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八八艦隊育成計画 第二章 皇国の行く末  〜Chapter 2 Future of Red Sun〜  作者: 扶桑かつみ
chapter4

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chapter4_1_06 血戦 第一幕「ウルフ・パック」

(ここからは、世紀の大決戦(笑)の第二次ハワイ沖海戦が発生しますが、いつもの想定通りすすめるべきかもしれませんが、個人的趣味で少し変更します。)

 1939年5月20日、米太平洋艦隊の戦艦多数を含む大規模な機動戦力が西海岸各地を出撃した事が、付近海面に偵察と通商破壊のため潜伏していた呂号潜水艦多数からの緊急暗号で、当時クェゼリン環礁にあった連合艦隊司令部に知らされた。

 

 「ついに来たか」と海軍の誰もが思ったが、敵艦隊が目指すのは、その後の潜水艦のリレー式の追跡から判明した事だったが、方向からして北の大地アラスカだった。

 戦争半ばに、日本が戦争の早期収拾を目指して苦し紛れに占領した北米大陸の西端に位置する、雪と氷しかない不毛の大地だ。

 

 アメリカの大反攻が予期せぬ場所に向けられた事に、肩すかしとも言えるぐらいに予定を大きく狂わされた日本海軍だったが、アラスカは北にありすぎて天候が悪い事が多い事から、連合艦隊では決戦海域としては指定されておらず、そのため元々現地航空部隊による遅滞防御ぐらいしか考慮されていなかった。

 

 しかし、この米軍の行動がもし欺瞞行動で、急遽大艦隊がハワイに向かって来た場合に備えて、漸減初期戦力である潜水艦のシフトを急いで変更する対策しかとらなかった。

 と言うよりそれ以外とれないのが実状であった。

 日本軍には、アリューシャン列島ならともかく、アラスカ防衛計画などなきに等しいのだから致し方のないことだった。

 

 そして、補給の問題からマーシャル諸島主要部のクェゼリンなどに待機、来るべき決戦に備えて訓練に明け暮れていた連合艦隊主力の第一、第二、第一航空各艦隊が抜錨、事前に基地航空隊すら投入した徹底した対潜掃討が行われ、米潜水艦が一時的に封殺された時を見計らって出撃、大規模な補給船団を伴って一路ハワイへとその進路を取った。

 

 一方のアメリカ海軍は、思いの外日本艦隊の動きが低調な事をいぶかしむが、まさか決戦に都合が悪いからと言う理由だけで、日本軍がアラスカを切り捨てているとは夢にも思わない事から予定通りの行動を行い、空母による空襲を一度行っただけで、欺瞞作戦を中止し進路を変更、他の主力部隊と合流し、日本の潜水艦の追跡をかわしつつ進路をハワイに向ける。

 

 その頃、規定の作戦に従い、別行動を取るハワイ奪還艦隊も西海岸を出撃、史上最大規模の300隻の大艦隊を編成して、別方向からハワイ目指して進撃を開始した。

 

 これらの米艦隊の動きを、前線に大量に配備した潜水艦からの索敵情報から詳細を入手した連合艦隊は、ハワイ近在での迎撃作戦である「あ号作戦」の発動をようやく決意、ハワイへの途上にあった艦隊はその速度を上げ、一路決戦海域を目指した。

 

 作戦発動を受けると日本海軍の各部隊は、所定の漸減作戦に従い一つの機械のように行動を開始する。

 漸減の一番手を担うのは、イギリス、ドイツからの技術導入でマスプロ生産されたおかげで、前線に膨大な数が配備された潜水艦隊、日本生まれの灰色狼の群だった。

 

 それまでの戦訓により本来は艦艇攻撃でなく、敵補給線の破壊任務につくものが大半だったが、春頃より決戦近しと言う事で連合艦隊より予備命令を拝命し、ハワイなどの拠点で整備、集結を計っていた日本生まれの灰色狼の群は、米軍の行動開始と共に東太平洋各地に「群」ごとに移動を開始し、「あ」号作戦発動時には、その大半が事前の配置に着く事ができた。

 

 これは結果として、米軍が欺瞞作戦としてアラスカで、正面決戦だけを考えれば無駄な時間を過ごしていたからこそ間に合ったもので、本来ならドイツで設計された潜水艦では高度な機動力を持つ艦隊に対する待ち伏せ攻撃は間に合わない、と言う見方が今日では通説となっている。

 

 とにかく、本来の索敵、追跡任務に就いている仲間の誘導に従い、その狼たちの包囲網を高速でもって突破しようとした米主力艦隊へと殺到した。

 その数は、6グループ70隻にも及んでいた。

 もちろん、その半数も会敵できたわけではないが、長期の戦争が日本海軍と日本そのものに何をもたらしたかを表すものの一つと言えるだろう。

 

 幸運にも会敵に成功した狼達の群は、勇躍して駆逐艦の厳重な警戒をかいくぐって、普段の鬱憤を晴らすべく大物を狙って攻撃を開始した。

 

 特に、「オ-六」グループこと第六潜水戦隊は、予定潜伏海面に米第二任務部隊が真っ正面から突入してきたことから、そのほぼ全艦にあたる9隻がアンブッシュに成功、それぞれ目に付く目標に対して雷撃を敢行した。

 

 この予期せぬ集中雷撃により、米第二任務部隊は初戦から大きな躓きを見せる事になったが、数年に渡る対潜水艦戦に熟練した米水雷戦隊は、最初の雷撃から早期に立ち直り容易に日本軍の第二撃を許さず、付近海面の制圧を行った。

 その結果「オ-六」グループは、6隻もの戦没艦を出す事になる。

 

 しかし、日本潜水艦たちの犠牲は無駄でなかった。

 結果的に五月雨式の10隻にものぼる奇襲となった集中雷撃は、重巡「インディアナポリス」、軽巡「フェニックス」を一撃で爆沈せしめ、他軽巡1隻、駆逐艦1隻を自沈、もしくは後退するより他ない重大な損傷を与えたからだ。

 

 中でも大きな殊勲を挙げたのは、伊19潜が新造空母「ワスプ」に4線の魚雷を命中させ大破、直後に航空機用の弾薬庫が誘爆、そして自沈させた事であろう。

 または、幸運にも「アイオワ」級の「ミズーリ」の舵とスクリューに重大な損傷を与えて後退に追いやった潜水艦が適当かも知れない。

 (「ミズーリ」を攻撃したものはその後撃沈されたので、どの艦が攻撃したかは現在においても不明。)

 また、これら以外にも高速タンカー1隻が大破、のちに自沈している。

 

 そして、米艦隊がいくつもの潜水艦の集団を振り切った段階で、受けた損害は以下の通りである。

 なお、ここで上げるのは、主力艦隊に対するのみのものである。

 


 撃沈(自沈)

空母:「ワスプ」

重巡洋艦:「インディアナポリス」

軽巡洋艦:「フェニックス」、「デンヴァー」

駆逐艦:3隻 タンカー:1隻


 大破(戦線後退)

戦艦:「ミズーリ」

重巡洋艦:「タスカルーザ」

軽巡洋艦:「ナッシュビル」、「クリーブランド」

駆逐艦:2隻


 中・小破(進撃継続)

戦艦:「ニューハンプシャー」



 米艦隊の損害は以上であるが、この戦果の代償として日本の灰色狼たちは、17隻もの犠牲を払う事になり、以後の漸減作戦に重大な支障をきたすようになる。

 

 これは、取りも直さず米艦隊の対潜水艦戦術が有効だった事を表すと同時に、飽和攻撃が水面下の戦いでもそれなりに有効であることを示していると言えよう。

 

 しかしこれ以後、日本の潜水艦は、本来行われるべき第二段階の漸減作戦を実施する事が、アメリカ側のさらに厳重な警戒もあり難しくなり、実質的に見るべき戦果を挙げる前にさらに半ダース近い犠牲を払った。

 この膨大な損害に驚いた連合艦隊司令部は、第三段階が開始される直前に索敵と追跡以外の中止が指令されるに至り、潜水艦による漸減はとん挫している。

 しかし、第三段階に対する指令は後の敵艦隊の動向を知る上で非常に効果を発揮し、連合艦隊司令部の英断と言えるだろう。

 

 ただし、それでも命令伝達が遅れたのか一部艦艇が従来の計画に従い攻撃を行いさらに数隻が鬼籍に入る事になった。

 

 なお、第二、第三段階でアメリカ側はさらに軽巡1隻と駆逐艦2隻を後退ないしは撃沈されている。

 


 一方その頃、マーシャル諸島各地を出撃した日本の主力艦隊も、米潜水艦隊の執拗な追跡を受けていたが、マーシャル一帯とハワイ近在は、海上護衛総隊から引き抜いたベテランのハンターキラーチームにより徹底した掃討が行われた事と、連なる島嶼と長距離爆撃機を転用した航空機による空からの制圧が効果を発揮し、またアメリカ海軍側が日本ほど極端な潜水艦の集中投入を行わなかった事もあり、米海軍のように大きな損害を受ける事はなく、ハワイ近在にまで近寄る事に成功する。

 

 しかしそれでも、魚雷3本を受けた「比叡」がよろばいながら後退し、重巡洋艦1隻と軽巡洋艦1隻、さらに駆逐艦数隻が撃沈もしくは戦線から脱落しており、大艦隊同士のぶつかり合いが、いかに浪費を伴うものかを日本側にも実感させる事になる。

 



■血戦 第二幕「航空決戦」 ▼


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