大会賞品
光太郎はレムリアに戻り、新エクリプスの調整やFL計画の修正に勤しむ中、再び女王会談に呼ばれた。
今度はアヴァロン参謀総長としての出席になる。
光太郎はこの肩書きを嫌っているが、どうにもならない。
出席依頼をしてきた輝夜からは、
「でしたら、女帝の夫(予定)にしましょう。その他でしたら、女殺しの……」と言いだす始末。
更に変な肩書きを増やされそうになったので、ビデオ通話を切った。
女帝戦の日程と場所が決まり、後は女王達の承認だけである。
それと合同軍事演習と武闘大会の最終確認を、今回の会談でとり行われることになっていた。
各王国ともに準備万端、あとは開催を待つのみ。
今後も女王会談は続くが、議題は防衛中心になる。
当日、光太郎はバーチャル会談の席に着き、資料を読んでいるうちに気づく。
「これって、僕が関わる案件が何もない。輝夜さん、僕を呼ぶ必要はなかったんじゃないですか?」
「すみません光様。女帝戦を盛り上げるお手伝いを、お願いしたいのです」
「はあ? ただ僕も忙しいので、あまり時間は割けませんが……」
「お手間は全然とらせません。貴重なお時間を頂くこともありませんよ」
「それでしたら、お手伝いします」
発した言葉に、輝夜はほくそ笑む。言質を取って、してやったりという顔をした。
それに気づかず、光太郎はただ考える。
(僕は一体何をするのだろう? それにしても、今日はみんな完全正装して圧巻だ)
初回の会談はコスプレに近かった。
今日の女王達はドレスを着こなし、化粧にも気合いが入っていた。
本来の美しさが強調され、このまま式典にでても恥ずかしくはない。
女王達には共通点が一つだけあった。
輝夜は扇子を持ち、他の女王達は、髪飾り・ネックレス・腕輪・イヤリングと光太郎がプレゼントした物を、それぞれ身につけていた。
女王達にとって、何物にも代え難い宝物である。
バーチャル会議は淡々と進み、満場一致で案件が承認される。
そもそも、輝夜の完璧な準備にけちのつけようがなく、討論は時間の無駄である。
輝夜の女帝としての資格は十分証明されており、今更反対する者はいない。
……性癖に問題はあるが。
「それでは、私が女帝となります」
全員がパチパチと拍手をする。
「ありがとうございます。誠心誠意、精一杯努めさせていただきます。もしもの時には、イザベル様に全てお願いしてあります。それと光様には、御助言のほどよろしくお願いします」
「はい、分かりました」
「さて、粗方決まった所で、女王対決に関して新たな提案がございます」
全員、輝夜を注視する。
「お互い武器を振り回して戦うだけでは、つまらないと思いませんか? そこで、地球の競技会を色々やってみたいと思うのですが、いかがでしょう?」
「具体的には何をするの?」
有香が代表する形で聞いた。
会談予定には無かったので、皆が首をかしげる。
「水着審査に料理コンテストと、カラオケ大会などですね」
「へっ?」
(ミス・コンテストでもやるのか? これは余興なのか?)
輝夜は詳しく説明する。
「皆さん知ってのとおり、武闘大会の優勝者には賞品がでますよね? 他の参加者にも栄誉が与えられます。でしたら、女王にも褒美があって良いとは思いませんか?」
「つまり、コンテストで優勝したら、誰かに賞品がもらえるわけね?」
「そうよルカ」
「あはははは! あー、なるほど」
輝夜の意図に気づき、ルカは顔がほころびる。
「賞品はなんでもいいのよね? 輝夜ちゃん」
「もちろんよ」
「くすくす」
ヒナは可愛く笑う。それとは裏腹に、頭はどす黒い考えが渦巻いていた。
(これは早めに足をひっぱらないと……どんな手を使っても絶対勝つの!)
「ああ、そう言うことね……うっふふふふふ」
有香の笑いは恐かった。体中から黒いオーラが立ち上っている。
ただいまヤンデレ悪化中。光太郎は有香の背から、笑う何かを見た。
(何だ、あれは!? ……気のせいか?)
女王達はメラメラと闘志を沸き立たせる。エリスは怒り心頭状態。
別な意味で盛り上がったことに間違いはなく、分かってないのは光太郎だけ。
(みんなの目つきが変わった。そんなに女王達が欲しがる物なんてあるのか? 何でもすぐ手に入ると思うんだけどー……)
それはこの世に一つしかなく、鏡を見れば光太郎も見られる。
「どうやら賛成のようですね。それでは皆さん、欲しいものは?」
女王達は一斉に叫ぶ。
「光太郎!」
「お兄ちゃん!」
「光太郎さん!」
「とうぜん光様ですわ!」
「え――――!」
「だから――」
エリスは言わずに、光太郎の首に手を伸ばす。
「行くなって、言ったのよ――――!」
「ぐえええぇ――――――――!」
光太郎は首を絞められ、エリスに振り回された。
確かに女王達は光太郎に直接会ったからこそ、本気で好きになったと言える。
輝夜の提案は「お嫁さんコンテスト」だった。勝者が光太郎を得る。
こうして、光太郎は女王達の賞品になった。




