開戦前の時間を過ごす犬達
『ワールドクエストが進行し《森のゴブリン軍団》が一時間後に街に攻めてきます。死亡したNPCは復活しないのでご注意ください』
ベンチに座るといきなりアナウンスが流れた。他のプレイヤーは混乱している。非常食である干し肉を食べながらぼーっとする。
「急ですまないがこの通り街にゴブリン共が攻めてくる。レイドボスの情報は掲示板に流す、確認しといてくれ。そして…」
ジェノさんが説明を始めた所で私は教会の外に出て冒険者ギルドに行くことにした。理由は食糧が配布されているらしいからだ。
冒険者ギルドまでの道もゴブリンは居なかった。撤退したか殲滅されたのだろう。静かな大通りを歩き冒険者ギルドに着いた。
「食糧貰いに来た」
「申し訳ありません…無くなりました」
「え…」
「担当の者が作っておりますがいつになるか…」
「分かった…」
既に私の食糧は尽きている。少し焦りながら屋台エリアに向かったけど私が前に買い占めたのとゴブリンに荒らされたせいで一つも無かった。
困り果てているとワイルドドッグ軍団が駆けつけて来てこっちに来てとに鳴いたような気がした。草原まで着いて行くと果物や大量に小さい実が付いた枝が合わせて十個置いてあった。
「くれるの?」
「わんっ!」
試しに枝に付いた小さい実を数個食べると空腹度がそこそこ回復した。味は甘くて酸っぱい。アイテム欄に入れてワイルドドッグにお礼を言った。
開戦まで後二十分、教会に戻ってステータスを確認することにした。
種族:狛犬lv12 職業:火属性魔法使いlv2
筋力:5
生命:10
敏捷:5
器用:5
知力:40
精神:12
スキル:【火属性魔法lv2】【土属性魔法lv2】【水属性魔法lv2】【障壁魔法lv1】【自動MP回復lv1】【人語】【神語】【対包囲戦法】【状態異常耐性lv2】
SP:5
称号:【無慈悲】【神との邂逅】
六ポイントを知力に振った。
種族:キュアドッグlv5 職業:初級治癒士lv7
筋力:2
生命:10
敏捷:10
器用:3
知力:30
精神:10
スキル:【治癒魔法lv2】【神語】【犬語】【鑑定lv1】
SP:4
称号:なし
六ポイントの内二ポイントを知力に振ってステータス画面を閉じた。ポチの転職は多分このワールドクエストが終わった後だろう。
最後の確認を終えるとヘクセさんが話しかけてきた。
「骨折した所大丈夫ですか…?」
「大丈夫、さっきはありがとう」
「いえいえー、頑張りましょうね!」
「うん」
そう言うとジェノさん達の所へ戻って行った。他人と行動するのは疲れるけど頑張らないと…。
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