表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イン・ディヴァインマスター 銀河の救世主  作者: 夢野楽人
エリスと光太郎

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/432

介抱と修理

「ゲホ! ゲホ、ゲホ!」

「エリス、気がついたか! 良かった」

 エリスは激しく咳き込み、意識を取り戻した。

 人工呼吸器が、エクリプスの口内に格納される。

 メタル・ディヴァインには生命維持装置や、医療器具が備えてあった。

「……ここは?」

「学園裏山の森だ。もう暗くなってしまったがな」


 日はすでに落ち、星が空を埋め尽くしていた。満天の星を見上げ、エリスは母との思い出に浸る。

 やがて戦っていたのを思い出して、辺りを見回す。

「そうだ! 姉上は? 光太郎はどこだ?」

「エルコンドルは少し離れたところにいるが、二人がどこにいるかわからん」

「そんな……」

「障害物がありすぎて、レーダーセンサーでとらえられんだけだ。恐らく二人とも無事だ」

 エルコンドルに動きがないので、近くにいるのは間違いなかった。


「……私が意識を失う前に、何があった?」

「エリスが首を絞められる寸前に、光太郎は我の臀部ハッチから外にでた。そして、エ……何とかアンジェラの動きを止めて、もろともに下に落ちた」

「……光太郎は……命がけで私を助けたのだな」

「そうだ」

 エリスは膝をかかえて、顔をうずめる。

(光太郎に怒って、逆らって、突っぱねた挙げ句、姉上には手も足もでなかった……私は馬鹿だ)

 もはや反抗心はなく、心配と反省と後悔が代わる代わる頭をよぎっていた。


「光太郎は会ったときから親切だった。赤の他人でしかも異星人にだ。一緒に命懸けで戦い、我らを助けてくれた。しかも自宅にまで住まわせてくれた。あんな優しい男は他にいない」

「くっ……ううっー!」

 エリスは泣いた。激しく泣いた。

 人の親切を当たり前のように受け取り、自分だけのことを考えて、何一つ感謝していなかったことに気づく。

 恩知らずであることを、エリスは恥じる。

「暗がりで動くのは危険だ。我も万全ではないから、今は動かない方がいいだろう。朝になったら光太郎を探そう。それまで我の中で眠るといい」

 エリスはうなずき、泣きじゃくりながら操縦室の中に入る。

 座席シートを倒し横になると、光太郎の臭いがする。

 エリスは無事を祈りながら、目をつむった。

 

    ◇


 少し時間はさかのぼる。光太郎とアンジェラは……えらい目にあっていた。

「いやん、もう許してー!」

「ごめんなさい、ごめんなさい、本当にすみません!」

 騎士甲冑には浮遊力があり、二人はゆっくりと下に落ちていく。

 問題は鞭とワイヤーが二人に絡みついて、あられもない状態になっている事だった。

 アンジェラが身をよじるたびに、状況が悪化する。

「うー埒があかんな、おーいハゲタカ! 助けてくれー!」

「誰がハゲじゃ、ボケー!」

 エルコンドルは、すぐそばに来ていた。


「言われんでも助けたるわい。アンが暴れてるせいで掴みにくいんじゃ、小僧しばらく押さえておけ」

「ええー!」

「いいからやれ!」

 光太郎としては、これ以上アンジェラに触るのは気が引けた。

 とはいえ地面がそこまで迫ってきており、落ち方が悪ければ大怪我をする。

「もう少しだけ、我慢してください。マジすんません」

「うう、もうお嫁に行けない……」

 光太郎は腕を掴み足を絡めて、アンジェラをおとなしくさせた。


「よし! 今だ!」

 エルコンドルは両足で二人を上手くつかむ。が、密着状態を嫌がったアンジェラが、再び暴れ出す。

 光太郎は力をこめて、説得する。

「あとちょっとだけ、我慢して下さい! もうすぐなんで!」

「そ、そこは触らないでー! 早く降ろしてー!」

「やめろアン! 落ちるぞ、あっ……」

 ドボン、とアンジェラは沼に落ちる。

 義手と義足にワイヤーが、絡まったままなのが非常にまずかった。

 内蔵されていたオリハルコン機関がショートし、池に電気が流れる。

 大量のブラックバスと一緒に、アンジェラがぷかりと水面に浮かんだ。

「ア――ン!」

 エルコンドルは叫び、足にしがみついていた光太郎を、乱暴に投げ落とす。

 地上近くの草むらに落ちたので、光太郎に怪我はない。

 エルコンドルは大急ぎでアンジェラを救い上げ、地面に降ろす。

 光太郎もすぐに駆け寄った。


「しっかりしろ、アン!」

「脈はある、人工呼吸器を!」

「お、おう。今出す」

「……脈が安定しない」

「義手と義足のせいや! 感電したショックでいかれとる」

「これオリハルコン機関が、内臓されているのか?」

「そや、どないしよ……このままじゃアンが……」

「僕が直す、修理道具は腹の中にあるだろう?」

「お前がか? やれるのか?」

「エクリプスを修理したことはあるし、基本構造は文吾さんに習った。応急処置ならやれる」

「しゃーない任せたる。ただアンが死んだら承知せえへんどー!」

「絶対助けるよ」

 光太郎はスマートグラスをかけて、修理を始めた。ただ自分の行動には、疑問を感じなくもない。

(また修理か……さっきまで、この人と命のやりとりしてたのにね……何だかなー)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ