森のゴブリン達vs逃げる犬達

ゴブリンを倒しながら行くと薄暗い森にたどり着いた。でも木漏れ日があるからそこまでじゃなさそう。少し歩くと焦げ茶色の猪が突進してきた。

「ブォー！」

「《ファイアーボール》《ファイアーボール》」

「ブッ…」

二発で倒せた。近距離で突進されたら不味い。でも経験値と素材はそこそこ手に入ったので少しだけ狩ることにする。

数十分後…。

「そろそろ引き上げ」

カンッ！

突然何かを障壁で弾いた。地面を見ると先端が錆びた矢が落ちている。周りを見渡すと…

「グギャ！グギ！」

「グギャギャギャ！」

「グギ…」

油断してた。見えてるだけでも十匹以上のゴブリンの集団に囲まれている。ＨＰはまだあるけどＭＰが障壁を貼り直すことも考えたらニ割を切っている。全部倒すことは出来ない。

ゴブリンはじわりじわりと距離を詰めている。そして私は…

「逃げる…！」

「ワン！」

敏捷は相変わらずの五。ステータスを振っている暇もない。草原までそこそこあるからＭＰは節約しなきゃいけない。

ゴブリン達が群がって来ている。弓ゴブリンも居るので弾く音が鳴り止まない。パリンッ！と音がして、障壁が割れる。

「《マジックバリアー》《ストーンバレット》」

「グギ…？！」

貼り直し土魔法を放つ。急所に当たったのかそれともＨＰが少なかったのかは分からなかったけど倒れたことを視界の端で確認する。

草原はまだ見えてこない。幸いなのは他の敵が出てこないことと速度が私と同じ位だと言うこと。何かのフラグを踏んだからこうなってると思うけど…。今は逃げなくてはいけない。

「グギャ！」

「ぐ…！《ファイアーボール》《アクアアロー》」

「クゥーン…」

でも時々速度を上げて斬り掛かって来る時があるから障壁にダメージは入るし倒すためにＭＰを使わなきゃいけない。そのせいでＭＰがかなり減っている。

「《ファイアーボール》」

「グギャグギャ！」　

　

まだ障壁魔法のクールタイムは終わってない。ファイアーボールを撃ち牽制する。倒せはしないけど少しだけ鈍ってくれた。

「うぅ…そろそろ疲れてきた…」

「ワンワン！」

「あれ…疲れが少しとれた」

ポチが回復してくれた。これでまだ走れる。数分間走りようやく草原が見えてきた。でも簡単には帰してくれなかった。

「グギャアアアアアアアア！！」

他のゴブリンよりも数倍大きくて筋肉があり、しかもメイスを持っているゴブリンがいきなり現れた。他のゴブリンよりも早い。後ろからブォンッ！と音がし気がつくと宙に浮いていた。

「ガァ！」

「不味い！うぐっ…！?」

一発目のメイスの攻撃は守ってくれたけど割れた、二発目はそれでもろに当たってしまいＨＰがかなり減る。咄嗟に丸薬を出して回復し落下ダメージもギリギリ耐えた。

不幸中の幸いとして吹っ飛ばされたお陰で草原までもう少しだ。ポチも無事。

「グガアアアアアアア！！！」

私は草原にダイブすると後ろで爆音がする。後ろを見るとゴブリン軍団が帰っていった。ふー…死ぬかと思った。

『ワンタイムイベント《ゴブリン軍団》をクリアしました！』　

やっぱり何かのイベントだったようだ。疲れた私はポチを戻すと街でログアウトした。