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イン・ディヴァインマスター 銀河の救世主  作者: 夢野楽人
女帝戦 Ⅰ

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口八丁の魔法

 光太郎が二人に襲われる少し前。

「くっ、ドアが開かない!」

 輝夜は施設内の更衣室に入った途端、閉じ込められた。

 ドアはロックされ、重い機材で塞がれる。ドア越しに楓が謝る。

「おひい様、お許しください」

「お止めなさい、楓! 光様を害することは許しません!」

「あとでこの首、差し出します。それでは」

「楓――――!」

 輝夜がドアを叩き、大声を上げても、楓はその場から走り去る。

「……昨晩から、施設内に潜んでいたようですね。この分ではくノ一は倒されたのでしょう。実力で私の側近になったのですから、当然ですか……感心してる場合ではありませんね」

 輝夜は更衣室内を物色して、(ヘルム)を見つけた。

 次にロッカーを強引に倒して、自分の前に積み上げる。

 一カ所だけ穴のあいたバリケードを作った。穴に兜を置き、狙いをドアに定める。


「急がないと、光様があぶない!」

 兜に手を添え、目を閉じ集中する。すると輝夜の手がまぶしく光り、兜も輝く。

付加(エンチャント)! 超音速(スーパーソニック)!」

 爆音とともに、ドアが一瞬で吹き飛んだ。

 部屋の中は反動で、爆発したような惨状になる。

 王の力で兜を高速砲弾にして、ドアを塞いでいた機材ごと破壊したのだ。

 瓦礫に埋もれた輝夜は起き上がり、よろよろと歩き出す。足取りは重く息は荒い。

「はあ、はあ、はぁ……」

 王の力(クラウンパワー)の弱点は、使用者の体に大きな負担をかける事だった。

 連続使用はもちろん、今のように力を強めると疲労困憊におちいる。

 ルカが光太郎と対決した時も、同じ状態になった。

 使い続ければ、それだけ命を削る。歴代の女王達はそれで命を落としていた。


「早く! 早く! 光様のもとへ!」

 壁に手をつき、足を動かすが歩みは遅い。

 何とか光太郎がいる部屋までたどり着くものの、誰も居ない。

 荒れた通路を見て、外へ向かったのが分かる。輝夜も後を追い、扉を開けて外へ出ると――

「光様!」

 空を見上げれば、スカーレットがゼブラに追いかけられていた。


「鞍の上に乗っかれたまでは良かったけど、推進剤がほとんど残ってねー!」

「本当に申し訳ございません」

「スカーレットが謝ることじゃないよ。午後に補給する予定だったし、また襲われるなんて思わなかった。僕はまだまだ甘いな」

「いえ、お詫びしたいのは当方の星騎士による、不届きな行為でございます。決して許されることではありません」

「うーん、誤解だと思うんだけどねー……まずは話してみよう。停戦信号を送ってくれ」

「恐れながら、無意味かと……」

「いや、ちょっとでも時間を稼ぎたいんだ。あとは何とかするしかない」

「分かりました」

 スカーレットが停戦信号を送ると、前後を挟むように二機のゼブラが止まった。

 光太郎は二人に話しかける。


「楓さーん、霞さーん。もう止めてくれませんか?」

「貴様! 私達だとよく見抜いたな!」

 二人は覆面を脱ぎ捨て、素顔をさらす。

「いや、騎士甲冑ナイトアーマーは独特だし、何より声で分かるんですけどー……」

「それに気づくとは、やはり貴様は只者ではないな! 捨て置けん!」

(いや、ばれてないと思う方がおかしいだろ!)

「まあーそれは置いといて、恨まれるような事は僕はしてないでしょう? 訳を教えてくれませんか? まずはお互いに、話し合ってみませんか?」

「貴様と話すことなどない! 話してたらし込む気だろう? その手には乗らんぞ、私達はそこらの女とは覚悟が違う!」

「じゃー停戦してくれた理由は?」

「最後の言葉くらい聞いてやろうと思っただけだ。さあ言え!」

「うーん、うーん、うーん、いきなり言われても思い浮かばないなー、少し時間を下さい」

「少しだぞ」


「はい、ところでお二人の乗っているのは、無人機ゼブラですよね? 星騎士用のメタル・ディヴァインはどうしたんですか?」

「置いてきたに決まってるだろ! おひい様からたまわった機体を、貴様の返り血で汚したくはないからな」

「いやー楓さんの腕なら、返り血なんて浴びないんじゃないですか? メタル・ディヴァインも凄いんでしょ? 隕石迎撃作戦の時の映像を見ましたが、動きが素晴らしかった」

「そ、そうか」

「格好いいですよね! 是非みせてもらいたいなー」

「そこまで言われるとな……」

 光太郎は、楓をおだてて褒めちぎる

 スカーレットは思う。

(光太郎様は、恐ろしい御方ですね……楓が上手く丸めこまれている。おひい様が気に掛けるだけのことはあります。ですが、与太話で引っ張るのも、そろそろ限界でしょう)

 相棒の霞が、現実に引き戻す。


「楓! 楓!」

「はっ! 貴様ー! いつの間にか話術にはめたな? そうか、これが噂に聞く地球の魔法というやつだな? なんと恐ろしい!」

「いえいえ、魔法というのは空想の産物であって、現実には……」

「えーい! 黙れ、黙れ! 口を閉じろ!」

「えー! もっとお話しましょうよ、楽しいでしょ?」

「問答無用! おひい様に仇なす前に退治してくれる! この奸物かんぶつ!」


 ナイトランスを構えて、二人が前後から突進してくる。

「もう少しだまくらかしたかったけどね。スカーレット、自由落下フリーフォール

「はい」

 斥力場を切り、翼をたたんで急降下する。まさに隼のごとき速さだ。

 地上近くにきて浮き上がり、そのまま滑空して前に飛ぶ。

 光太郎に戦う気は無く、最初から逃げの一手。

「逃げられると思うなー!」

 スラスターを噴かし、二人はゼブラで追いかける。

 本来であれば、地上汎用型が飛行特化型に追いつける訳もない。

 しかし、推進剤が不足しているスカーレットでは容易たやすい。

 足が止まりそうな獲物に、二人が迫る。光太郎は楓の間合いに入ってしまった。


「少しずつ、上昇して」

「遅いわ馬鹿め! 喰らえ!」

 楓がランスを繰り出す、胴体を狙った正確な攻撃だ。

「なにっ!」

 スカーレットが沈んだように見えた一瞬ののち、目の前から消える。

「上よ、楓!」

「いつのまに! やはり魔法使いか! 生かしてはおけぬ!」


 スカーレットはさっきと同じく斥力場を切り、翼を目一杯広げただけだった。

「いや、上昇気流を利用しただけなんですけどー……思い込みの激しい人なんだな、楓さんって」

「脳筋騎士ですみません。戦闘力はあるんですけど、それ以外は……」

「だから、僕を逆恨みしてるんだね。だとすると僕が説得しても納得しないだろうな、代わりの誰かに言ってもらわないと」

「はい、そうですね……」

(光太郎様は二人を生かすつもりのようですが、その前に処罰されるでしょう)

 スカーレットは思う。

 風を上手く利用しながら、光太郎は逃げ回る。


「風が止んだ!」

「今だ――――! 」

 ここぞとばかりに楓が猛突進!

「スカーレット! 電光石火ライトニング・バニッシュ!」

 特殊機能アビリティを発動させ、超高速移動でよけた。

 スカーレットは雷雲の中に隠れる。

「おのれ! ちょこまかと」

「行くの? 楓」

「当たり前だ、霞! 雷ごときで臆したか!?」

「いいわ、最後までつきあうわ」

 霞は自分達の間違いに気づいていたが、今さら引き返す道はなかった。


 幾つもの稲妻が光っては消えいく、雲の中を飛ぶ。

 光太郎はスカーレットの中に入ったので、雷に撃たれても感電することはない。

 防護処理は完璧だ。しかし楓と霞は無人機の上に乗っているので、撃たれたら即死だ。

 騎士甲冑では防げず、光太郎を追ってくるのは無謀と言える。


「……ああ、諦めてくれないのか?」

「推進剤、もうありません」

「電光石火で使い切ったもんね」

「ですが、光太郎様の作戦は上手くいきました」

「うん、でもこのままじゃー二人が危ない、助けよう」

「放っておけばよろしいかと。お命を狙われたのですよ?」

「スカーレット頼むよ、見捨てられない!」

「分かりました」

(こういう方なのですね)


 光太郎はぶ厚い雲に隠れ、声を張り上げた。よく聞けば棒読み台詞。

「ぐわぁー! 動けなくなったぁー!」

「チャンスだ! 確実に仕留めるぞ、回り込め霞」

「ええ」

 視界はもやになってよく見えず、センサーも役に立たない。

 声がした位置を頼りに二人は飛ぶ。

「突進!」

 満を持して二人は、同時に突き進む。

 前方に動く影が見え、躊躇なくナイトランスを繰り出した。

 が、攻撃は空を切り、同士討ちになりかける。

 ゼブラが自動的に回避したので、最悪の事態だけは避けられた。

 二人は密着して顔を見合わせる。

「一体どうなって? 何だこの鎖――!」

まわれ、爪錨クローアンカー!」

「きゃっ!」

 楓と霞は、鎖でグルグル巻きにされ生け捕られた。

 ようやく戦闘は終わった。

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