表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イン・ディヴァインマスター 銀河の救世主  作者: 夢野楽人
女帝戦 Ⅱ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/432

龍と牝馬

 妖精湖のヨッシー……ではない。

 形は首長竜プレシオサウルスに似ていたが、緑鱗が金属の装甲板になっており、機械だと一目で分かる。

 全長二五〇メートル、全幅四〇メートルの巨体で、首の長さは一〇メートル以上ある。 

 伝説にあるドラゴンに近いだろう。

「でかい!」

 光太郎は一瞬だけ驚きはしたが、すぐに興味津々となる。

「あーそういや、恐竜と首長竜は別物だった」

「古代生物を模してるだけの兵器ですから、どちらにも当てはまらないかと」

「そうですね」

「中に入ろう、お兄ちゃん」

 胴体の一部が開き、カヌーを漕いで内部へと入った。

 ハッチが閉じると排水され、カヌーは重力クレーンで固定される。

 カヌーを降りると、上から声をかけられた。


《ようこそ、おいでくださいました。ノーザンライトと申します》

 スピーカー越しに挨拶され、光太郎は返事をする。

「こんにちは。それでラモーヌさん、これは巨大なメタル・ディヴァインなんですか?」

「そうでもありますが、兵器としては航空戦艦ですね。地球でしたら小型空母にあたります」

「あう! これは国家機密じゃありませんか? 僕なんかが、知ってはいけない気がする」

「メガラニカの秘匿兵器です。光太郎さんはアヴァロン参謀総長ですので、知られても何ら不都合はないですよ」

「えー! ちょっと待って下さい! いつのまにか地位が上がってる。それ参謀の最高位じゃないですか? 僕はアドバイザーだったはずですよー!?」

「輝夜姫が推薦して、光太郎さんの身分は全王国で承認されています。誰も反対する者はいませんでしたね」

「うー……また、はめられた。命が重い」

 落ち込む光太郎をヒナが慰める。


「お兄ちゃん、輝夜ちゃんを助けてあげて欲しいの。輝夜ちゃんも悪いとは思ってるはずだけど、頼れるのはお兄ちゃんだけなの。ヒナも頑張るからお願い!」

「う、うん……じゃー出来る限りやってみる」

(今さら撤回もされないだろうし、仕方ないか)

 ラモーヌも懇願する。

「光太郎さん、輝夜姫を支えてやってください。声をかけてあげるだけでいいんです。女王というのは孤独なものですから……私も亡き夫には、かなり助けられました。女帝ともなれば、更に辛いものがありますから……」

(ああ、戦略や戦術のサポートではなくて、心の支えとしてだな。確かに総大将の苦悩と重圧は、僕の想像以上だろう。気休めくらいの話し相手になればいいか)

 光太郎は自身も納得させるように割り切った。

「分かりました」

「他の星同士の戦争に巻き込んでしまい、本当にすみません」

「いえいえ、ここまで来たら他人ごとじゃないです。マゲイアが、地球に攻めてくる可能性だってありますから、アヴァロンで頑張りますよ」

「ええ」

「絶対、勝つの!」

 ヒナが拳を突き上げた。

「うん」

「それでは、ノーザンライトの中を御案内します」


 通路を歩けば、外の様子が壁に映し出されている。

 動く水族館のようで、湖の生き物達は元気に泳ぎ回っている。

 見ていて飽きず、デートするなら最高であろう。

 艦内を一通り歩いてから、艦橋ブリッジへとやってきた。

 操舵装置やレーダー機器類はあるが、人はいない。

「無人なんですね。AIだけで艦の制御は十分ですか?」

「ええ、メンテナンス(整備)の時以外は誰も乗ってません。戦時になれば星騎士達が乗艦し、アンドロイド兵も起動します」

「なるほど、生活空間はいらないですからね」

「最後に、ノーザンライトの武装を御説明します」

 聞いた光太郎は顔を変えて唸る。


「凄い兵器を積んでますね。装甲も厚く防御が固い。シャングリラを守るだけでしたら、ノーザンライトはいらないような……侵攻用なんですか?」

「前大戦での反省から造りました。マゲイアの要塞に近づくのに、多大な犠牲を払いましたので、突撃兵器としての役割があります。シャングリラの防衛は光太郎さんの仰るとおり、シールドタワーと対空迎撃装置で事足りてます。ノーザンライトが必要な場合は、いつでも要請してください。使いどころは、光太郎さんにお任せします」

「うーん……もしもの時にはお願いします。これを投入する機会は、かなり戦局が苦しい時でしょうね」

「光太郎さんの予想ですね」

「嫌な予感は、当たらなければいいんですけどー」

「何事にも備えておくに越したことはありません。そうそう、他の王国も秘匿兵器を持ってますよ。科学技術は共有してますが、どんな兵器を持っているかまでは分かりません」

「それぞれ王国の切り札でしょうからね。敵に情報が漏れたら対策されてしまいますから、秘密なのは当然です」


 光太郎は口に手をあてて考え込む。この癖をする時、新たなる発想が生まれる。

 早速、あることをひらめいてつぶやく。

「秘匿兵器か……僕も作ろうかな……」

「御協力できることがあれば、何でもおっしゃって下さい。まあ堅苦しいお話は、これくらいにしましょう」

「明日はお山に行こう、お兄ちゃん。ヒナのお友達を紹介するの」

「うん、それは楽しみだ」

 光太郎はお山に、何があるのかも知らず無邪気に笑った。


    ◇


 その夜、光太郎はレムリア王国に通信を入れた。

 現状報告と状況確認、まずは小玉と通話する。

『まだまだ新エクリプスは調整中だ。というより、アレ(、、)とのリンクが上手くいかない。深層学習ディープラーニング中だ』

「そっか、汎用AIじゃ仕方ないね。システムを作り変えるしかない?」

『そうだな、私の方で腹案があるからそれで対応する』

「あんがと、それでFL計画の方は?」

『試作品は出来た。アンジェラ隊長が試験運用を始めてる。他の国も似たような段階だ」

「次は量産化、もう忙しくなるね」

『そう思うのなら、とっとと帰ってこい。仕事は山ほど用意してやる』

「……御手柔らかに」

『ふん!』

 小玉との通話は切れた。

 顔には出さなかったが、「早く帰ってきて欲しい」と恋しがっている。

(帰ったらやることは一杯あるな、僕の操縦問題もあるし、文吾さんに相談しないと)


 次はイザベルと話す。

「イザベルさん、この前は有り難うございました。エリスの様子はどうですか?」

『いえいえ、あーエリスは……』

『ヒヒーン!』

『この駄馬! お静まり!』

 イザベルの後から鳴き声とアンジェラの声、そして鞭の音が聞こえてきた。

 何かを調教してるような感じだった。

(今の鳴き声、ひょっとしてエリス?)

「……えーと、大丈夫なんでしょうか?」

『健康に問題はありません。が、ちょっとだけ壊れかけて、いかれてる(、、、、、)ので躾けてる最中です。こら、お黙り!』

『ヒヒィーン! ヒヒーン!』

『すみません。ちょっと光太郎さんの声に、興奮してるようなのでー……』

「はあ……じゃーエリスによろしく」

『バフ! バフ!』

 イザベルは通信を切った。

 光太郎から見えないが、エリスは発情した牝馬ひんばのようになっていた。

(うーむ、錯乱状態なのか? ……聞かなかったことにしよう)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ