67.どこの、誰が、何人、そう言ってますか?
今回は、ネット上からの意見をホイホイ受け入れずに「いったん疑ってみよう」というお話です。
Web小説を全世界に公開していると、デビューor未デビューに関わらず様々な意見や感想にさらされることがあります。
書籍化作家ならば、どうしてもエゴサして通販サイトのレビュー欄を覗きに行ってしまったり。
未書籍化作家ならば、感想欄で読者からの辛辣な意見をもらうこともあるでしょう。
また、SNSなどをやっていると創作アカウントの誰かが「今はこれが流行している!」とか「これをすべきではない!」とか「異世界系はオワコン!」などと演説をぶっていて、それに大量のイイネがついている場面に出くわすこともあると思います。
作家も人間ですから、そういったものを目にするとどうしても気になってしまいます。
否定的なレビューや感想をもらっては、
「やっぱあの展開にしない方がよかったのかな……」
と思ったり、SNSの創作論を見ては
「デビューするならそういう作品を書かなければいけないのかな……?」
「今更異世界系を書いても伸びないのかな?」
「売れ線を外したから、私の作品は読まれないのかなぁ?」
などと悩んだり。
私にもそういう悩ましい時期があります。今だって、ずっとそうです。
人の意見が気になって筆が進まない。
レビューにショックを受けてしまい、続きが書けない。
スランプに拍車がかかる!
自分の弱さに呆れるというか……本当に困りますよね。
そんな時、私は心の中の「脳内編集者」を呼び出すことにしています。
(お前は何を言っているのか?と思われるかもしれませんが……まあこらえて聞いてください)
実際、現実でのことですが、私は書籍化作業中に上記のような悩みを編集者に尋ねたことがあります。
「低評価レビューがあったけど、やっぱりあの展開は書いちゃダメだったのかしら?」
「〝こうした方がいい〟って何人かから言われたんだけど、どう思いますか?」
すると編集者は私にこう問いました。
「どこの誰がそう言ってましたか?」
「うーん。ネット上の読者……」
「〝何人か〟って、何人ですか?」
「えーっと、三人」
「その三人は、どういったご関係の方々ですか?」
「見ず知らずの人です」
「○○○○冊売れた本の読者の内、三人程度のご意見ならそこまで気にしなくてもいいんじゃないですか?万人に受けるお話なんか無いわけですし」
う、うーん。そう言われてみればそうかも……?
じゃあ次の質問!
「あと、SNSで〝このジャンルはオワコン〟って見たんだけど、実際どうなんですか!?」
「……どこの誰がそう言ってましたか?」
「この人です(画面を見せる。フォロワーも多く、出版業界人っぽい発言をするアカウント)」
「あー……誰ですか?受賞歴や肩書、所属先は?」
「書いてないですね。でも創作論とか、noteなんかも販売している有名なアカウントみたいですよ!」
「……素性を明かさずにSNSやってる人の話なんて、真に受けない方がいいんじゃないですか?」
い、言われてみれば確かに……!
「◯◯社の編集者だとか、めっちゃ売れてる作家さんの話なら、まだ参考に出来るかもしれないですけど……」
ああっ……!
「よくわかんない人に影響されるのはやめてください(呆れ顔)」
ぐふっ!
それからというもの、私はネット上の見知らぬ他者に振り回されそうになったら、自分にこう問いかけることにしています。
どこの、誰が、何人、そう言っていましたか?
もし誰かの影響で筆が進まなくなったり、ショックで筆を折りそうになったら、こういった脳内編集者を呼び出してよくよく発言相手のことを掘り下げてみましょう。
プロフィールをチェックしてみましょう。経歴を明かさない(または素性を隠している)人の言っていることは、本当のことを言っているのかどうか分からないのでもう気にしないようにしましょう。
顔が見えないからと攻撃的な感想や低評価レビューを投げて来る人がいても、「ここはウェブだし、色んな意見があるよね☆」「作者は私よ☆」と華麗にスルーしましょう。
クヨクヨしている時間がもったいない!
私たちが書ける時間は限られています。
誰かの「嫌い」より、自分の「好き」を優先して生きましょうね。




