注目され始める犬達
数分後、冒険者ギルドに着くと他のプレイヤーから一斉に視線を向けられる。若干顔を顰めながら下を向き、さっさと受付嬢から依頼を受けることにした。
デビルプラント討伐という依頼を受けて、早くこの場を後にしようとすると後ろから話しかけられる。
「すみません、一緒にパーティー組みませんか? 」
「嫌です」
「先駆けしやがったな……俺たちと組みま」
「嫌です」
「女性同士の方が良いで」
「断ります」
「狛犬ネキ冷たいなぁ……僕らと行かな」
「……」
招待を全て拒否し、さっさと街の外に出た。第一の街より増えた気がする。しばらくは一人で行きたいから少しイライラしながら向かった。
街の外はレンガで舗装された大きめの道路が四方八方に伸びており、その周りに色とりどりの小さい花が敷き詰められている。
視界は開けてるがこの道路の終わりは見えなかった。私とポチはデビルプラントとという敵を探そうとすると前に私よりも大きい蜂が飛んできた。
(鑑定使えば分かりそう)
そう思い、スキルを使う。
種族:ビックビー
生息範囲:アスノ花園
名前とここの花園の名前が分かった。鑑定のレベルが低いせいかこれしか分からなかった。敵は羽音を響かせながら針を私に向けて突進してくる。
「《ファイアーボール》」
火魔法を発動させるとそのまま敵は火球に激突し、力尽きたように倒れ、ポリゴンの欠片になった。まだ私の火力は通用しそうだ。
何匹か大蜂を処理していると、前の方の花が生えている地面から奇声をあげながら姿を見せた。それは数メートル程ありツルに棘が付いていて、ピンク色の花弁で中央はギザギザの口があった。
種族:デビルプラント
生息範囲:アスノ花園・地下
顔らしき場所を向けられた瞬間、ツルが迫ってきた。幸い射程はそこまで無かったのか目の前をスレスレで通り過ぎていったけど当たったら吹き飛ばされそうだ。
「《ファイアーボム》《ストーンバレッツ》《マジックバリア》」
二つの魔法を使って応戦する。障壁も貼っておくことにした。ストーンバレッツの方はあまり効いてなさそうだけどファイアーボムはツルを何本か焼き、使用不可にさせた。
苦しそうにしながらも敵はツルを何本か伸ばして私を拘束しようとしてきた。でもファイアーボールが当たると燃えてゆき、敵の息が荒くなった。
最後にストーンバレットを打つと呆気なく倒れて終わった。依頼はこれを一匹だけだったから後は報告するだけだ。
またあの場所に戻ると思うと嫌気がさすが我慢して向かった。冒険者ギルドに戻るとさっきよりも倍以上の視線を向けられる。
その中には舐めるような視線もあり、さらには妬むようなものまである。それらを無視して報告しようとするが一部のプレイヤーが私に向けてこう言った。
「なんなのアイツ……せっかく人が誘ってやってんのに、この陰キャが」
「どーせリアルでも友達居ないでしょ」
「コミュ障だコミュ障」
いつものことだ、そう思っていると近くにいた他のプレイヤーが今度はこう言った。
「そう言ってる方が陰キャコミュ障」
「は? 何言ってんの? あの犬の方が非常識でしょ」
「はいはい喧嘩腰の陰キャは黙れ」
「そうやって煽る方が非常識だ」
「何言ってんの?」
さらに他のプレイヤーまで言い合いに参加して一気に煩くなった。私は何も聞こえないフリをして報告し、気分が悪くなったからログアウトした。
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