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八八艦隊育成計画 第二章 皇国の行く末  〜Chapter 2 Future of Red Sun〜  作者: 扶桑かつみ
chapter5

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chapter5_04 欧州大戦不干渉

 ノモンハン事件による極東での緊張をよそに、ついに1939年9月、ドイツ第三帝国はポーランドに侵攻。

 これに対して英仏はロクに戦争準備もできていないのに宣戦を布告。

 第二次世界大戦が勃発します。

 

 日本(そして合衆国)にとって、第一次世界大戦に続いてのビック・ビジネスチャンス到来です。

 戦争当事者でないのですから、ノモンハン事件などとっとと片づけて、せっせと金儲けに精を出したい所です。

 

 なお、国際的には、いまだ国連常任理事国ですが、ドイツとは結局反共同盟を結んでいないし、英仏に対しても実効力のある軍事条約はありません。

 それに、新たなお友達として急速に仲良くなりつつある米国も、欧州の外交には不介入を決め込んでいます。

 

 しかし、戦争が始まると戦争当事者の英独双方とも、東洋にて強大な軍事力を持つ日本に対し、私とユニットを組もうとラブコールをしきりに送ってきます。

 

 ですが、日本にとっての問題は、ドイツがソ連と不可侵条約を結んでいる事です。

 このため対ソ戦備をしないといけないので、それ以外での戦争どころではありません。

 当然、欧州の戦争への介入など以ての外です。

 しかも、欧州と言う遠い戦場は、市場であって自分たちの戦う場所でないと考える方が普通でしょう。

 

 それに英独ともに、彼らの側に立って参戦しなければいけない程の義理は、今のところあまりありません。

 また、英国に対しては、支那利権や太平洋戦争で自分だけ利益を得ている事に不満を持っている事でしょうし、ドイツにはソ連と不可侵条約を結んでと不信ありありです。

 

 よって、ここで日本が選択する可能性が最も高いのが、やはり「傍観」です。

 ソ連脅威を盾にして、両国にはのらりくらりとした返答しかせず、軍備増強のスピードを上げつつも、アジア情勢が変化するまで何もしない可能性が最も高い選択肢です。

 

 または、支那市場から英国の影響力が低下するのですから、そちらに努力を傾倒するかもしれません。

 これは、もちろん軍事力を伴ったものでなく、純粋に「円」攻勢になるでしょう。

 年々大きくなる国内産業を維持することにもこれは合致することです。

 

 また、この欧州での戦争で俄然元気になるのが、アメリカ合衆国です。

 大国同士による戦争勃発は、各方面からの需要の発生を生み、その受注により国内経済を立て直すまたとないチャンスです。

 モンロー主義があるので、政治、軍事的に何もできないかもしれませんが、「ドル」攻勢は別です。

 せっせと英仏独など欧州各国相手に無節操に商売にいそしむ事となります。

 

 ただし、米国は孤立主義が強くなっているので、軍備拡張には転じません。

 最低限防衛に必要な海軍がわずかに増強される程度です。

 

 そうして、日米が商売に精を出して増える財布の中身を勘定しつつ傍観している間に、欧州の状況はさらに激変します。

 


 1940年5月10日、ドイツがついに西欧侵攻を始めるからです。

 (まあ、それまでにノルウェー侵攻もしていますが。)

 ドイツ軍は、奇襲と呼んでよい矢継ぎ早の電撃的な戦争展開と、連合国のミスに付け入るような形で勝利を積み重ね、たった二ヶ月でフランス、ベネルクス三国、デンマーク、ノルウェーを軍門に下し、英国も風前の灯火に見えるまで追いつめる事に成功します。

 

 この時点で、英独は活発に外交活動を展開します。

 

 英国はもちろん、敗北を避けるために同盟相手を探します。

 対象はかつての同盟者である日本帝国。

 さらに、史実同様アメリカが味方にできれば理想かも知れませんが、英国に強い不信を持ちアジア以外ではモンロー主義回帰でガチガチの保守主義に染まっている米国を、欧州の戦争に引きずり込める方法を、流石の英国人も考えつかないでしょう。

 敵にならないだけマシと思わねばならないぐらいです。

 

 一方ドイツも英国にトドメを刺し、戦争の短期終結を画策するため、また次なる本当の戦い(もちろんソ連との)のために日本と米国により積極的にラブコールを送ってくる事になります。

 

 つまり、日本と米国がどちらと握手するかで、大英帝国の命運を握っていると言っても過言ではないでしょう。

 


 そして日本にとって、ここで再び一つ頭をもたげてくるのが、「東亜解放」、「大東亜共栄圏」です。

 

 仏蘭が実質的に滅び、英国が風前の灯火である今こそ東亜を解放し、亜細亜の同胞はらからに自由をもたらし、共に歩み出すチャンスではないかと。

 

 まあ、史実で東条英機が言ったように「どろぼう」でしかありませんが、この時代にそんなきれい事など、どこかに捨ててしまいましょう。

 

 ですが日本人は、すでに経済的繁栄を掴んでおり、戦争によって被るさまざまな損益と、このまま戦争を傍観した場合における利益をまず考えるようになります。

 

 確かに、無敵の八八艦隊を持つ帝國が本気になれば、英国なりドイツなりは鎧袖一触かも知れませんが、戦争をすればいかなる事態を発生させるかは、先のアメリカとの戦争で体験的に十二分に得ています。

 

 しかも、まだ先の戦争から5年も立っていないのに、ここで再び長期戦の様相を見せている欧州との戦争に介入すれば、膨大な出費を強いられるのは目に見えており、どう見ても収支決算の合いそうな戦争になりそうにありません。

 

 もちろん、ドイツと同盟してソ連を牽制する事と、反対に英国と手を結んで戦後英国の利権に食い込む事によるメリットも無視できませんが、少なくとも今の日本にそこまでする必要はありません。

 

 日本から見れば、近代になってから今の今まで自ら行った戦争は防衛戦争しかないので、国際常識に照らし合わせれば、第一次世界大戦同様、勝手に戦争を始めた欧州列強が、各々勝手な理由で日本を戦争に引き込もうとしているとしか映りません。

 

 また、英国とはかつて同盟を結んでいましたが、太平洋戦争での日本の外交的未熟から、(日本から見て)何もしていない英国に多くの利権を横取りされており、この事が直接原因で英国に対しては恨みの感情の方が強くなってもいます。

 

 一方、友好国となりつつあるアメリカも、欧州への戦争介入は主に市民レベルで「百害あって一利無し」と見ており、共和党政府もモンロー主義を貫く姿勢を見せています。

 そして、日本もこれに同調するのが、現在の国際関係を考えればある種筋の通る事にも映ります。

 

 また、「大東亜共栄圏」については、それを達成するためには英国に戦争を吹っかけねばならず、その戦費を考えれば日本だけのことを考えればあまり利口とは言えません。

 

 これをするなら、せっかくドイツが一時的に仏、蘭を滅ぼし、英国を追いつめているこのスキに、現地の独立グループに援助を送り内から独立してもらう方が、多少時間はかかりますが後腐れも少なく、なにより安上がりで、自国民の血を流さなくてすみます。

 

 そして、その独立した後援として日本が欧州列強の後がまに座れば、若干問題となっている資源的にもほぼ完全に自立する事が可能です。

 

 ついでに言えば合衆国も、この日本が何となく考えたアジア解放プログラムを支持します。

 と言うか同じ様な事を考えます。

 もちろん、後がまに合衆国が一枚噛むという違いはありますが。

 


 かくして、ようやく日本政府の次なる目標が決定しました。

 

 欧州の混乱を難癖を付けて不介入に徹し、これを軍事的には完全に傍観しつつ、水面下でアジア各地の独立を画策し、これにより、もっとも安上がりにそして臣民の血を流すことなく、アジアの覇権を確立するのです。

 

 なお、この間の日本の軍事力は、示威行動として海軍の一部を南洋にまで出ばらせ、満州を鉄壁の状態で防衛すれば事足ります。

 ただし、こちらから手を出す事は厳禁されます。

 

 英国はもちろん、ドイツとも手を結ぶ必要もありません。

 

 欧州の混乱を付いて、こずる賢く自らの利権拡大に邁進すればいいのです。

 


 この方針に従い日本は日米共同で、コミンテルンの介入だけを注意しつつ、インドシナ、インドネシア、そしてマレー、印度に対する工作を開始します。

 

 そして、この政策を選択した時点で、しばらく西欧列強の亡命政権がうるさく言って来るであろう国連の事は、ほぼ無視します。

 

 なお、重ねて言いますが、欧州情勢に対しては外交的・軍事的には完全な不干渉、つまり「傍観」姿勢を貫きます。

 

 日本にとって直接の利益の少ない戦争など、百害あって一理無しです。

 

 もちろん、アジアに対して英国などが不必要に軍隊を派遣してきても、これを日本軍は完全に無視します。

 

 いっそのこと、表面的には「武装中立」の宣言を出してもいいかもしれません。

 

 もちろん、国内に「バスに乗り遅れるな」と言う声もあがるでしょうが、これも表面的には無視し、不穏な動きがあればそれを止めることも辞しません。

 


 あ、そうそう、忘れていたわけではないのですが、「東亜新秩序」、「大東亜共栄圏」については、日本政府の意図を当面表に出すことはしないので、外交面で声を荒げたりはしません。

 

 当面は、水面下で運動家などに吹き込む程度です。

 

 これは日本の外交政策を決定的瞬間に表に出す時に、日本外交カードの「切り札」となります。

 



■関東軍特別大演習 ▼


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