っていなかった。

 そのまま直進して右に回り、左翼のうしろを襲う。

 部隊の動きが鈍くなるのを予想し、即陣突破して背後を狙っていたのだ。

「やるなー、読んでましたね、イザベルさん」

 光太郎は笑った。

 後背を突くのに成功したかに思えたが、イザベルは左翼部隊を百八十度回頭させて、待ち構えていたのだ。

 不利を覚った光太郎は無理には攻めこまない。無人機に正面を向かせたまま後退させる。

 イザベルも警戒して追いかけない。取りあえず光太郎に一矢報いた形となった。

(ボロ負けじゃー士気も下がるから、これでいい)


 この時点で輝夜は演習を止める。もう日は傾いていた。

「これにて、合同軍事演習を終了します」

 初日が終わり、全員明日の準備に追われることになる。

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