66.続刊ラインと打ち切りライン
さて、今回は作家には知られていても、割と読者には知られていないような話をしようと思います。
それは「続刊」や「打ち切り」はどうやって決まるのか?という話です。
ライトノベルのコーナーに行って、面白そうな新作を購入するとしましょう。
手始めに一巻を購入しました。
かなり好みのお話です。とても面白かったので、きっと続刊が出ることでしょう。
しかし、待てど暮らせど続刊は出ず──
ことライトノベルに関しては、こういった事例は多いのではないでしょうか。
特に最近は、ラノベで三巻以上出ることは稀とされています。つまり、ほとんどのライトノベルが1~2巻で終了してしまうのです。
結論から申し上げますと、全ての小説は「1巻」の売り上げが全てです。
1巻を売り上げられなければ、2巻以降は出ません。
しかし1巻さえ売り上げられれば、2巻以降シリーズが続けられるのです。
だから、全ての作家は1巻に一番力を入れなければなりません。
なぜなら1巻より売れる2巻はないからです。2巻より売れる3巻はないからです。
ほとんどの作品が、発売からだいたい二週間で「続刊」「打ち切り」の判断を下されます。
なので、もし応援している作品があるなら、二週間~1か月以内に新刊を購入してあげると良いですよ。
つまり打ち切りも続刊も、全て1巻の売り上げが鍵を握っています。
しかし現在、ライトノベル単体でヒットを飛ばすのはとても難しいとされています。
そういうわけで、ほとんどの作品が1~2巻で打ち切られて行きます。
悲しいけれど、これが現実です。
さて、では続刊するにはどうしたらよいのでしょうか。
一番分かりやすい続刊ラインは「重版」です。
1巻が重版すれば、ほとんどの作品が続刊するでしょう。
重版以外にも、続刊の判断は出版社によってマチマチです。
今は紙書籍以外にも電子書籍がありますから、更に続刊ラインは複雑なことになっているみたいですね。
一番いいのは紙書籍が売れることです。
というのも、紙書籍はどうしても印刷会社との契約があります。紙で売り上げられなければ、たとえ電子が好調だったとしても、印刷所に利益がないので本を書店に並べることが出来ません。よく言われている「電子書籍だけ売れてもね……」という作家のボヤキは、こういった事情から発生しているのです。
無論、電子が好調だから紙も出そう、という出版社も……あります。
このあたりは本当に出版社によって違うようです。
電子の売り上げだって続刊判断の材料になる!という出版社もあれば、紙至上主義!な出版社もあります。
また、続刊ラインが低い出版社もあれば、打ち切りラインが妙に高い出版社もあります。
気になる方は、レーベルごとに続刊率を見ておくとよいでしょう。
急に怖い話になりますが、びっくりするぐらい続刊率の低いレーベルも……中にはあります。
有名どころで出せたとしても、一寸先は闇ですね。
と、ここまで読んだ方はおおかた気づいたと思うのですが、続刊を出すか出さないかは作者が決められることではないのです。
全ては売り上げによります。売り上げられなければ、物語はそこでストップです。
Twitterなんかを見ていると、作家が書かないから出ないのだろう、とおっしゃっている読者様がたまにいらっしゃいます。
そんなわけはありません。
書けるもんならいくらだって書きたい、それが作家というものです(泣)
なので、もし「打ち切りっぽいな~」と感じたら、作家を責めず、そっとレビューやファンレターなどを書いて作家さんを励ましてあげてください。
きっと新作を書いてくれることでしょう。
ちなみに、編集部あてに作家へのファンレター(紙)を書くと、中身が危険物(怪文書)かどうか編集部で判断した上で、編集部から直接作家に手渡されます。
ネット上でのレビューはどうしても流されてしまいますから、このように残る形で渡すと編集部としても「ファンレターをくれるファンがつくほどの作家さん」と認識しますから、効果的な応援と言えるでしょう。
続刊が際どい作品で、このファンレターの数が続刊の後押しになった事例もあるそうですよ。
アイドルの〝推し活〟もいいですが、作家の〝推し活〟もどうですか?皆さん!(圧)




