69.AI小説が日間一位!?
かなり話題になったのでご存知の方も多いのではないでしょうか。
とあるAI小説が〝カクヨム〟に投稿され、ついに日間ランキング一位となりました。
しかもAIに書かせているので労力は少なく、ひとりでおよそ40作品、一日に30万字を更新し続けるという量産体制っぷりです。普通の人間が頭で考えた小説を書く場合では、まず無理なスピード感ですね。
私も読んでみましたが、そこまで違和感なく読めてしまった、というのが正直な感想です。
今のところAI小説はちらほら出て来たという状況ですが、いずれ大量投稿され、新着欄・完結欄・ランキングを席巻するのは時間の問題です。
つまり、今から〝オリジナル作品で〟書籍化を目指す人にはかなり厳しい状況が待っているということです。
むごい話をしますが、これから一般公募もAI小説だらけになって行くと思います。
出版社がAIとの付き合い方をどうするのか、今のところコレといったアナウンスはありませんが、恐らく
「AI小説でも〝売れれば〟出版する」
と言うだろう、というのが私の予想です。
ただ、本を買う読者が〝AIで出力した作品にあえて金を出すのか?〟という疑問は湧きます。
一方で今回のランキングの結果から、タダで読めるAI小説を読んでいる層は「AIだろうが読んで面白ければポイントを入れる」ということが分かりました。
そしておそらくAIの作った話を読みたくない層は、お気に入り作家さんの話ばかりを読むようになるでしょう。
つまり、無料で読めるWeb小説で「新人」として書籍化打診を待つのは、正直これからどんどん難しくなるだろうということです。読者の作ったランキングに半ば依存していた出版社が、AIの大量投稿の中から良き新人を捜し出すのは不可能になります。
小説を出版する際は、改稿や完結、今後の方向性などを編集者と話し合う必要があるため、AI頼みでは話を広げるのが難しくなって来ます。よくいう「テンプレ」は導入部分では使えるものの、人気が出て話数を増やさなければならなくなると急に海に放り出される形になります。
AIに頼らず物語を作る作家さんにはある程度お話作りの自力がありますが、AI作家さんは編集者と渡り合い、〝指摘〟や〝要望〟をどれだけ上手に反映できるのか、いまのところ未知数です。
とりあえずは出版社がどう出るか、作家は待つしかないのが現状です。
さて、このように脅威として語られるAIですが、中国のWeb小説界隈はすでにAIに駆逐されている状況にあるそうです。
なので未書籍化作家はWebからデビューは困難となり、結局デビュー済作家と懇意となり、作家に作品を見てもらい、編集者を紹介して貰わないと新人デビュー出来なくなってしまったそう。
作家先生の門下生となり、同人誌を出版し、編集者を紹介してもらう……どこかで聞いた話ですね?
つまり現在中国Web小説界隈は、日本における明治の文学界と同じという状況に変わってしまったのです!
Web小説からデビュー……短けぇ夢だったな……
そういうわけで、今のところ私が言えるのは
「AIが台頭する前にデビューせよ!」
「今すぐに、早めにランキングinしましょう☆」
みたいな身も蓋もないことになってしまいました。
うーん。(苦悶)
Web小説界隈、これからどうなって行くのやら。
でもここだけの話、AIに取って代わられるのって、校閲、編集者、出版社も〝そう〟なんですよね。
なので出版界は作家と一緒に共倒れして行くと思います。
AIと心中するか、相打ちするか……南無三




