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八八艦隊育成計画 第二章 皇国の行く末  〜Chapter 2 Future of Red Sun〜  作者: 扶桑かつみ
chapter4

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chapter4_3_02 東京条約

 太平洋戦争における、講和条件の中にアメリカが提示した「アジア・太平洋の包括的な平和条約と同盟の締結」と言う条項を守った事から、数度の改訂で明確な軍事同盟となっていた日英同盟は一旦は解消されましたが、それは表面的な事だけでその後の日英関係には特に変化はありませんでした。

 

 日本は、日英同盟がいかに有効かは同盟関係を結んでいた間にそれを十二分に体験していましたし、軍縮条約の結果などからアメリカがアジア進出を諦めていないと観測しており、戦前と変わらぬ安全保障が必要と感じていました。

 

 一方、英国は反共とファシズムにより欧州で再び不穏な空気が醸成されつつある現在の状態に対して、アジア・太平洋の利権保持と敗戦後もアジアで何をするか分からないアメリカの目を欧州に向けないのため、引き続き日本との同盟が必要だと判断します。

 

 しかし、世界がまだまだ非戦傾向にある中、あからさまな軍事同盟を結ぶ事ははばかられたので、一つクッションをおく方向で話が進みます。

 


 では、ここでもう一度少し状況を要約しましょう。

 日本は太平洋戦争の大勝利と折からの経済の成功により大躍進中、アメリカは未曾有の不景気の中限定的軍拡を推進中、英国は経済再建と国際秩序の維持を画策しつつも日本に再接近、支那は国共内戦のまっただ中、ソ連は多大な犠牲を払いつつも五カ年計画の成功させますが、軍では粛正の嵐が吹き荒れ混乱中、そしてドイツがファシズム政権のもと大ドイツの復活と生存権の拡大をかかげて膨張外交を展開しています。

 


 1937年8月、日本と英国が中心となって新たなアジア・太平洋の包括的な協商条約として、「東京条約」を締結されます。

 

 これは、軍事力によらずアジア・太平洋の平和的貿易関係の促進と安定をはかるものと対外的には説明されますが、協商を邪魔する存在である共産主義の浸食を防ぐ目的も同時に謳われます。

 

 加盟国は大英帝国、大日本帝国、フランス共和国、オランダ王国、ポルトガル王国、中華民国、満州国、大韓国、タイ王国と、日英の影響下にある全ての国とアジアに利権を持つ欧州列強が参集したものでした。

 また、数年後の独立を控えたハワイとフィリピンもオブザーバーとして参加しています。

 

 この条約の締結により、日米講和後に締結された平和条約は事実上その実行力を失います。

 

 加盟国をみれば分かりますが、アメリカ合衆国が条約に加盟していません。

 これは、アメリカ政府が閉鎖貿易の新たな条約だとして参加を拒んだからで、日英側が会議に呼ばなかったわけではありません。

 

 むしろ、当初は積極的にアメリカを条約に巻き込んで、反対に合衆国を身動きできないようにしようとしたのですが、その意図を読まれたためアメリカは会議に出席しなかったのです。

 


 新たな条約にアメリカを抱き込めなかった事は小さくない失点でしたが、この条約により日英主導でアジア経営がより円滑に推進できるようになります。

 

 日英側としては、あとは欧州の風雲児となりつつあるドイツとソ連を何とか抑え込めば、戦争をする事なく世界秩序維持ができるはずと考えるようになります。

 

 そして、世界秩序維持ができさえすれば、実質的に全海洋を支配しているという事実を以て、世界の舵取りを引き続きすればよいのです。

 

 もちろん、舵取りをするのは大英帝国であり、日本はその後ろをついていけばいいだけです。

 


 この日英、いや英国主導のアジアでの新たな条約締結に気に入らない勢力がいくつかあります。

 

 もちろん、一番はアジア進出を、出来得るなら支那市場の独占をいまだに狙っているアメリカ合衆国と、極東での日本の勢力拡大を疎ましく思い、あわよくば満州、支那を版図に組み入れたいと狙うソビエト連邦、そして英国に頭の上がらないドイツ第三帝国です。

 

 また、極端な対英追従外交を展開する日本に、虐げられてきた地域の住民からは落胆と軽蔑が寄せられますが、今更外交方針を変更できない日本政府は、人種問題などに関しては事実上黙殺します。

 

 なお、実質的な被害としてはアメリカ合衆国が、この条約により実質的に全アジアから閉め出される事になります。

 しかも大恐慌以後の各国によるブロック経済でなく、植民地列強全体によるブロック経済から閉め出された事になり、憂慮は大きなものとなります。

 

 しかも、援助していた支那政府からも見限られ、その焦りは大きなものとなります。

 

 しかし、軍備はどれほど急いでも1940年初頭までは日本との対決は事実上不能で、相手が日英という事を考えれば、単独ではさらに5年は動くに動けないない事態となります。

 

 また、ルーズベルト失脚の後の政府は、なまじ自由主義を掲げている事もあり、実質的に日英と対立している全体主義ドイツと連携することも、共産主義ソ連を支持する事もできず孤立を深めています。

 

 次に敵とされてしまったソビエト連邦ですが、こちらの憂慮も合衆国同様大きなものとなります。

 何しろ、この条約の矢面に立たされる事となった、ソ満国境に軍備を大きく割かねばならず、特に日本軍とその衛星国の戦力の陸上戦力の大半が自らに向かってくる事は大きな脅威であり、このため極東の軍備を増強せざるを得ず、西欧に目を向けるべき所を大きく阻害される事になるからです。

 

 当然、日本との対立傾向を強くします。

 

 そして日本に反共でラブコールを送ってあえなく振られてしまったドイツ第三帝国ですが、この条約で英国をはじめとする欧州列強の戦力が欧州近辺に集まってくる事になりましたが、西欧との対決はこの時点ではあまり考えていないし、基本的に条約が反共に向いている事もあり、それ程大きな憂慮とはなりません。

 

 なお、支那政府がこの条約に参加した理由は、内憂外患のうち共産主義という内憂の方を優先したからであり、外患はその後に対処する事としたからです。

 そして政策実行のため、金儲けのためだけに援助をするアメリカでなく、共産主義と明確な対決姿勢を示している日英側と手を組み直したのです。

 


 そして、この協商条約が決まると、先年日本に完敗したアメリカ合衆国は、日本が英国との実質上同盟が復活したことに、再び警戒感を強くします。

 

 もっとも、不景気のまっただ中な上に、無理をして再建している軍備(海軍力)はその途上であり、またその無理な軍備の増強が資金面でそれ以外の外交的選択を狭めておりジレンマの中、日本そして英国への憎悪を募られていきます。

 


■第二次世界大戦開戦前夜とノモンハン事変へ ▼


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