森のゴブリン軍団vsプレイヤー&犬達その7
『時間になりましたので森のゴブリン軍団が攻めてきます。条件を満たしているプレイヤーは防壁の上にある兵器を使用できます』
門は閉じられ外に出たら戻れなくなった。朧月さんに抱えてもらい草原に出ると大勢のゴブリンとプレイヤーが戦っている。勿論ワイルドドッグ軍団もだ。
「俺らは遊撃隊だ、門を守るのも大事だが前線のプレイヤーの援護もするぞ」
ジェノさんがそれだけ言い、森方面へと走って行った。さっき敏捷値が上がるアイテムを貰ったから大事に取っておこう。
私は大勢の人に若干怯えながらも覚悟を決めて魔法を放つ。今一緒に居るのはヘクセさんとダイキさんだ。敵が八匹以上私達に襲いかかってくる。
「《ファイアーボム》《ストーンバレッツ》」
「《エアカッター》《ミニストーム》」
「《チェインスラッシュ》」
それぞれの攻撃は敵達を爆散させ、石弾や風で怯んだ所を斬り刻まれていく。一瞬で倒した私達は苦戦している所を助けつつ少しづつ前線に向かう。
街の門が少し小さく見えてきた頃突如上から他の敵より装備と体格が良いのが五匹降ってきた。偶然下に居たプレイヤーが潰されるのをギリギリの所でダイキさんが助けた。
「勝てそうに無かったら早く逃げてください!」
「た、戦います!」
「人間ハ敵…殺ス…!」
「何で私まで…《ファイアーボール》《ストーンバレッツ》」
「野良犬さんとばっちり受けてる…《ミニストーム》」
ダイキさんに全ヘイトがいっている隙に横から仕掛ける。ダイキさんは棍棒を軽やかな動きで躱しつつ防具が付いていない関節部分を斬っている。
助けたプレイヤーも覚束無い様子で戦ってるけど正直邪魔だ。装備を見るに初めて間もないか生産職だろう。
「そこの人どいて」
「で、でも」
「邪魔だから」
「すみません!」
プレイヤーは後ろに下がりそのまま逃げて行った。これで誤射の可能性が減った。ダイキさんも動きやすくなったのかスキルの発動回数が多くなった。
「《ダブルスラッシュ》、一匹目!」
「《エアカッター》!こっちも倒れました!」
助けたプレイヤーが逃げた五分後に二匹の敵が倒れた。MPはまだまだ余裕だけど長くなるのは避けたい。そう思っているとワイルドドッグ軍団が援護もしてきた。
「ガゥガゥ!」
「ワン!」
「ガゥッ!」
ポチが指示らしき物を出すと一斉に襲いかかった。ダイキさんは一瞬警戒したけど私の仲間だと分かったのか直ぐに解いた。
ワイルドドッグ軍団は敵の体に噛み付き、引っ掻く。戯れているように思えるけどその効果は大きく、敵は必死に剥がそうとするけど防具の隙間から内側に入られたりして苦しそうだ。
一匹、二匹と倒れて三匹目も力尽きてポリゴンの欠片になった。
「この犬達強い…」
「…相手にしたくありませんね」
「ガゥ?」
「ワン!」
「ガゥ…」
ポチに何か言われて落ち込んでいるワイルドドッグ軍団と一緒に森の方へと急ぐのだった。
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