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イン・ディヴァインマスター 銀河の救世主  作者: 夢野楽人
エリスと光太郎

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入学式

 入学式、真新しいブレザーに袖を通し、誰もが期待と不安で胸をふくらませていた。

 これから始まる高校生活に、様々な思いをはせる。

 本来であれば、光太郎も新入生の一人として浮かれていただろう。だが、別世界の騒動に巻き込まれた光太郎は、浮かない顔をしていた。

 ずっと悩んだままで、頭を抱えている。学校長の式辞も、藤原理事長の漫談も頭に入らなかった。

 新入生代表挨拶をしている有香をぼんやり眺めているうちに、いつのまにか教室にいた。

 ここまでの記憶が全くない。考え事のしすぎだった。

(まずいな、エリスのことで頭が一杯だ)

 恨みがましく隣のエリスを見れば、自己紹介をしている真っ最中。


「エリスだ。よろしく頼む」

 注目を浴びている割には、あっさりとした内容だ。金髪碧眼の美少女は否が応でも目立ち、クラスメート達はざわついている。

 喜久子の勧めで、エリスは陸奥学園に入学した。

「学校生活を楽しんで、エリスちゃん」

「分かった」

 エリスは逆らわず、学生を経験してみることにした。

 表向きは留学生、裏では政変で亡命してきたお姫様という事になっている。

 嘘の噂を流したのは光太郎。今日平に頼んで、広めてもらった。

(まんざら嘘の話じゃないけど、異星からやって来たことは秘密にしないとね。バレたら有香さんにも迷惑がかかる)

 ちなみにエリスを挟んで、有香も隣の席にいる。

 クラス分けと席順は、理事長が手回ししてくれた。エリスの面倒を、有香と光太郎が一緒に見るためだ。

「起立、礼!」

 ホームルームが終わり、担任教師が教室から出ていくと、エリスのもとに一斉に人が押し寄せてくる。

 光太郎は席を追い払われ、別のクラスの人だかりに飲まれた。

 皆、噂の人物を一目見ようとして、教室は満員電車の様相を呈する。


「ぷはぁ!」

 人波に埋もれていた光太郎は、潜っていたプールから上がったような声を出す。

 今日平が手を引っ張り、光太郎を助け出した。

「大丈夫か?」

「ああ、あんがと。しっかし、即売会やコンサートなら分かるが、この人だかりは、異常じゃないか?」

「有香お嬢様も側にいたら、そりゃー話題にもなるわ。一目見ようと、押しかけてくるのも当然だ。旬な話題についていかないと、みんな心の中で不安になるもんさ。それと、身近なネタで刺激を求めるのは人の性だ。俺は特にね」

 今日平は笑った。


「二人は望んでなくても、大勢の人を惹きつける。磁石が砂鉄を引き寄せるようなもんだ」

「そう言われると分かる。オーラというやつだな」

 実際、光太郎は有香に魅了されていた。それが恋愛感情かは分からない。

 今日平の言うとおり、カリスマのせいだろう。それは置いといて、

「おつむが残念美人の、お姫様をどうにかしないとな」

「おいおい、そこまで言うか?」

「数日一緒に暮らして、ようやく分かった。頑固でがさつで、大雑把だ」

「俺は光太郎が、ラッキースケベのウハウハ毎日だと思っていたぞ」

「……だったら、良かったんだけどねー」

「現実は?」

「風呂上がりはバスローブ姿で動き回るわ、トイレに鍵をかけんわ、スポーツブラだけで剣の素振りをするわで、見られても平然としている。僕を男として意識してないから、色気も何もあったもんじゃない」

「あー……そりゃー興奮せんわな、恥じらいがあってこそ萌える」

 

 光太郎は尚も愚痴をこぼす。それだけ、エリスの素行に腹を立てていた。

「こっちが気遣ってるのがアホらしくなる。気に入らないのは、僕との話し合いに一切応じない態度だ! これには我慢できん!!」

「それで部活動体験か、部長達には前もって根回しはしておいた。しかしそれで、エリス姫の性格が変わるかなー?」

「今日平、恩に着る。このままだと必ず痛い目を見るから、性根を変えないとまずい。とにかく、一度へこまさないとエリスは駄目だ!」

「そうか……」

 

 光太郎は今日平にだけは、エリスの真実を話して協力を頼んでいた。

 聞かされた今日平は半信半疑、それでも秘密は守ると約束してくれる。

「そろそろ時間だな、行くとするか」

「とは言ったものの……」

 今日の授業はなく、新入生は校舎内と部活動を見て回ることになっていた。

 上級生は勧誘活動、ビラ配りに模範演技エキシビションと忙しい。

 光太郎達も回る予定なのだが、人だかりは増える一方で、足の踏み場もなかった。

 エリスと有香は、質問攻めから抜け出せずにいた。


「仕方がない、何とか動いてもらうか」

 光太郎はスマホで、ショートメールを二人に送る。

 それを見て、二人は立ち上って叫んだ。

「すみません皆さん。これからエリスの案内をしますので、道を空けてください」

「部活動とやらの体験をするので、失礼する」

 これに加えて今日平が、みんなに頼む。

「二人の活躍は新聞部が記事にしますので、御協力ください」

「しゃーないか、俺たちも行こうぜ」

「そうね」

 集まっていた同級生達は、二人から離れていく。


 ようやく動けるようになり、有香はエリスを連れて女子更衣室へ向かった。

 光太郎達も、二人の後を追う。

 今日平は新聞部に入部済みで、取材がてらに各部に協力を取り付けていた。

 ジャージに着替えた四人がまず向かった先は、剣道部。

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