神話
各惑星の歴訪はいい経験になった。実際に見て体験すると、思いがけない発見がたくさんあって、これは嫁さん達の外交に役立つことになる。
正に百聞は一見にしかずだ。
娘達も観光を楽しんだので、良い思い出になっただろう。エデンにこもってるだけでは視野は広がらない。
ただ過分なおもてなしと面会希望者が多くて大変だった。
この機会を逃すまいとあらゆる伝で接近してくる。僕と会っただけで栄誉になるから、押しかけてくる人達は凄まじかった。
まあ星騎士が守ってくれたし、会う人は厳選したけどね。
クイーンⅤの復活コンサートツアーは大盛況で、会場はいつも超満員。
僕はステージマネージャーとして大変だった。何かしらトラブルは起きるもので、その都度対応に追われた。
売り上げの一部は寄附に回し、残りは嫁さん達の活動基金に充てられる。
各支部がドンドン建てられていき、影響力はますます広がっていく。
宇宙は嫁さん達が平和に支配してると言っていい。もし戦争を起こそうとする者がいれば、あっと言う間にボコボコにするだろう。味方になってくれる人も多い。
そして家族旅行は終わった……。
「パパ、ゲームしよう!」
「いいえ、私がパパと遊んであげるの!」
それから娘達の態度が変わった。僕がゲームで遊べなかったから家出したと思われ、気を使われるようになった。
嫁さん達も休みを増やしてくれたので、友人達と会う機会も増えた。
ああ、これでゆっくりできるな…………そんなふうに考えていた時期もありました。
僕は甘かった。全てはうたかたの夢。
何が起きたかというと、立て続けに次女・三女が生まれて休んでる暇がなくなったのだ。
娘達が増えすぎて正にカオス状態、名前すら覚えきれない。エデンは泣き声の大合唱に包まれる。
「おぎゃあ、おぎゃあ!」
「あらあら大変」
「うおー! おむつか!? ミルクか!?」
こうなると僕と嫁さん達だけでは手が足りず、育児ロボットを増やし実家にも頼るしかなかった。
「さあ今日も頑張るわよ! 穂香」
「ええ、おばあちゃん」
「わーい、わーい!」
海里母さんと穂香は喜んで子守をしてくれた。孫で妹なのもあるが、もともと面倒見が良いのだ。
成長した長女らも協力してくれて、嫁さん達の実家からも応援がきて、みんなで交代しながらなんとか育児をしていた。
ただ父さんと息子からは、ぼやかれる。
「孫が増えるのは俺としては喜ばしいが、ちょっとヤリ杉じゃねーのか? 光太郎。はははははは!」
「父ちゃん…………妹、増え杉」
「……ごめん」
二人は赤子の娘達を抱いてあやしてくれていた。僕は頭を下げるしかない。
そんな中、子育ての様子や僕達の生活を記録してる子もいる。
一人は今日平の娘で、そしてもう一人は乙姫だった。
乙姫は僕と嫁さん達に取材して、ノンフィクションを書いている。まとめてから後年に本をだすそうだ。
タイトルは「救世主伝 ―一万二千年の平和―」
副題は希望を込めてる。平和が続くのが僕の願いでもあるからね。
……とまあ良い感じに締めくくりそうなんだけど、このラノベは最後の最後までオチがある。
乙姫は義姉である有香さんに協力し、他にある物を綴っていた。
それは子宝教団の……精典いや性典、じゃなくて「聖典」だ。
しかも、むつかしい本ではなく動画・アニメ・漫画で書かれていて、子供用の絵本まであり誰にでも分かりやすかった。ヤバい刷り込みだ。
今回の件で僕の神聖化が進み、とうとう信者の数は宇宙一になって留まることを知らない。
僕は現人神にされてしまう。教祖の有香さんは言う。
「たとえ文明が滅んだとしても人が生きてる限り、プラズマジェットを止めた奇跡の御業は、語り継がれるでしょう。モーゼが海を割った話のように。そして平和な時代があったことを知るでしょう。光太郎さん神話です!」
「あう……」
一瞬、未来が見えたような気がした。
後世には女たらしのゼウス神のような扱いになり、遠い未来のゲームには女体化したラスボスにされるだろう。
頭痛が痛いが、もうどうしようもなかった……。
休憩時間、僕はペットルームで母猫を撫でていた。
子猫たちはお乳を飲んでいる。和むと同時に自分と重ね合わせてしまう。
「やっぱり子育ては大変だよなー、お互いにがんばろう」
そこに九官鳥がやってきて、僕の頭に止まる。
「コノ、ヤリチン!」
「うっせぇわ!!」
そして短い休憩は終わり、娘達が大声で呼んでくる。
「パパ!」「父様!」「ダディ!」「お父ん!」「父神!」
「はいはい、いま行きますよ」
完
これにて完結です。お読みいただきありがとうございます。少しでも笑って頂けたら幸いです。
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