狛犬は遅い
私にどんどん視線が集まってくる。早く冒険者ギルドに行く……ことは出来なかった。最初に話しかけた女性のプレイヤーが、また話しかけてきたからだ。
「プレイヤーですか……?」
「そうだけど……?」
「えっと……種族は……?」
「狛犬、さようなら」
「ま、待ってください!」
うう……足が遅い。これじゃ逃げられない。それでも必死に逃げて……捕まった。余裕で捕まってしまった。仕方なく相手にすることにした。でもまずは……。
「これ以上足止めしたら通報するよ? 話は聞くけど」
「ごめんなさい! でも気になって……」
「で、何が気になったの?」
「名前とか種族とか……」
「名前は言わないけど種族の説明はこれ、後は掲示板見て」
それだけ言うとそそくさと逃げた。超逃げた。その甲斐あってか何とか冒険者ギルドにたどり着いた。疲れた……。台に前足を乗せて……。
「登録しにきました」
「え、あ、はい! 説明は要りますか?」
「大丈夫です」
「分かりました、ランクEからのスタートです。それと応援パックです」
応援パックにはお金と携帯食料、それと魔法使いが被っていそうな黒の三角帽が入っていた。
魔法使いの帽子
防御力:1 耐久力:100
装備効果:【知力+1】
被っていると言うよりは乗せてるけど、気にしない。頑張って移動し他のプレイヤーから温かい目で見られながら、スライムを十匹倒すクエストを受けたので外を目指す。
外は草原だった。プレイヤー達がちらほら見える。スライムは……いた。数匹がぽよぽよしている。
「《ファイアーボール》《アクアアロー》《ストーンバレット》《マジックバリアー》」
魔法で一掃し、スライムが攻撃してくる前に倒した。あと障壁魔法は一度使ったら、十分は使えないみたい。風が心地良いし、スライム狩り終わったらお昼寝しよ。
十分後ようやく十匹狩れた。プレイヤーが多いせいか時間がかかった。適当な場所を見つけて横になる。障壁にダメージが入ったらアラームが鳴るようにして……。
(お休みー……)
………………。
…………。
……。
…。
ジリリリリッ!
いきなりアラームが爆音で鳴った。起きると三人の男女が前に居た。多分だけどこれ私を敵だと思って攻撃したんじゃ……。
「どうすんだよシンジ!起きたじゃねぇか!」
「何かに弾かれたんだよ! せっかくレアモンスター見つけたと思ったのに!」
「襲ってきそうだし早く倒したら……?」
「私レアモンスターじゃ」
「喋った?! こいつ喋ったぞ!」
「周りの奴らが気付く前に倒そうぜ」
ど うやら説得は無理そうだ。正当防衛になると信じて戦うしかなさそう。
「《ファイアーボール》《ファイアーボール》《ファイアーボール》」
「《スラッシあっつ?!」
「《ヒール》!」
前衛の剣持ちにファイアーボールを三連続でぶつけた所ヒーラーにそこそこ回復されてしまった。
(ヒーラーから倒そう)
「《ストーンバレット》《アクアアロー》」
「ひぇ?!」
「こいつかった?!」
ヒーラーにかなりのダメージを与えナイフ持ちの攻撃は、障壁で無効化。ファイアーボールを一発放ちヒーラーを倒す。
「桜?! よくも……!」
「《ファイアーボール》。早く倒れて」
「がっ?!」
動揺している剣持ちにファイアーボールを当て倒すと
残りはナイフ持ちになった。
「ゆ、許して……」
「《ストーンバレット》」
命乞いを無視して倒し再び静寂が戻った。そして……。
『称号《無慈悲》を獲得しました』
「……」
ちょっとやり過ぎたかも。
ブクマありがとうございます




