表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イン・ディヴァインマスター 銀河の救世主  作者: 夢野楽人
エリスと光太郎

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/432

覚醒

「光太郎――――――――!」

 エリスは絶叫した。

 空中で灰色の爆煙が広がり、エクリプスの破片が四方に飛ぶ。

 ヒラヒラと布きれが、エリスの元に落ちてくる。

 それは光太郎が着ていた青ジャージ、黒焦げになりボロボロだった。

 エリスは両膝を地面につけて拾い、ジャージを抱きしめた。

「ああ……私は馬鹿だ……今になって気づくなんて……」

 

 光太郎が好き。


『母様、どうして父様と結婚したの?』

『好きになって愛したからよ』

『愛ってなに?』

『一言では難しいわね、お互いを思いやる心かしら……』

『わかんない』

『エリスも好きな人ができたら、分かるわ』

 ……それは幼き日の母との思い出。


「父上も犠牲にしてしまった……」

 機械扱いされても、エクリプスは何も言わずに、エリスを守り続けていた。

 全てを失ってみて、初めてその有り難みが分かる。

 どれだけ自分をかばい、励まして、助けてきたのか?

 恩知らずとは自分のことだ。後悔がエリスを苦しめる。

 

 エリスの目には、涙があふれていた。

(喜久子や光太郎の両親に、私はどう詫びればいいのだ……もう私自身、許されるべきではない……ならば、光太郎の後を追おう……でも、その前に!)


「本当に惜しい人を失いました。彼こそ真のディヴァイナー、私をここまで追い詰めたのですから」

 声はエリスのうしろからした。

 イザベルは爆発に巻き込まれそうになったが、ルドルフが盾になり軽傷ですんでいた。

 代わりにルドルフはダメージを受けて、地面に軟着陸する。

 それでもイザベルの甲冑はひび割れ、剣も半ば折れていた。

「さあ今度こそ、お逝きなさい」

 折れた剣をイザベルは振り下ろす、エリスは振り向き様に手を伸ばすと――


 エリスの右手が光り輝く!


 剣は一瞬でちりになり、イザベルは後ずさった。

「許さない! 許さない! 許さない!」

 エリスはイザベルに、ただ殴りかかる。戦術も戦法もない。

 怒りで我を失い、自分の変化にも気づいていなかった。

 頭にあるのは光太郎の仇を取る、ただそれだけ。


 イザベルは、光る拳を避けきれなかった。

 拳から未知の力が発せられ、かすっただけで甲冑は塵となる。

 丸裸に近い格好にされ、イザベルはバランスを崩して転ぶ。

 エリスは飛びついて、のしかかった。


「死ねえ――――!」

「…………」

 馬乗りになったエリスは、イザベルの顔をめがけて拳を振り下ろす。 

イザベルは笑っていた。


「駄目だ――――エリス!」

 そこに光太郎が飛んできて、エリスにタックルした。

「痛たた! マジ痛い……」

「こ……う……太郎?」

「うん、生きてるよ」

「光太郎! 光太郎! うわ――――ん!」

 エリスは光太郎に抱きついて泣いた。

「ふー、何とか命拾いした……やっぱり無茶な作戦だったな」

 光太郎は、ここまでの事を振り返る。


     ◇ 


 箸を見て思いついた特攻作戦は、喜久子とアンジェラに猛反対された。

「駄目よ、光くん」

「光太郎殿、無茶だ。危険すぎる」

「確かに危険だけど、ルドルフに対抗するには、これしか手は無いと思う。二段構えで挑めば勝ち目もあるはず。もちろん、僕も死ぬつもりはないので、当たる前に脱出しますよ」

「それでも……」

「緊急脱出装置は文吾さんに作ってもらうとして、僕が脱出した後はアンジェラさん、助けてください。そのまま空中に放りだされるでしょうから、お願いします」

「……姉上相手では致し方ないですね、分かりました。この身に代えても光太郎殿をお救いします」

「はい」

 まず二人を言いくるめた。


 文吾とエクリプスも賛同しなかったので、光太郎は粘り強く説得した。

「シミュレーションでの勝率は五〇パーセントにもなったが、イレギュラー発生やタイミングを外すとお前が死ぬ。とても賛成はできん」

「我も同感だ」

「もう時間はないんです。喜久子姉にはミッションタイマーを作ってもらいます。これで上手くタイミングを取りますから、お願いします文吾さん!」

「うむむ……他に妙案もないしな、仕方がない。ランスの方はいいとして、脱出装置の完成は時間ぎりぎりだ。テストなしのぶっつけ本番になるぞ?」

「はい、構いません」

「脱出時に我を回収する? 捨て置け」

「嫌だよ、あとでエリスに泣かれるのは辛い」

「やれやれ、どこまでもお人好しだな」

 光太郎は全員を説得した。


 そしてルドルフに体当たりした時、恐れていたイレギュラーが発生した。

「よし脱出だー! 頭脳回路を取って……げっ! ジャージが引っかかった!」

「脱ぐんだ光太郎!」

「わ、わかった!」

 慌てて青ジャージを脱いで、急いで脱出装置を作動させた。

 光太郎は座席シートごと、勢いよく射出される。

 体がすっぽりとシートにはまり込んでいくが、圧迫されることによって、血流障害を防いでいた。

「分かってたけど、やっぱりきつい――――!」

 光太郎もそれなりの訓練をしていたので、辛うじて加速度に耐えられた。

 しかし、災難は終わらない。

 薄目で前を見ればエクリプスが爆発、いくつもの破片がもの凄いスピードで飛んでくる。

 凶器になった破片が当たれば、大怪我だ。


「やばい! 破片のことまで考えてなかった」

「問題ない、どうやら助けが来たようだ」

 エルコンドルが翼で破片を防ぎ、アンジェラは鞭を使って光太郎を引き寄せた。

 光太郎はアンジェラに抱きかかえられ、お姫様だっこされる。

「光太郎殿、ご無事ですか?」

「アンジェラさん、助かりました。もう大丈夫です」

「いえ、どこかお怪我をされてるといけません。しっかり調べますわ!」

「あのーアンジェラさん……」

「この間のお返しに、たっぷり触りまくって差し上げますわ。うふふ」

「ひえ――!」

「おまえら、乳繰り合うのもええけど、やばいで!」

 下をのぞき込むと、イザベルがエリスに押されていた。

「わっ! 本当にまずい! アンジェラさん、僕を投げて!」

「残念、それじゃー行ってらっしゃーい!」


 アンジェラは光太郎をぶん投げ、エリスにぶつけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ